祭りの前日
今日転移してくるのよね、エマはお菓子を焼いたり、部屋の用意をしたりと忙しく働いていた。
昼過ぎ、2つの影が降りて来た。
『少女は夕方やってくる。用意は出来ているか』
「はい、大丈夫です。考えられることはすべてしました」
『私たちは彼女の心の中にある動物に姿を変えて付くことは話したな。彼女に我々の名前を付けさせろ。そうすれば彼女が呼ぶたびに加護が強くなる。いいな』
「承知いたしました」
『では、転移したら迎えに来る』
そう言って影は消えた。
「さてと、夕飯はここで食べるのね。その用意もしようかね」エマは再び台所に立った。
夕方、二つの影が丘の上に立った。
『主が示したのはここだな』
『そうよ、もう少ししたら来ると思う』
疾風が吹き、風が治まると、丘に一人の少女が横たわっていた。
一人が近寄り額に手を当てると犬の姿になった。もう一人も同じようにして猫の姿になった。
『俺は、エマを呼んでくる、この子に付いていてくれ』そう言うと犬になった一人がエマのいる家に向かった。
猫になったもう一人は少女に寄り添い頬をなめ始めた。
家でかたずけをしていたエマは「ワン!ワン!」聞いたことの無い動物の声に戸惑ったが「転移者が来たのね」と言うと「今行くわ」と外に出て犬について行った。
「はあはあ、そんなに急がなくてもいいでしょ。もう少しゆっくり走って」エマはそう言いながら丘を登った。丘を見上げると丘の上に動物を抱いた少女が座っている。犬は少女の側に行くと「ワン!」と鳴いた。
エマは息を切らながらその少女に近づいた。そして、
「あなたが異国から来た人?」と尋ねた。
「はい、ここは何所でしょうか、家に帰っていたはずなんですが?」少女が答えた。
「詳しい話は家に帰ってからにしましょうか」そう言うとエマは少女の手を取って歩き始めた。犬と猫もそれに続いた。
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