国王の憂い

カルディア国の王は近頃『強い能力者が生まれにくくなっていること』について考えることが多くなった。


この国は王族、貴族、能力者で統治してきたが、このまま能力者が減り続ければ国を維持することが難しくなる。

自分の代はまだ大丈夫だ、だが、次の代にはどうなるか?息子や娘に苦労をさせることにはならないか。

考え出すと止まらない。王は憂鬱になるばかりだった。


ある日、国王はお茶を飲みながらそのことを考えていた。

「お父様、ここ座ってよろしいかしら?」王が顔を上げる。

「リーゼ(エリーゼ)か、もちろんだ」

国王の許可をもらったリーゼは向かいの席に座った。すぐに付き人がお茶を持って来て「御用があったらお呼び下さい」と言ってその場を離れた。


「お父様近ごろ考え事をしていらっしゃるみたいだけど、どうかなさったの?」

「近ごろ強い能力者が生まれにくくなっているだろう。年々数が減ってきている。このまま減り続けれは国の維持が難しくなる。どうすればいいのか悩んでいるのだ」

リーゼはそれを聞いて目をつぶり神経を集中して暫く考えていたが。目を開けると、

「それならば、他の世界から人を呼べばいいのではないのでしょうか?ほかの世界の知識があれば解決出来るかもしれません」

「他の世界?お前には見えるのか別の世界が?」

「ええ、こことは違う考え方や社会を持つ国があることは解ります、そこから人を転移させて、その人から学ぶ。ただ、私には転移させる力はありません」

「では、どうする?」

「風神ヴェンティ様に相談なさったら?この国では最高の力をお持ちですから」

「そうだな、それしかないか。いずれ神殿にお伺いに行く事にしよう」

「行くときはカイ(カイト)をお連れになってこの国で有数の能力者ですし」

「そうしよう、さっそく準備かからなくては。カイを呼べ!」


暫くするとカイがやって来た。

「王様お呼びでしょうか?」

「カイよ、数日のうちに風神ウェンディ様にお伺いを立てたいことがある。準備をしてくれ。そして神殿に同行するように」

「承知いたしました。ご用命のままに」カイはそう答えた。


カイは神殿と連絡を取り、供物などの用意を始めた。神殿から3日後に来るようにと連絡があった。






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