太陽を継いだキミに
@dlltdlls
凛とした覚悟、彼女の明るさ
第1話 滅び行く国、走り出す少年
台の国は衰退していく。
何故か。
象徴がないからだ。
神都は太陽の恩恵を受けている。
この国には太陽はない。
然し、希望もある。
太陽神が人と結ばれたと聞く。
地に落ちて来るぞ。現人神が。
占いが言っておる。
太陽の血筋がやって来るのだ。
この機を逃す訳にはいかぬ。
我らには、太陽が必要なのだ。
大きな鏡が太陽の昇る方角に拵られる。
太陽が昇る。
鏡が光り、とても眩しく輝いた。
皆が目許の覆いを上げる。
そこには一人の少女がいた。
少女は凛とした覚悟と眼差しでそこに座り、神の美しさを示していた。
おおっ、と沸く。
「太陽の少女よ。そなたを巫女として見込んで頼む」
「どうか衰退していく、この国に希望を与えてくれ」
その言葉は、日々の暮らしに翳り、そして降って湧いた希望に縋る様に必死だった。
「……はい。我が光、台の為に照らしましょう」
巫女の言葉に翁は喜ぶが、少女の顔は憂慮に陰っていた。
彼女の眼はこの先の不穏な未来を写していた。
天に太陽が輝く所。神都にて。
白き廊下を二人の高位貴族が歩んでいた。
「然し、良いのですか? 台の者に太陽の血筋を委ねて。今からでも迎えに参るべきではないですか」
「良い。太陽の血筋はいずれ天に召される定めだ」
大貴族は語る。
「地上にあっては厄災の火種なのだ」
「消え行く威光に身を委ねる等、神都にあってはならない」
「案ずるな、真に太陽に愛された地は我等の元にある」
大貴族の眼は台の国の滅び行く未来を写していた。
しかし、光を見ていた、一人の少年がいた。
「あの光は、太陽……?」
この光が少年の心を動かした。
「あの光を見に行こう」
そうして少年は走り出した。
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