大魔女
俺の心が、僕の心が、歓喜で平静を保てない。
やっと会えたと、やっと再会出来たと、やっと、やっと、やっと――――――
「俺の名前はリィムだ。宜しく」
だが、
だってそうだろう?
今俺の姿はぬいぐるみであり、本体は宇宙人だ。
そんな俺が「お兄ちゃんだぞ」なんて言って信用される訳が無い。
心苦しいが、ここは遠くから見守る他無いのだ。
「お人形さんの
「付喪人? 何だ――――――――」
「えぇそうです。彼は付喪人で、新しく【魔女会】に入ったメンバーてす。その様子だと貴方の同期になるんじゃないですかね?」
「………………あぁ、そうなるだろうな」
シェーラは俺の疑問の言葉を遮った。
その付喪人とは何か分からんが、シェーラが誤魔化したって事はこうした方が都合が良いんだろうな。
「これ食べて良い?」
「あら妖精さん、そのお菓子に興味があるの? それはおばさんのお菓子だけど――――――食べていいよ!!」
さっきから言ってる”おばさん”って誰の事だ?
今までの流れからして【魔女会】のメンバーな事には間違い無いが、どんな人なんだろうか。
……って、アカツキ遠慮なくバクバクお菓子食べてるけど、そのおばさんがここに居たら怒られるんじゃないか?
そう思っていると、俺の後ろから大きな影が素早く動いた気がした。
違和感を持った俺は振り返るが、誰も居ない。
「あんたら、アタシの居ない間に何やってんだい」
「あ、おばさん!!」
また皆の方に顔を向けると、いつの間にか巨大な老婆が里奈とアカツキを睨みつけながら鼻を鳴らしていた。
ぬいぐるみの状態とは言え、俺の動体視力では全く動きが捉える事が出来なかった。
「客人の前でもその呼び方かい? 流石に矯正するのが疲れて来たよアタシは。あとそこの人形、”巨大な老婆”じゃなくて”グラマラスなお姉さん”と思いな」
何でバレた?!
マイスター師匠といい、この人といい、何で【魔女会】の強そうな人ってこんなに思考読むのが上手いんだよ。
「ただの読心術さ……シェーラ、彼が例の?」
「はい。マイスター師匠に言い遣わされました」
「ふん、あの子犬もとんでもない事するもんさねぇ……」
ろ…………お姉さんは、俺の前に立ちグルグルと俺の身体を見回した。
ぬいぐるみの俺をジロジロ見て何か分かるもんなのか疑問に思うが、もしかしたら俺の中の
「確かに素質だけ見れば悪くない。だが、上手く魔力を使えていないように見えるねぇ」
「そんな事も分かるのか」
「アタシを誰だと思ってるんだい」
「…………誰だ?」
俺がそう言うと、お姉さんは一瞬目を丸くして驚愕したような表情をした。
そんなに驚かなくても、俺はお前の事何にも聞かされてないんだよな。
初対面だし。
「ごほん!! 彼女は【魔女会】創設者の一人、大魔女エキス様です」
「まさかあの子犬、彼に何も言わずにアタシの前に連れて来たんじゃないだろうね!!」
「あ、あはは…………」
自由奔放なマイスターにエキスは呆れ果て、その様子を見たシェーラが苦笑いする。
だがしかしだシェーラ、お前は苦笑いじゃ済まさんぞ。
「そうなんだよ、師匠から何も聞いて無いんだよな。丁度そこのシェーラから睡眠薬飲まされ連れてこられたばかりだし」
「え゛っ?!」
「ほう?」
よし、これでヘイトがそっちに向いたな。
別に俺は嘘は付いてない。
眠らされたのは本当だしな。
それでだ……シェーラよ、俺は先輩イビリが過激になってるんじゃないかと思うのだよ。
ここで、お灸をすえた方が良いんじゃないかな!!
「え、えっと、これは……その、仕方なかったんですよ。リィムさんも睡眠薬だなんて誤解ですよ〜私が飲ませたのは《視界防護薬》であって――――」
「なるほど、その副作用を利用した訳だね」
「……………………………」
読心術だっけか。
エキスの前で嘘を付くのは辞めた方が良いな。
じゃなきゃ……あぁなるから。
「あわ……あわわ……」
「シェーラ、後で私のもとへ来な」
「………………はい」
シェーラが縮まるのを俺はニマニマと見守るのだった。
「それはそれとして、あんたはスパルタコース確定だよ」
「?!」
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