『一方その頃』好奇心のトキメキ

ここは【宇宙帝国ルルイエ】の実験室。

薬品と硝煙の臭いで包まれたこの部屋に、一人狂ったようにデータボードに書き連ねる男が居た。

その男は白衣を身に纏っているが、身体の隅から隅までで出来ている。


私は、今、インスピレーションが止まらない!!

発想が、想像が、創造が!!

好奇心のトキメキは止められないんじゃ!!


「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


「その奇怪な音を鳴らすの辞めて貰って良いですか? ワーカー教授」


そんな素晴らしい夢想を邪魔する不届き者が一人、この崇高なる部屋に土足で踏み入った。

その者は幽霊の人魂のようで、その紫の焔に眼鏡を掛けたような格好の宇宙人が空中に漂いながらやって来た。


なぬ?

その「土足での踏み入った」って、そいつ足無いだろって?

どっちみち侵入した事には変わりないじゃろうがい!!


「誰だね君は、創作の邪魔をしないで貰いたい」


「はぁ……私ですよ私、”万転将軍”リバーシです」


あ、君か。

そう言えばそんな名前の将軍居たねぇ。

ワシそんな他人の名前覚えるの苦手じゃから誰が誰だか認識出来んよ全く。


「例の物の催促に来ました」


「それなら、そこの机の上にあるよ。《空間探知機》――――――君達が良く使ってる《天外通信機器》を空間が隔たれても探知出来るように改良したものだ」


その《空間探知機》と呼ばれた物は、一見すればただの箱のように見えるが、リバーシが少し触るだけで変形しモニターのような物や意味の分からないボタンの数々など多くの機能が詰まっているが、そのどれもが理解不能だ。


……いや、そこは理解しろ!!

少し触れば、何処がどの機能とか分かるだろうに。

…………何だね、リバーシ、その不思議そうな様子は。

まさか、ワシの造物が分からないと言うんじゃないじゃろうな!!


「面倒なので、教授が使って下さい」


「何じゃと?! はーこれじゃからユトリは、こういうのは少し触れば速攻で理解するものなんじゃよ。それをお前は――――――」


「あ、それはもう良いので、本題に入らせて貰います」


かーっ!!

ムカつくぞ、この若者!!

ワシの有り難い話を嫌そうに聞くでないわ!!


「貴方は[地球]についてご存知ですか?」


「[地球]? ……あぁ!! 思い出した、[地球]じゃ!! あの、先遣隊が何人も行方不明になったっていう」


「そうです、その[地球]です」


あー何じゃ、その話か。

ワシも気になっておったんじゃよ。

過去に何度も先遣隊を送り込んでも、全てってのはおかしな話じゃ。

もし先遣隊が死亡したら本部に通知が行くようになっとる。

じゃが…………それも無いんじゃろ?

だからこその行方不明――――――しかも、噂ではあのも行方不明になってるらしいじゃないか。


「今回はその《空間探知機》を持って、私と共に[地球]に行ってみませんか? というお誘いです」


「ほほう? そこで、ワシを指名するとは……上の連中は分かってるじゃないか」


そこまで言うのなら行くしかないのぉ。

好奇心のトキメキは止められない。

世界の摩訶不思議はワシが解き明かす。

その奇怪な[地球]の先遣隊失踪事件も、このワシが解き明かしてやろうじゃないか。


「よし、善は急げじゃ。今すぐ行くぞ!!」


「そう言うと思って船をご用意しました」


「気が利くのぉ!! どうじゃ、道中にワシの発明品を触ってみるか?」


「いえ、どうせ触っても分からないので」

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