異世界エイリアン

MeはCat

〜序章〜 ようこそ、異世界へ

プロローグ

静寂なる宇宙、煌めく星々、深淵の大海原――――その中心にて航海している船が1隻漂っていた。

その者は人間であるが、の人間ではない。


いわゆる、宇宙人が乗っている。


人型の身体、赤黒い体表、裂けた口元、躍動する筋肉、触手のように響めく腕輪と脚、そして白い瞳――――彼らの種族は”イコール”と呼ばれる戦闘民族であり、他の宇宙人からも恐れられていた。


「全く世知辛い世の中だ。1つ惑星滅ぼして給料がたったの200万REルーイかよ。割に合わねぇっての」


俺の名はリィム、ただの傭兵だ。

雇い主は【宇宙帝国ルルイエ】であり、既に大多数の惑星を支配下に置いている化け物国家さ。

それで、俺の仕事は奴らの為に惑星を滅ぼし対価として金を貰ってる――――――――はずなんだが、惑星1個200万REって労力に対してあまり釣り合って無いんじゃないかと思い始めてきた。

俺の船の修理費や点検費も馬鹿にならないし、生活費だって少なく無い。

最近物価も高く成りやがったしな……食料一袋買うだけで大体5万REだぞ、意味分かんねぇ。

少し前まで2万REじゃ無かったか?


「やってられるかアホらしい……」


ピピッ


「愚痴を言うより先に手を動かして欲しいものだな」


突然、目の前に別の宇宙人がホログラムとして現れる。

その軍服のような清潔な服装を身に纏うのは宇宙帝国の指揮官の一人、名はラーバスであった。


「ラーバス、今度給料上げるデモに参加してやるからな」


「そうなのか。次の星で戦果を上げればボーナスを支給してやろうと思っていたが……」


「本当にラーバス様って高貴な帝国軍人ですよね」


「分かれば宜しい」


ラーバスがそう言うと、モニター上に次の目標の惑星が表示された。

その惑星はとても青く、自然豊かな星であった。


――――そう、[地球]である。


「次の惑星は[地球]と呼ばれている。他の惑星より比較的温暖で均等の取れた植物と水によって豊かな土地だ。故に生活環境としては高評価であり、上層部も是非とも欲している星だ」


見た目は悪くねぇ、ちゃんと生息や生活も出来る。

恒星との位置関係としてはベスト――――むしろ、なんで今まで狙わなかったんだ?


「既に少数の部隊を送り込んだが、その全てがロスト。どうやら、原住民の質は高いらしい」


あ〜送り込んでも、誰も帰って来なかったんなら手を出しづらいよな――――は、おい、ちょっと待て。

俺、今からそんな星に行くの?

本気で言ってる?


「なぁラーバス、さっきボーナス支給って言ったが……」


「その話か、ボーナス支給の量は惑星10個分だ」


捨て駒じゃねぇか!!

それ帰って来ない前提の支給量だよなぁ?

はーやめやめ、やってられるかこんなもん!!


「ちなみに回れ右したら”帝国上級将軍”が行く手筈になっているから、それでも良いならするといい」


「…………はい、謹んでお受けします」


帝国上級将軍は宇宙帝国でも随一の実力者が所属する組織であり、その偉業は全宇宙にも轟いている。

一人で惑星滅ぼしたのは当然の話、数十を超える惑星の連合も僅か数人で返り討ちにする程その実力はかけ離れている。

つまり、1傭兵が太刀打ち出来る相手ではないのだ。


「はーマジで、こうなりゃヤケだ。絶対帰ってきてやるからボーナス分温めておけよ!!」


静寂だった宇宙は、今は騒々しい。

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