第17話:裏家業の現実と危険性

隼人お兄ちゃんから、

「明日から、お前にはもっと危険な仕事も任せることになる」

そう告げられてから、私の日常は一変した。

裏家業の世界がどれほど危険で、

そして冷酷であるかを、

改めて認識する毎日。

隼人モーターサイクルの見習い統括として、

私が裏家業の業務に深く関わるにつれ、

ライバル企業やマスコミの標的となるリスクが

現実味を帯びてくる。


「隼人さんが、どれだけの重荷を背負ってるか、

少しだけ分かった気がした」


私の理解は、彼の孤独に

少しだけ近づいた気がした。

店に届く意味深な手紙。

見慣れない視線が、

店の前をうろつく。

不審な電話のコール。

そして、店の周囲での怪しい動き。

それらは、私の「日常」に影が差し込み始めた証拠だ。

外に出ると、風の匂いの中に、

かすかに鉄の匂いが混じっているような

錯覚に陥る。

肌で感じる、張り詰めた空気。


御鏡家内部の派閥争い。

敵対勢力からの情報戦。

あるいは、物理的な妨害工作。

それらが、私の目の前で、

あるいは間接的に、

隼人モーターサイクルに及ぶ様子を描写。

ある時、店の裏口の監視カメラが、

何者かに破壊されているのを見つけた。

隼人が、いずみを守るために、

いかに多くの犠牲や決断を重ねてきたか。

その事実を、私は少しずつ理解し始めた。


彼が私を裏家業に引き込んだことに対する苦悩。

私を危険に晒すことへの葛藤。

それは、彼の行動や表情から、

痛いほど伝わってきた。

彼の冷徹な手腕の裏にある、

深い愛情と責任感。

それが、私には分かった。

彼の手のひらが、時折、

冷たく湿っているのを感じる。

それは、彼が抱える重荷の表れなのだろう。


危険が迫る中でも、

私は怯むことなく、

隼人の力になりたいと強く願う。

訓練で培った身体能力。

情報収集の基礎知識。

それらを活かして、

彼の指示のもと、小さな任務をこなしていく。

情報の運搬。

危険物の監視。

時には、裏社会の人間との

簡単な接触もあった。

私の迅速な判断力。

状況適応能力が、

日を追うごとに発揮されていく。


ある日、御鏡家の下位メンバーの一人が、

私に情報を持ってくる任務を命じた。

その情報は、敵対勢力の動向に関するもの。

私は、隼人の指示通り、

指定された場所で情報を受け取る。

しかし、その場には、

別の人物の気配がしていた。

訓練で培った感覚が、私に警告する。

私は咄嗟に、隼人から教わった

隠密行動の技術を使い、

その場を離れることに成功した。


「お前はもう、ただのガキじゃないな」


任務を終え、報告に戻った私に、

隼人がそう告げた。

その言葉に、私は静かな喜びを感じる。

裏社会での、私の成長。

それは、彼に認められることで、

さらに確かなものになっていった。

彼の隣で、私は、この闇の中で、

光を見つけようとしていた。


ある日の夕暮れ時。

隼人が自身の愛車である

「GSX1600Sブレイドマスターカスタム」を

見つめていた。

黒光りするそのバイクは、

私にとって、いつか乗りこなしたい、

憧れの象徴だった。

隼人が、静かに私に告げた。

「お前が、このバイクを継ぐ時が来るかもしれないな」

彼の言葉に、私の憧れと、

言葉では言い表せないほどの重みが交錯する。

彼の瞳には、未来を見据えるような

強い光が宿っていた。

それが、次話への期待感を高める。


いずみの日記:

隼人さんが背負ってる重いもの、

少しずつだけど、私にも分かってきた気がする。

この世界の危険も、すごく感じる。

でも、私はもう、怯えない。

彼の力になりたい。

それが、今の私の、一番の願いだ。


次回予告:

隼人さんのバイク、私に……?

まさか、そんな夢みたいな話、あるはずないよね?

次回、第18話「愛車の継承と碧お姉ちゃんの『科学魔法』」。

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