第3話/主寝室その1

その1




「…いいんですね?奥さん…」



「ええ、触って…」



高山タツノリは、ソファーに並んで腰かけている恵理子の肩を左腕で抱き寄せると、右手で若い人妻のふくよかな胸を這わせるように握り覆った。



「ああ…」



思わず恵理子は、真昼間に声優のようなキャン高い大きな艶声をあげてしまった。



「あまり大きな声は抑えてて下さいよ。いくら密室性がある間取りでも、壁伝えでお子さんに聞こえちゃいますから」



「まあ!あなた…、主人にこの家を勧めるとき、1階と2階は少々大きな声だしても聞こえませんよって、プライバシーの機能性を盛んにアピールしてたじゃないのよ。このくらいの声が聞こえるんなら、契約違反よ(笑)」



「”少々の”大きな声ならです。なので、ご家族在中でもその辺、踏まえてしっかり喘いで下さいよ」



「まあ、エッチねえ。こんな明るいうちから。ウフフ…」



「そんな憎まれ口聞くと、ほれ、こうしてやるぞー!」



高山は、素早く上着のスーツを脱ぎ捨てると、一気に恵理子をソファーへ押し倒し、馬乗りになってアニメキャラのような甘ったるい声の出口たるピンクの紅化粧がばっちしな唇を自らの唇で塞いだ。

ジュパッ…、という淫靡な音を浸つかせて…。



***



恵理子は思わずベッドの上でエビぞりながら、艶めかしいうめき声をカレと重ね合わせた唇の隙間から漏らすのだった。



「奥さん、オレも仕事中だし、何しろ早めに切り上げないと…。さあ、オレのカラダも撫で上げてくださいよ」



高山は手早にズボンを緩め、恵理子の右手を掴んでそこへ押しつけた。



「うふふっ…💖会社じゃあ、みんな仕事してるのに、いいの~?高山さんて…」



「奥さんこそ、旦那さんとハメ合ってるベッドに若い男を連れ込んで、真昼間から下品にアニメ声あげて…。お子さんが夏休みの課題学習中だってのに、なんていやらしい女なんだ」



「いやー、恥ずかしい~~」



「なに、気取ってるんですか。さあ、さっさとメイク・ラブしましょうよ」



恵理子は体の向きを変え、高山の上に乗っかると、いきなり、購入したマイホームの営業担当でもあった不倫相手たる年下オトコの首筋を嚙みあげた。



「痛てぇー‼」



「違うでっしょ、キモチいいでしょ?」



「ああ、キモチいーよ、奥さん」



理恵子はさらに、高山のワイシャツをはぎ取るように脱がせた後、やや薄っぺらい胸板を長い舌での舐め回しに、うつろな目で没頭するのだった…。



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