叶わぬ恋を奏でて
@jaito
第1話 変われるのかな
「私は…叶わぬ恋をした。」
(私は、赤羽 奏。特技があるわけでもなく、そこそこ頭は良いがあくまでそこそこ。運動も友人関係も顔も希薄。アトチョットフトッテキテル学校内の評価は問題児。いえば…)
("出来損ない"ってやつだ。そんな私が恋をしたのは学級委員長の高原 叶)
(顔はいいし、性格だっていい、運動もできるし気配りもできる。勉強ができなかったり、方向音痴だったりで完璧じゃないけど私なんかより何十倍も凄い子。)
「一応友達だけどさ……つらいな。」
「奏〜、今日一緒に帰ろ!」
「いいよー」
(叶ちゃんと出会ったのは1年前かな。
一年かけて仲良くなった。けど……)
「仲良くなっただけなんだよなぁ」
(好きだと気づいたのは最近だけどすぐに諦めた。同性だし、なにより釣り合わない。
告白して砕けるぐらいならこのままでいいかな。)
帰り道
「もう6月かぁ〜あと数ヶ月もすれば、高校受験だねぇ。奏はどこに行くとかあるの?」
「特に決めてないかな。でも多分叶ちゃんとは別の場所になっちゃうと思う。」
「そっかぁ…残念」
「まぁ、仕方ないよ」
「奏中学受験したんでしょ?私なんかよりはいいところ行くんだろうね。」
(中学受験という単語が聞こえると、私は無意識に叶の口を塞いでた。多分力を入れすぎたんだと思う。私も叶も地面に倒れた。けどそれを気にする余裕なんてなかった。)
「叶…その話はやめて、何度も言ってるけど私は落ちたから今の中学に行ってるの。」
「ごめん、奏迂闊だった」
「ならよし!どこか怪我してない?」
「大丈夫だよ。柔道何年も習ってたんだよ?あそこから押し返すぐらいできるよ。多分」
「強いね、叶ちゃんは」
「そんなことないよ。じゃまた明日、」
「また明日」
(はぁ…やっちゃったな。嫌われなかったかな。いつまで経っても気丈に振る舞うのは苦手かな。)
「私、そんな明るい性格じゃないんだけどな」
(学校ではやっぱ、嘘ついちゃう。ほんとは明るい性格じゃ無いし、本当は他人なんてどうでもいいし、本当は叶ちゃんが大好きだけどさ)
「私ビビリだからさ、好きにはなっても愛せる自信がないや」
(でも、あと7ヶ月で卒業か……きっと別々の高校に行って新しい友達作って、こんな思いも変わっていくんだろうな。)
「いつまでも好き、だなんて言えるかな。」
(もし、叶のまた明日が無くなったら私はどうなるのかな。今のうちに変わりたい。)
「そっか、私はまだ…マイナスにいるんだね。ならゼロに向かっていきたいかな。」
(叶わない恋なら君が振り向いてくれないなら)
(私は君の前に立つよ。そっちがゼロだから)
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