第8話 魂の消耗

 玲央奈れおなの机がなくなり、ネズミやその他もろもろの死骸がそこにあったのを見た瞬間、この他ない怒りを覚えた。

 これはなにに対しての怒りだろう?これを他の人に命令したであろう美沙みさ?命令を行動に移したであろうクラスメイトたち?

 

 違う。これは僕が先に逝ってしまい、玲央奈を1人にしてしまったことに対しての怒りだろう。そう思った。


 玲央奈は"それ"をネズミの死骸だと認識した瞬間、勢いよく口を手で押さえる。


「え、吐くなよ?教室が汚れちゃうじゃんw」

 そんな玲央奈の姿を嘲笑うかのように美沙が言う。

 その後ろでは美沙についてまわっている高谷正美たかやまさみがスマホで動画を撮っているのが見えた。


「え、ガチ汚ーいw汚物は汚物で消毒ってね!」

 正美がスマホに向かって実況しているであろう声が、僕には聞こえた


 "汚物"


 その単語が脳に伝わった瞬間、怒りが爆発した。 


 今すぐにでもこいつらを呪い殺してやりたい...


 だが僕はすぐに思いとどまった。それでは意味がない。もっともっと、呪い苦しめてから殺さないと...


 その時思い出した。僕が霊になった時、神様が言っていたことを。


『お前は守護者を守るために自らの魂を削り、取引をすることができる』

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