サンジェルマン伯爵の手記
たをやめ
エピローグ
現代日本。スマートフォンの普及率が9割を超え情報化社会となった今現在、魔術や神秘などと言ってもオカルトと鼻で笑われることだろう。
しかし実は世界は神秘で溢れている。
常人には認識できない。
ただそれだけの話だ。
その証拠に、ほら私の目の前には現に一人の
「
ボゴーン
目の前が炎で包まれる。
頭が吹き飛んでその勢いのまま青年の身体が後ろに倒れる。
常人ならば死んでいるだろう。魔術師だとしても頭を吹き飛ばされては生きていまい。ただその青年は、私は残念ながら常人でもただの凡庸な魔術師でもない。
ボコボコボコ
吹き飛ばされた頭が音を立てて巻き戻されるように回復されていく。
「おい、いくらなんでも酷くないか?」
そう魔術を発動した少女に言う。
「父さまが私を置いていくからでし。」
少女が唇を尖らせながら言った。
「確かに置いていったけどさ。ネリ、いきなり頭を吹き飛ばさなくてもいいじゃない?言葉とかさ?」
「どうせ不老不死だから問題ないでし。」
「…。」
こんなアグレッシブだっけ?育て方間違えたかも…。
そんなことを考えていると突然空がひび割れる。
そして裂け目からにゅっと黒い蜘蛛の足が出てきた。
その後に鬼の頭が出てくる。
「なんですあれ?」
全長が5メートルほどある、牛の頭に蜘蛛の体を持った怪異。
「牛鬼だね。強さはまずまずってところかな?」
牛鬼が脚を振り下ろしてくる。
ドスッ
蜘蛛の脚が身体を貫く。
「元に戻るとはいっても痛いには痛いんだけどね。」
そう呟く。
「なら避けるなりなんなりすればいいのでし。」
ネリがそう言うのが聞こえる。
彼女がやれやれといった感じで両手を広げているのは想像に難くない。
まったく。
「ネリ。魔術はこうやって使うんだよ。」
そう言って腹を貫かれたまま魔力を練る。
「振りかざすは慈悲の刃、
放たれた光線は紫色の光を放ちながら牛鬼の体を燃やす。
「身体に風穴が空いたままじゃ格好つかないかな?」
「そうでしね。父さま。」
青年の身体がぼやけながら少年、青年そして老人にまで変化していき青年に戻る。
「私はサンジェルマン。不老不死であり変幻自在の男さ。」
「その口上、毎回やってますけどかっこいいと思ってるんでしかね?」
え?かっこよくない?
ピロリン
そんなことを考えているとスマートフォンが鳴った。
画面には僕の最も苦手とする人物の名前が表示されていた。
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