第24話《生きてるオモチャ》

ここは、横浜・本牧にあるMちゃんの家。

もう今はなくなっちゃったけど、《米軍本牧ベース》のすぐ近く。ゲートの前に真っ赤なキャデラックが止まってたのを、オレはいまだに覚えてる。


ガラガラガラガラ…。玄関の引き戸を開ける。


行くからって伝えてあれば、カギは開けてあって、「勝手に入って来ていいよ」っていう家。


41「こんちわー。41来ました。おじゃましまーす!」


Mちゃん「( *・ω・)ノ やあ。フフフ。また変なこと起きたね。そこ座りな」


いつものソファへ、ドカッと座る。


41「(*≧∀≦) 来たよー、Mちゃん。話したいこといっぱいあるんだ。それと…これ、お土産っ!」


サッと差し出すのは、JUMP最新号。


(本来は月曜発売だけど、オレは土曜の午後に買える店を知っている。昔ながらの、漫画とエロ本しか置いてないおじいさんの本屋。《絶対買う人》にだけ、特別にフラゲさせてくれるんだ。)


Mちゃん「(*≧∀≦) マジ嬉しい。東京、早いなー。それ先に読むわ。飲み物、台所からテキトーに取ってきなー」


41「了解でーす」


台所では、奥さんのマリちゃんがテレビを見てた。


41「(*≧∀≦) マリちゃん、おじゃましまーす。さっきビックリしたよねw」


マリちゃん「( =^ω^) 怪奇現象だよ。ホントにゾッとしたわよーw」


41「ゾッとってw 飲み物もらうねー」


マリちゃん「バドもJAVATEAもあるよ」


41「JAVATEAにしとく。また後で話そー!」


マリちゃん「ゆっくりしてってね」


41「にゃんきゅー!」


マリちゃん「にゃんきゅう? なにそれ?」


41「ん? 今オレ、にゃんきゅうって言った?」


マリちゃん「もう、どっちでもいいわよw」


41「じゃあまた後でね〜」


Mちゃんの部屋に戻って、JAVATEAを渡す。


41「どう? 今週のドラゴンボール」


Mちゃん「16号、強そうだよね。来週も持ってきてよ」


41「JUMP闇取引!」


Mちゃん「ハイ!」


いきなりMちゃんが、生徒みたいに手を上げる。


41「ハイ。そこの手を上げてる人〜」


Mちゃん「(*>∇<)ノ 麻薬中国!」


41「(*>∇<)ノ 惜しい! 麻薬中毒でしたー!」


…何だこのやりとりw


Mちゃん「( ^ω^) だって、早く読みたいんだもーん」


41「Mちゃん…そんな大人に、オレもなりたい」


Mちゃん「(*≧∀≦) あはははは。41、とっくになってるよ〜」


41「そーいえばオレ、Mちゃんと初めて会った年齢になった。もう10年経つんだね。早いなー」


Mちゃん「そりゃ、幻聴も聞こえる歳だ。てか、マリちゃんと“41何してんだろうねー”って言った瞬間に電話鳴ったんだよ。出たら41じゃん。ビビった」


41「そんなタイミングだったの!?」


Mちゃん「そう! こんなことある!?」


41「ないない。オレもなんか呼ばれた気がして、“なんとなく”で電話してみよっかなーって。そしたら《41》って後ろから聞こえてさ」


Mちゃん「(*≧∀≦) 偶然にしてもすごすぎ。さすが“生きてるオモチャ”!」


41「(*≧∀≦) 幻聴通信機能付き!」


Mちゃん・41「《あははははは!》」


Mちゃん「オレも、話したいって思ってたとこなんだ」


41「じゃあどっちから話す?」


Mちゃん「どっちの方が面白い?」


41「まだ話してないから、わかんないでしょw」


Mちゃん「じゃあ、オレから」


41「なんでよ! 幻聴で呼んだの、そっちでしょ!」


Mちゃん「それは、オレたちが41の話してたから呼び出されたのっ」


ーー何だこの争い。ムダに面白い。この人と「もしも話」すると無限に続いちゃう。笑い疲れて終わるんだ。


この人、最高だよ。オレの成分はこの人で出来てる。オレは《天才》と呼ばれる、この人の作品の一つ《生きてるオモチャ41》だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る