勇者になれなかった者と勇者であろうとした者の話
@rastisra
第1話人探しの旅へ
目が覚める
何の変哲もない部屋にポツンとベッドと机がある部屋
体を起こし外を見る、広く晴れた青空にこれでもかと眩しく光る太陽、とは裏腹に俺の心象は面倒くささに溢れていた
「とりあえず、支度を済ませるか」
起きて身支度を済ませて学園に向かう生活も後2日で終わる
学園と聞けば華々しく聞こえるかもしれないがやっていることは訓練生の訓練、基礎的な事から個人に合わせた強化訓練まで色々とやっている。
剣を使ったり、槍、双剣、拳、魔法、魔術、呪術だったり様々だ。
ここに所属している訓練生は18歳になると卒業し、それぞれの道を進む。
冒険者、近衛兵、鍛冶屋、治癒院、候補は多種多様で、個人がどの道に進むかは概ね個人の判断に委ねられる。
1つの道標として自信に備わっているスキルが判断基準にもなる。
回復魔法が得意なやつが鍛冶屋なんかやるわけ無いだろって話しだな。
あと2日で訓練生が終わるということは俺もあと2日で18歳になるということなのだが…
「なんで未だにスキルが判明してないんだよ…」
そう、俺はスキルが判明せずこの学園を卒業しなければならない稀中の稀なのである。
1人1つスキルは絶対に持っている、中には複数持つ者も存在する。
俺自身もスキルは1つだけだが持っている。
だが生まれて18年間一度もスキルが使えたことが無い。
スキルが判明するのは簡単にそのスキルに関する動作を行った時である。
剣術スキルを持つ物が剣を振ったり稽古したりしたら剣術スキルが現れる。
俺も一通り全ての動作をやってみた…
が、結果は
名前:フェイル
戦闘力:20万
魔力量:10万
スキル:???
スキルが???のまま何も変わらない
唯一誇れるのは、戦闘力と魔力量が人並み外れて高すぎる点だ
これにより、戦闘系の職に就こうと思えば就ける、が…
「そもそも、スキルも無いのに何しに来たんだって言われるよなぁ」
スキルがあれば役割も分かりやすいのだが、ステータスが高いだけだとぶっちゃけ前線に立つほかない。
そんな事に頭を悩まながら部屋を出る
この部屋は俺個人の物ではなく、学園が所有するもので、いわば寮生みたいな形で俺は学園に通っている。
部屋から出て、大通りに出る
ここカローシュ王国は大陸にある3つの国の1つで剣と魔法に秀でた国である。
他の2つの国は帝国と聖王国。
聖王国は文字通り聖なる力を使うものが集う国、神聖魔法等の神に祈りを捧げた結果生じる事象で治癒や結界、攻撃魔法を得意とする人が多く存在する国である。
物理的な攻撃手段を使わない傾向にあるためカローシュ王国とは神聖魔法を使う者と物理的攻撃手段を持つ者又は武器等とお互いに無い力を補い合うために交流が有る国でもある。
一方帝国は魔法よりも技術的な道を進む傾向があり物理的な攻撃手段に合わせて人体改造や魔物改造などを行い戦力を持っている国である。
魔物とはいえ生物に改造を施す所業が聖王国と合わないため聖王国とは交流がほぼ無い。
カローシュ王国とは帝国で培った技術を1部利用するために交流がしばしばあるようだが、率先してお互いに関わることは少ない。
そして、この3カ国の力関係は概ね対等である為、3カ国で不可侵条約を結び人類での争いを起こさないように務めている。
話が少々脱線したがカローシュ王国の大通りは人の賑わいが凄い為朝から色々な場所で賑やかな声が聞こえてくる。
その声を聴きながら学園に向かう途中
「フェイル〜、おはよ〜」
と、元気いっぱいな声が近ずいて来る
「朝から元気だなアーシャ」
走ったのか肩で息をしながら
「挨拶したんだから、まずは挨拶を返しなさい」
と、呼吸を整えたアーシャが言う
こいつはアーシャ、俺と誕生日が3日しか変わらない為妙に馴れ馴れしくして来る
容姿は割と普通で整った顔に明るい茶髪、スタイルは若干細身だがスラリと伸びた長い足が綺麗に見える
「はいはい、あはようございました」
「全くいつもやる気が無いんだから」
「うるせぇよ、ほらさっさと行くぞ」
「この時間なら遅刻なんて絶対にしないのに、変なとこで真面目なんだから」
馴れ馴れしく関わって来るおかげで学園で唯一と言って良いほどの気軽に喋れる相手でもある。
「ところでフェイルはさ、明後日誕生日だけどもう何をしていくか決めたの?」
(痛いところ聞いてくるな…)
「まだだよ…そういうお前はだうなんだ?」
アーシャは俺より3日遅いだけなのでそれとなくこいつの職業も聞いてみる
「私?う〜ん…秘密!」
(人に聞いといて自分は言わねぇのかよ…)
アーシャの場合は選ぶ選択肢が多い方だと思う
細かいステータスは知らないが、スキルで魔法の効果が強くなるスキルを持っているらしい、その為魔法を使う場所であればどこでも上手くやって行けるだろうと思っている。
学園でのアーシャの評価もかなり高い、魔法を使えば学園トップ、護身程度なら体術もできる為即戦力として色んなところから声がかかっているはずだ…選ぶのはアーシャの自由なんだけどな
「フェイルの希望今日が締切なんじゃないの?」
「そうなんだけど、別にやりたいことも無いんだよなぁ…」
スキルが発動しない為何かに夢中になる訳でもなく漠然と学園に通っている結果提出期限ギリギリになっても特別焦る気にもならない
「まぁ、適当に冒険者にでもなれればそれで良いけどな」
「ふ〜ん、そうなんだ」
そこで学園に着いた
午前の訓練は体術や剣術と言った体を動かすものの為とりあえず着替えるために更衣室に向かう午後からは魔法や魔術と言った頭を使う方だ
更衣室前でアーシャと別れ着替えている途中
学園の教師が更衣室に入ってくる
「フェイル君は居るかね?」
唐突に名前を呼ばれ疑問に思う
「はい、居ますけど?」
「ちょうど良かった、放課後学園長室に来なさい、学園長が君に話しが有るそうだ」
「はぁ、分かりました」
そう言い残し教師は去っていった。
(なんだ?)
疑問に思いながらも着替えを終えてからアーシャを待つ…
(一人で行動すると怒るんだよなあいつ…)
女子の着替えは長いのだから変に考える
(学園長からの呼び出しは初めてだな…)
そんな事をぼーっと考えてると
「お待たせー」
と、アーシャが女子更衣室から出てくる
「おう」
アーシャの他に2人居るが名前は知らん
アーシャは学園でも友達が多い為なぜ俺と行動をしようとするのか謎である
「先行くぞ」
女子は着替えも長いが雑談も長い
「あ、待ってよ
ごめん2人ともまた後でね」
と、手を振りあっている
(呼び出しの内容が気になって落ち着けねぇ…)
その日の訓練を終えて学園長室に向かう
話を簡単に纏めると国王からの勅命で人探しをする旅にでなければならなくなった
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