4.変わる世界

「…………戻って……こられた?」


 ふと気づけば、私は近道しようとした裏路地に立っていた。さっきまでいた異空間?ではどこか異質な空気が流れていたけど。


「すぅ~~~……、はあぁ~~~~~」


 膝に手をつき大きく息を吐きだす。うん、この空気だ。

 別においしくないけど。排気ガスとか、いろいろ混ざった都会の空気だけど。


(よ、良かった〜〜。一体何だったのよ、さっきのは…………)


 前屈みになって膝に手をつき、さっき女の子がいた段ボールのところを見る。

 あぁやっぱり、段ボールはなくなってる。しかもその場所だけ、アスファルトの色が新しくなっている。まるで、誰かが何かを消した跡みたいな……。


 「…………」


 じっとその地面を見つめながら、さっきの出来事を思い出していた。


 『で 、たのs ったよ。ありgと……』


 あ、あれ?……うまく思い出せない。


 頭に手を当ててもう一度思い出してみる。すると、さっきよりも鮮明に思い出せた。


 そうそう。あの子……。茉莉ちゃんに腕をつかまれて、変なとことに飛ばされて……。記憶と感情を一気にぶつけられた。頭が割れそうでうずくまって頭を抱えた。そしたらなぜが、頭痛がひいて冷静になれた。


 かくれんぼをした。茉莉ちゃんが隠れて、私が鬼だ。うぅ、今思うとだいぶヤバい気がする。だって茉莉ちゃん、絶対幽霊とかそういうのだ。あそこで冷静になれなかったら、たぶん茉莉ちゃんの感情に塗りつぶされて、正気じゃいられなかった……。


 そこからは急展開すぎだ。どこに隠れてるかわかってたから、すぐに茉莉ちゃんを見つけられた。で、見いつけたってタッチしたら……。

 


 ぱきんっ!!


『あ』

 

「え?」



 ここに戻ってきたんだ。


 ………………タッチ……。


 今度は自分の手をじっと見つめてみる。


 



 ………………




 ………………………………




 ――ぼぅ


 「……んな⁉…………て……て、手がっ!」

 

 咄嗟に左手もみる。


 「左手も~⁉」


 指先から、ぼんやりとした光が漏れていた。


 白くて淡くて、なんだか暖かい気がする。


 「なに……これ……?」


 指を開いたり閉じたりしてみる。光は消えない。むしろ、指を動かすたびにゆらゆら揺れて、まるで生きてるみたい。


 「ちょ、ちょっと待って!これ、消せない……⁉」


 光る手を隠すように、慌てて上着のポケットに手を突っ込む。……よかった。周りに人はいないみたい。手が光ってるとことなんて見られたら職質されちゃう。最悪、科学者に捕まって人体実験の可能性も…………とっとと帰ろう。


 動揺を押し殺しながら、小走りで裏路地を抜ける。日が傾いて、あたりはオレンジ色に染まりはじめていた。

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