第5話!暴力にラブソングを③
米佐は、調理の準備に取り掛かる。食材はある程度揃えており、大抵の料理は作れる状態だ。
米佐(腕組みしながら):「……調理する前に聞いておきたい。アンタの好物はなんだ?」
シスター・ダマレーヤ(椅子に深く腰かけ、グラスをくるくると回しながら):「当ててみな。
ハワイへご招待するぜ」
(修道女モードを解き、マフィアモードで完全リラックス)
米佐(心の声):「……くっそ。あの暴力女の好みを当てるなんて……」
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米佐(小声):「院長、ちょっといいか……」
院長・神郷:「ん? どうしたのかな?」
* *
院長「シスター・ダマレーヤの好み……ねえ」
米佐「頼む、なんでも彼女に関する情報を⋯!」
院長「……そう言うと思って、探偵に彼女の身辺を調査したんだけどねぇ、その探偵か行方不明になってんだよ」
米佐「まじでマフィアじゃねえか」
(院長、ポケットから1枚の紙を取り出す)
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院長:「だが、探偵が遺したただ一つのメモがある……」
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(紙にはこう書かれていた)
> 「“彼女は毎月第3火曜日に、
シークレットでサンリオカフェに通っていた形跡がある……」
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米佐:「……もうそれ完全に“カワイイもん好き”確定じゃねーか!!
だのに“そんなもん好きなヤツは銃殺”って空気出してんだぞ!?」
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院長:「自分の“弱さ”を知られたくないんだろうね……
彼女にとって、可愛いは罪なのさ」
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米佐、 覚 悟 完 了 。
米佐(立ち上がり、目に炎):
「いいぜ……なら、俺の料理でその罪を赦してやる」
「——“カワイイ”を“カッコいい”に偽装して、胃袋の奥にぶちこんでやる!!!」
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院長:「神よ……今日も、この修道院は生き延びますように……」
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シスター・ダマレーヤ(指で銀のリボルバーをくるくる回しながら)
「なるべく早く作れよ?私の気が変わらねぇうちに」
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(カチッとシリンダーの回転音)
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米佐(うっすら汗をにじませながらも、笑って返す)
「まぁそう焦りなさんな……食材は逃げねえよ」
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(冷蔵庫をゆっくり開ける音)
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❄️中にあったもの
いちご(小粒)
卵
生クリーム(使いかけ)
ほうじ茶のパウダー
あんこ(缶詰)
プリン(固め)
なんかの宗教行事で残った「ザクロの実」
見た目の怖いウーパールーパー型のゼリー(カッワーイの遺産)
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米佐(心の声)
「……カワイイもん好きってバレないように、
“大人の渋さ”と“かわいさ”を融合させたデザートを作るしかねぇ」
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その名も………
> 《赦しのほうじ茶ティラミス〜いちごの涙を添えて〜》
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ベース:ビターなほうじ茶スポンジ
中層:マスカルポーネと生クリーム+あんこ少々(和洋折衷)
トッピング:いちごを丸ごとハート状にカットし、プリンゼリーでコーティング
隠し味:ザクロの果汁を“いちごの涙”として小さく滴下
> ※見た目はシック&和風スイーツなのに、
食べると「うわ、なにこの……うさぎパフェ食べてる気分……」と心が解けていく。
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米佐(材料を並べながら):「……こいつはきっと、誰かの心を赦す味になる」
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修道士A(小声で):「あの、これ“推し活ケーキ”じゃない?」
修道士B:「黙っとけ、撃たれるぞ」
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シスター(リボルバーを掃除しながら):「……口に合わなかったら、コンクリートに沈めるからな」
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米佐:「上等だよ、ダマレーヤ。
このスイーツは、“お前の心の冷蔵庫”も開けちまうからな──」
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2皿目
『赦しのコンフェッション・パフェ 〜Strawberry Gun Bless〜』
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コンセプト
「暴力と可愛さと信仰の三重奏」
シスター・ダマレーヤの“秘められた本音”と“世界観”を一皿に込めた、
ゴスかわ×武闘派×うさ耳の異色パフェ!
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ビジュアル
黒いグラスに盛られたパフェ(黒曜石を思わせる)
上にはピンクのホイップ、いちご型の十字架クッキー
リボルバー型チョコプレートが添えられている
うさ耳を模したマシュマロがぴょこんと刺さってる(バレないレベル)
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味の構成
層 内容 味と意味
トップ いちご生クリーム・ハート型マシュマロ 「外見=強面でも中身は甘い」
上層 いちごコンフィチュール+黒糖ゼリー 「優しさと渋さの共存」
中層 きな粉アイス・抹茶クランブル 「禅寺の過去・米佐との共鳴」
下層 サクサク玄米パフ+マスカルポーネ 「罪と赦しのバランス」
最下層 ザクロジュレ(透明赤) 「涙=過去の後悔」
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米佐:「まずは前菜……“かわいい猫ちゃんのアイスパフェ”だ」
(グラスの上に、うさ耳マシュマロ+ピンクのクリームで描かれた猫の顔。
サンリオ公認かと思うくらいの完成度)
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シスター・ダマレーヤ:「はっ……見た目は立派だが、味はどうかな?」
(スプーンですくい、無表情で口に運ぶ)
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米佐(心の声):「……あれ?なんか反応薄くね……?」
(“かわいいもの=喜ぶ”という思い込みが、今……砕け散る)
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シスター(スッ……とスプーンを置きながら):「ちなみに言っておくと、
サン〇オカフェに行ったのは、家族との付き合いだ。」
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米佐:「ば、バレてるゥゥゥ!?!?!?」
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(院長がそっとフェードアウトしようとするが……)
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シスター:「私は、信用した人間にしか情報は渡さない。覚えておきな」
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院長:「つまり、私は信用されてない人間って事ね……トホホ。
こんなに長い付き合いなのに……給食のプリンも分けたのに……」
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米佐は急いでメニューを作り直し、コンセプトを変えた、新しいデザートを用意した。
米佐(銀のスプーンを手渡しながら):「2皿目はコレ……“神の赦しティラミス”だ」
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シスター・ダマレーヤ(腕を組み、冷めた目で):「……ティラミスって層になってるから、
どっちかって言うとダンテの『神曲』だよな。地獄、煉獄、天国の三層構造。
赦しって感じか?これ」
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米佐(ニヤッと笑って):「食ってみな、飛ぶぞ」
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(空気が一瞬で張り詰める)
(修道士たちが、ゴクリと喉を鳴らす)
(銃の安全装置のカチッという音が鳴る)
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「神の赦しティラミス」構成
地層1:ビターコーヒーとほうじ茶を合わせたスポンジ
→ “苦しみ”と“内省”を表現
地層2:甘さ控えめマスカルポーネ+黒蜜あんこ
→ “和解”と“文化の融和”
地層3:甘く煮詰めたザクロとラズベリーのソース
→ “罪の記憶”と“流した涙”
トップ:聖書の一節をプリントした飴細工(食べられる)
→ 「罪をも赦される者は幸いである(詩篇32:1)」
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ダマレーヤ(ひとさじすくい、口に運ぶ)
(……沈黙)
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修道士A(小声で):「……まさか、本当に“飛ぶ”のか……?」
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シスター(スッ……と目を閉じて)
「…………これは……」
(銃を静かに机の上に置き、顔を伏せる)
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米佐:「赦しってのはな、見た目でも理屈でもなく、
“心が受け入れるか”で決まるんだ。
──だろ?」
院長「まぁ、禅宗とカトリックで思想の違いこそあれどね」
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シスター:「……言葉を慎め。
だが、これは……ちょっと……マジで美味い……」
気の所為か、ダマレーヤの口元が……微かに、笑ったように見えた。
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その瞬間、全修道士のスタンディングオベーションがキッチンに響く。
修道士たち:「おおおおおおおお!!!」
院長:「やったぁぁぁぁ!!!!信頼と味覚の“贖罪ティラミス”が勝ったあああ!!」
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米佐(グラスを下げながら):「なぁ、シスター。
“好きなもん、好きだって言える場所”があった方が、人生ちょっと救われると思わねえか?」
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シスター「フン⋯好きなモノか。お前の料理に免じて、1つだけ教えてやる」
シスター「私のタバコの銘柄はオリオンの“ソーダシガレット”だ」
修道士A「ダマレーヤ!お前もか!」
院長(両手を合わせながら)
「主よ……今、この修道院に、
かつてない“平和の風”が吹いております……」
To be continued...
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