言葉にならない「特別」

★概要

登場人物2人の百合声劇の台本です。


★利用規約

商用/非商用問わず無料で、本台本を基にした作品制作に利用できます。詳しくは下記URL(『★利用規約』ページ)をご覧ください

https://kakuyomu.jp/works/16818622177463055239/episodes/16818792436262548215


★人物設定

紗耶香(さやか):

中学2年生、女子。瀬那とは中1、中2ともに同じクラス

社交的で交友関係は広い。帰宅部、美化委員会所属

中学校入学時に瀬那と出会い、席が近かったので話しかける。主に瀬那の性格のせいでうまくコミュニケーションはとれなかったが、その後も話しかけつづけると向こうからなついてきた

2年になってきた頃にはだいぶ瀬那の扱いにも慣れて、一番大切な友達と言えるレベルにはなったが、そこに恋愛感情が混じってるかどうかは不明


瀬那(せな):

中学2年生、女子

人付き合い苦手で交友関係は狭い。帰宅部、委員会活動もなし

他人に対する警戒心が強く、攻撃的に振舞うことがあるのは自覚している。紗耶香しか友達がいないので若干依存しているところがあるが、その点については特に気にしていない


★場面設定

7月。放課後の教室。遊びに行く約束をしていたため、瀬那が1人で待っていたところ、紗耶香は美化委員会の活動から帰ってくる。紗耶香は瀬那に声をかけるが、なんとなく瀬那は不機嫌そうだ





★本編


【BGM:放課後の教室っぽい曲、ちょっと不穏な雰囲気も漂わせつつ】(フェードアウトしつつ次のSE)


【SE:教室の扉を開く音】(紗耶香が教室に戻ってくる)


紗耶香:ごめん、ちょっと遅くなった

瀬那:(低めの声で不機嫌そうに)ん

紗耶香:(若干の間)怒ってる?

瀬那:(やはり不機嫌そうに)怒ってないけど

紗耶香:うーん、私の目には怒ってるように見える

瀬那:(さらに不機嫌さを強く)勘違いでしょ

紗耶香:(極力穏やかな口調で)勘違いなら勘違いでいいよ。でも私に対して怒ってるんなら、どうして怒ってるのか教えてほしいかな

瀬那:(ちょっと不機嫌さのレベルを下げる)なんで?

紗耶香:わたしにとって瀬那は大切な友達で、これからも良好な関係を長くつづけていきたいと思ってるから


(間。瀬那は紗耶香の言葉を受け入れて自分の中の気持ちを整理しようとする)


瀬那:(それでもまだ不機嫌さを残して)だれ?

紗耶香:(本当にわからないというように)だれって何?

瀬那:とぼけないで

紗耶香:とぼけるも何も、「だれ?」だけだったらヒントがなさすぎるよ

瀬那:髪の長い女

紗耶香:もうちょいヒントちょうだい

瀬那:眼鏡かけてる、美化委員会の

紗耶香:(思いついて)牧野さん?

瀬那:(ちょっと不機嫌さをあげつつ)名前知らないけど多分そいつ

紗耶香:(少し考えこんでから)牧野さんがどうかしたの?

瀬那:さっき楽しそうに話してた

紗耶香:楽しそうかどうかはさておき話してたのは確かかな

瀬那:笑ってた

紗耶香:うんまあ笑うぐらいはしてたかも


(間。紗耶香は宙を眺めて、瀬那の言ったことの意味を考える)


紗耶香:もしかしてだけど嫉妬してるってこと?

瀬那:(少し声をあらげる)だれがだれに?

紗耶香:瀬那が、私に、牧野さんと話していたことで、嫉妬してるってこと?

瀬那:(大声で反論する)違うし

紗耶香:(少しおどけて)違ったかー

瀬那:(大きく息をついてから、ぶつぶつとつぶやくように)当たり前でしょ


(間。紗耶香は瀬那に視線を合わせて、どうすればいいのか考える)


紗耶香:(瀬那に対して距離を詰め、手を握り、正面から見つめる)瀬那

瀬那:(動揺で声が震えている)いきなり何

紗耶香:(はっきりと聞き取りやすい口調で)わたしが学校という社会で暮らしている以上、いろんな人間関係が発生してそれをおろそかにすることはできない

瀬那:それで?

紗耶香:周りの人に対して基本的にいい顔をするし、好意を抱くこともある。ただその中でもわたしが瀬那に抱いている好意は特別なもので、そのことについては信じてほしい


(間。長めに。瀬那は紗耶香に視線を合わせずうつむいたまま、ぐるぐる考えてようやく気持ちを落ち着かせる)


瀬那:(観念したように小さな声で)わかった

紗耶香:(優しい口調で)何が?

瀬那:(大きな声で)あんたの言いたいことはわかったって言ってるの! それといつまで手握ってるの、一旦離れて!

紗耶香:(慌てたように手を離して距離をとる)あ、ごめんね。すっかり忘れてた

瀬那:(少し不機嫌そうに)別にいいけどね


(間)


瀬那:どうする?

紗耶香:どうするって何?

瀬那:これから。今日時間あるんでしょ

紗耶香:(瀬那が誘ってくれてるのに気づいてうれしそうに)うん! 瀬那はどこか行きたいことある?

瀬那:どこでもいい、紗耶香といっしょなら

紗耶香:(わずかな間)そっかそっか。わたしも瀬那といっしょなら、どこでも楽しいよ

瀬那:(ぶっきらぼうに、ただし少し楽しそうに)あっそ


【BGM:どこか明るい雰囲気の曲】(フェードインで始まってフェードアウトして終了)

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