ファントムブラスト その1
「
トオルは耳慣れない単語に、思わず聞き返す。
「そう。まあ説明を省きすぎたよね。順を追って説明するね。」
そう言って彼女は説明を開始した。
「まず君たちが居る人間界。そして、私のような上位天使が存在する天界。あっ、まだ名前言ってなかったね。マールって呼んで。君は?」
「あっ、相原トオル。トオルって呼んでください、まあ、相原でも。」
自称天使は、そう、とだけ返すと説明を続ける。
「天界のものと人間界のものが混ざり合った場が、さっきも行ったけど、ここ
これは夢だ、と言う考えはもう無くなっていた。トオルは生き残るため、与えられた情報を必死に理解しようと努める。
「天界と魔界は、人間界に影響を与え合っていて、そこで起きた問題は昔から裁判って形で解決してる。」
なんと無くこの先の話の展開が読めたので、彼は先手を打って質問した。
「じゃあその裁判を僕は手伝えばいいんですか?」
マールは話の腰を折られ、露骨にムカついた表情を一瞬した後、スッと作り笑いを浮かべ説明を続けた。
「そう早とちりをするなって。まああってはいるんだけどね。問題はその裁判の方法だ。最初は戦って決めていたらしいんだよね。そしてそれはよくないって事になって、話し合いで決めるようになった。その次は色々あって、確か歌で決まったのかな。
そんな感じで色々繰り返し変わっていった結果、今はまた戦いで決める事になったんだ。」
内容は頭に入っているが、この先の話が全く見えない。トオルは呆けた顔で聞き返す。
「え…、それで、つまり…?」
「君には幽世裁判で天界側の
「…は?」
何を言ってるかがわからなかった。まだ夢の方が脈絡がある。
「いやだって俺、まあ腕っぷしに自信なくは無いけど、人間相手のことだし…。そもそもこんな強いか弱いかわかんないやつ、闘士として採用していいんですか?」
マールは即答する。
「いいよ。」
説明を続ける。
「強いか弱いかで言ったら、クソ弱いだろうね。ただ君は、過程はどうであれ、『七色の羽根』を手にした。それは事実だ。運とかはあるだろうね。まああとは、この戦いはその勝ち負けがイコール判決では無いんだ。」
七色の羽根、という新しい単語が少し気になったが(あとクソ弱いとか言われたことも)、それよりも聞くべきことがある。
「というと?」
マールは淡々と、とてつもないことを口にする。
「派手に内蔵が撒きちったり、綺麗に血飛沫が飛んだり、無様に負け惜しみしたり、負け側の芸術点みたいのもあってね。ショーみたいな感じだね。だから正直今回はその要員としてがメインかな。」
「…。」
言葉通り、言葉を失った。説明を終え、ひと段落ついた様子のマールとは対照的に、トオルは冷や汗が止まらない。俯いている彼に聞こえないくらいの声量で、天使は呟く。
「まあ、簡単に死ねないんだけど。」
*
トオルはいくつか質問をするも、マールは「そうかもね。」「やればわかるよ。」としか言わない。不安がるトオルを尻目に、彼女ははい、と手を叩く。
「じゃあ、もう行こっか。」
え?どこへ?そんな疑問などお構いなしに、マールはトオルの手を引く。彼女の背中に大きな翼が生えると、それが羽ばたき、大きな風ととてつもない推進力を生み出した。すると空中に光を放出したゲートが現れ、その中に吸い込まれていく。
「じゃ。」
眩い光の中で、その短い声だけが聞こえた。
*
「いてて…。」
トオルはどこかの地面に着地する。あたりは暗かった。眩い光から急に暗所に来たので、目を慣らすために何度か瞬きをする。
そこはどうやら学校の校舎のようだった。おそらく二階か三階で、トオルは廊下で足を伸ばし、座り込む形になっていた。
ゆっくりと起き上がると、窓から校庭が見える。高さ的にここは三階だろうか。
そして─
校庭の真ん中には、何かがいた。
その何かは人型で、包帯を巻いた頭に大きな釘が何本か刺さっている。3メートルほどの規格外の巨体と、やけに長い腕、そして右腕には大きな斧を持っていた。
そいつは校庭からギョロっとした目でトオルを見ると、校舎へゆっくりと向かってきた。
To Be Continued…
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