第021話 中学生活の始まり

 1998年4月8日 桜丘中学校入学式


「聡、緊張する?」


 翔が僕の隣で小声で聞いた。桜丘中学校の体育館。新入生約200人が整列している。


「少し。でも、楽しみの方が大きい」


 僕は正直に答えた。前世では中学時代の記憶がほとんどない。今度は違う。


「新入生代表、田中聡君」


 校長先生が僕の名前を呼んだ。入学式の新入生代表挨拶。


「はい」


 僕は緊張しながら壇上に向かった。


「私たち新入生一同は、新しい環境で勉強と部活動の両方に真剣に取り組むことを誓います」


 短い挨拶だったが、心を込めて話した。


 拍手の中、席に戻ると翔が笑いかけてくれた。


「さすが聡だな」


 入学式後、クラス発表。


「1年A組...田中聡、山田翔」


 僕たちは同じクラスだった。


「やったー!」


 翔が小さくガッツポーズした。


 教室に向かう途中、投資のことを考えた。


 春休み中、ヤブーとソフトバンキの株価はさらに上昇していた。


『1998年4月8日 現在の投資状況』

『ヤブー株:12株(現在価格3,500円、評価額42,000円)』

『ソフトバンキ株:8株(現在価格5,500円、評価額44,000円)』

『現金:7,000円』

『総資産:約93,000円』


 小学校卒業時の88,000円から、わずか3週間で5,000円増加していた。


「1年A組の皆さん、はじめまして」


 担任の佐々木先生が入ってきた。30代前半の女性の先生だ。


「今日から3年間、一緒に頑張りましょう」


 自己紹介が始まった。


「田中聡です。小学校では投資研究をしていました。中学校では勉強を第一に、新しいことにも挑戦したいです」


 クラスメイトたちがざわめいた。「投資研究」という言葉に驚いたようだ。


「山田翔です。田中君とは小学校からの親友です。中学校では野球部に入る予定です」


 翔の自己紹介は安定していた。


 昼休み、僕たちは校内を探索した。


「図書館、大きいな」


 翔が感心していた。小学校の図書室とは比べ物にならない蔵書数だ。


「ここで勉強できそうだ」


 僕は図書館に魅力を感じた。投資研究にも使えるかもしれない。


「部活動はどうする?」


 翔が聞いた。


「まだ決めてない。君は野球部?」


「うん。小学校でもやってたから」


 僕は迷っていた。前世では部活動の経験がほとんどない。


 放課後、部活動見学。


 野球部、サッカー部、バスケットボール部...運動部が活発だった。


 文化部も見て回った。


「科学部、面白そうだね」


 翔が実験器具を見ながら言った。


「図書委員会は委員会活動だから、部活動とは別だけど、両方やってる人もいるみたいだ」


 僕は図書委員会の活動に興味を持った。


 帰り道、翔と話した。


「中学校、どう思う?」


「小学校より自由だけど、責任も大きそうだ」


 翔の感想に同感だった。


「投資の方も、もっと慎重にやらないと」


「そうだね。でも、勉強が最優先だ」


 これは重要な確認だった。


 家に帰ると、母さんが待っていた。


「聡、入学式どうだった?」


「楽しかったよ。翔と同じクラスになった」


「良かったわね。代表挨拶も立派だったって、他のお母さんから聞いたわ」


 母さんが嬉しそうだった。


「中学校では何部に入るの?」


「まだ迷ってる。図書委員会は委員会活動だけど、興味があるかな」


「いいじゃない。聡らしいわ」


 その夜、投資日記を書いた。


『1998年4月8日 中学生活開始』


『新しい環境』

『桜丘中学校入学』

『翔と同じクラス(1年A組)』

『新入生代表挨拶を担当』


『投資状況』

『総資産:約93,000円』

『ヤブー・ソフトバンキ両株順調』

『春休み中に5,000円増加』


『中学生活の方針』

『勉強第一、投資は補助的』

『部活動も検討、委員会活動も検討(図書委員会が有力)』

『翔との友情継続』


『今後の目標』

『中学1年で20万円達成』

『勉強と投資の完全両立』

『新しい友達作り』


 続いて、青春日記も書いた。


『中学生活への期待』


『新しい挑戦』

『代表挨拶という責任ある役割』

『部活動という新しい体験』

『より高度な勉強内容』


『友情の継続』

『翔と同じクラスの安心感』

『小学校からの絆をさらに深める』

『新しいクラスメイトとの関係』


『投資との両立』

『勉強時間確保が最優先』

『投資研究は週2-3日に制限』

『長期的視点での資産成長』


 窓の外では、夜桜が美しく咲いている。


 中学生活の始まり。新しい環境、新しい挑戦。


 投資も順調だが、それ以上に大切なのは、この3年間で人として成長することだ。


 翔との友情を継続し、新しい友達も作り、勉強と部活動に真剣に取り組む。


 前世では経験できなかった、充実した中学生活を送ろう。


 転生して3年。小学生編は完了し、いよいよ中学生編の開始だ。


 投資家として、そして13歳の少年として、バランスの取れた成長を続けていこう。


 すべての経験を大切にしながら、未来に向かって歩き続けよう。


 明日からは本格的な中学生活。


 授業、部活動、そして投資研究。


 すべてを全力で取り組みながら、青春を満喫しよう。


 桜の花びらが風に舞っている。


 新しい季節、新しい人生の章の始まり。


 僕の第二の人生は、さらに豊かになっていく。

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