中身のない物語集(カクヨムの姿)
ミスターチェン(カクヨムの姿)
第一シーズン ス○ゼロ文学(自称) テーマは…妄想? (第I話〜第100話)
第1話 夢の国の住人へ
祖父が亡くなった日、ユウトは押し入れの奥から、ひとつの古びたフィルム缶を
見つけた。
銀色の缶には、手書きでこう記されていた。
「ぼくの親友へ――夢の国で、また会おう」
中には、16ミリのフィルムと、色あせた紙のチケット。
そのチケットには、見慣れない文字が書かれていた。
「YUME NO KUNI(夢の国)片道切符」
まるで冗談のようだが、ユウトはなぜか胸がざわついた。
見たことのないはずの文字に、なつかしさを感じた。
ユウトは祖父がかつて映写技師として働いていた、町外れの廃映画館を訪れた。
今は誰もいない、風の吹き抜ける空間。けれど、フィルムを映写機にかけた瞬間――
世界が、動き出した。
スクリーンの中に現れたのは、丸い耳に白い手袋のキャラクター。声はなく、
ただくるくる踊り、手を振り、満面の笑みを浮かべている。
ユウトの心に、あふれるような記憶の波が押し寄せた。
「……知ってる。君を……夢の中で、何度も見た」
その瞬間、映像の光がまばゆく広がり、ユウトは目を閉じた――
そして、目を開けた時、そこは見たこともない世界だった。
カラフルな山、雲の上を走る汽車、空に浮かぶ城。
そこはまさに、「夢の国」。
あのキャラクターが手を引いて、ユウトに微笑んだ。
「ようこそ、夢の国へ」
そこには、楽しげな声が飛び交い、優しい笑顔が溢れていた。
ユウトは、まるで祖父に手を引かれて歩いていた頃のように、懐かしい安らぎを感じた。
夢の国を歩きながら、キャラクターは言った。
「君のおじいちゃんと、ここで毎晩遊んだんだ。僕たちは、毎日が冒険だった。……でもね、彼はもう、夢を見ることができなくなったんだ」
「だから君が来てくれて、本当にうれしいよ」
ユウトの目に涙が滲んだ。
「……僕も、おじいちゃんとまた会いたい」
キャラクターは静かに頷く。
「きっと、君の夢の中に来るよ。思い出があれば、夢は何度でも見られるから」
やがて、空の汽車がユウトを迎えに来た。
帰りのチケットは、ポケットの中にすでに入っていた。
キャラクターは、最後に手を振って、こう言った。
「また夢の国で待ってる。きみが忘れない限り、僕たちは何度でも会えるよ」
――目を覚ますと、映画館は消えていた。
手には、夢の国の片道切符だけが残されていた。
それから数年後。
ユウトは映像作家になり、「夢の国で会ったキャラクター」の物語を
描き続けている。
スクリーンの中で微笑む、あの丸い耳の影は、今日も誰かの心に灯をともす。
「また夢で会おう。ぼくたちは、永遠に友達だよ。」
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