第4話 初めてのボス戦
今日は進化したブルーのLv上げをする。
その前にブルーのSPを振っていなかったから素早さに2振った。
これでブルーの素早さが4になった。
まずは昨日行った『ゴブリンの集落』に向かう。
そこでブルーがどれだけ強くなったのか確かめる。
「ギャギャギャ」
ゴブリンは、叫びながらナイフを振りかぶってブルーに向かってくる。
「ブルー、『プチファイア』」
ブルーはその場から動かずに小さな炎の球をゴブリン目掛けて放つ。
それを見たゴブリンは咄嗟の回避を試みが、勢いよく突っ込んできたのもあり、直撃は避けられなかった。
ゴブリンのHPを一気に8割近く削り、怯ませることに成功した。
このチャンスを見逃さずオレは追撃の指示を出す。
「ブルー『体当たり』」
プル、プルン、プルン、ドカッ
ブルーの追撃は決まってゴブリンのHPは0になった。
よし、思ったよりもいい感じ。
昨日、ゴブリンと正面から戦った時はすごい苦戦したけど、進化した今のブルーなら余裕で勝てる。
やっぱり魔法攻撃力が8と攻撃力が純粋に上がってるのが大きいな。
その後も同じ戦い方でゴブリンを倒し続ける。
何体くらい倒したのか数えきれなくなったタイミングでゴブリンメイジと遭遇した。
ゴブリンメイジが先制で『プチファイア』?を放つ。
それを『マジックシールド』を使い凌ぎ、負けじと『プチファイア』を放った。
それがゴブリンメイジに直撃し、怯んだところを『体当たり』で追撃し、倒した。
通常のゴブリンと違って、初手に『マジックシールド』で防御するが加わっただけで、あとは同じ容量で戦えば勝てる相手だとわかった。
それに魔法攻撃力か、魔法防御力のどちらか高い方を参照して耐久値が決まる『マジックシールド』で完璧にゴブリンメイジの攻撃を防げた。
確実に強くなった。
その手応えがオレの中にはあった。
それと同時にここはブルーのLv上げには向いていないと思った。
純粋にLvを上げるだけならここでもいいけど、今のブルーにとってゴブリンやゴブリンメイジを倒すのはただの作業に近い。
これだと、この先 自分たちよりも強いモンスターと戦った時、立ち回りとかで遅れを取る。
『ゴブリンの集落』は初心者専用のダンジョンだからボスモンスターがいない。
だからゴブリンメイジがここでは一番強い。
そうなると、もう少し強いモンスターが出現するダンジョンでLv上げをしたい。
いろいろと調べた結果、ここからさほど遠くない場所にあるFランクダンジョン『嘆きの墓地』に挑戦することにした。
挑戦と言ってもダンジョンのボスモンスターと戦うわけじゃない。
『嘆きの墓地』は寂れた墓地がモチーフとなっていて、ゾンビといったアンデッド系モンスターが出現する。
正直、仲間にしたいとは思わないけど、光属性と火属性が弱点だからここを選んだ。
ブルーとの相性が良い以外にメリットは何一つ無いけど、まだ始めたばかりの初心者。
まだそんな贅沢は言えない。
『嘆きの墓地』に入るとすぐにゾンビの集団と遭遇した。
その数は4体。
「ブルー、『プチファイア』!できる限り距離と取って攻撃。1体ずつ確実に倒すよ」
ブルーはゾンビたちと距離を取りつつ、『プチファイア』で確実にダメージを与えていく。
しかし、ゾンビたちの数が多いのもあって、『プチファイア』が間に合わず、距離を詰められることもあった。
これはブルーがプルと僅かに横へ移動し、『体当たり』で応戦することで凌いだ。
「ブルー、直ぐに離れて!」
プル、プルプル、プル
1体のゾンビの手がブルーに届きかけたが、『体当たり』で防いだ。
それでもまだ3体いたので、全速力で引き下がりつつ『プチファイア』で攻撃するを繰り返した。
その結果、時間こそ掛かったけど、ゾンビ4体をノーダメージで倒すことに成功した。
その後もゾンビと戦い続け、ブルーのLv5、『プチファイア』はLv2まで上がった。
「ブルー、『プチファイア』!……え、一撃?」
これまで通り、距離を取って『プチファイア』をゾンビに放ったら一撃だった。
たぶん、Lvが2に上がったからだと思うけど、これはちょっと予想外。
あっさりとゾンビの集団を全滅させた。
ブルー無双と言える状況で、ゾンビがまるで敵じゃない。
正直、別のダンジョンを探して、そっちに行こうかとも考えたけど、サクサク勝てるのが楽しくなっちゃったのか、ブルーがプルプルと奥に進んで行った。
遭遇したゾンビを一撃で蹴散らしていくからなかなか追いつけなくて、気づいたら荘厳な雰囲気を醸し出している扉の前にいた。
さすがのブルーもこの先に自分だけで突き進むことはしていない。
「ブルー、今回は何事も無かったからいいけど、自分だけで奥に進まないでね」
プル、プヨ
ブルーの回収もできたし、ここで一度帰って他に丁度いい難易度のダンジョンが無いか探すつもりでいたけど、ここまで来たら話は別だよな。
ダンジョン内に存在する扉。
基本的にこの奥にはそのダンジョンのボスモンスターがいる。
『嘆きの墓地』のボスモンスターはスケルトンナイト。
ダンジョンについてネット上の攻略サイトで調べていた時に偶然、目に入ったから知ってる。
ゾンビと違って弱点は光属性だけ。
ブルーの『プチファイア』は火属性だから弱点じゃない。
その上、防御面がとにかく硬いらしい。
ネット上の情報では、盾持ちの剣士で、与ダメ吸収スキルも使えるとか。
ただ、その分、攻撃力は控えめとあった。
全体的に防御や継戦能力が高いボスモンスターという評価だった。
……SPを全部 素早さに振って回避能力を高めたらいけないかな?
いや、だってさ、攻撃って当たらなければノーダメージだし。
もし、ブルーの与えるダメージが少なくても、数撃てばいいわけだし。
名前:ブルー Lv1→5
種族:フレアスライム
カテゴリー:一般種
HP:130
物理攻撃力:3
物理防御力:8
魔法攻撃力:8
魔法防御力:5
素早さ:4→8
SP:0→4→0
《スキル》
『体当たりLv2』
『プチファイアLv1→2』
『マジックシールドLv1』『火属性耐性Lv1』
よし、ステータスの割り振りはこれでOK。
素早さが倍に上がって、ブルーの動きが目に見えて早くなってる。
小さくプルプルと震えて、一緒にボスモンスターと戦おうって言ってる気がする。
今のブルーとなら、ボスモンスターが相手でも勝てる気がする。
オレはスケルトンナイトの情報を頭の整理してからボス部屋の扉を開けた。
すると、中からドス黒い靄のような何かが流れ出てきた。
プルン、プルプル
それに構わず中へ突き進むブルー。
オレもその後を追うようにボス部屋へ入ると、扉がひとりでに閉じた。
奥には玉座に座っているスケルトンナイトが目に入った。
玉座の前の床に突き刺された剣に右手を掛け、静かに立ち上がる。
背もたれに引っ掛けていた盾も同時に左手で取り、戦闘体制に入った。
ゴクリ
これがボスモンスター――これまで戦ったモンスターとは威圧感が違う。
ただ佇んでいるだけなのに……来た!!
「ブ、ブルー、『プチファイア』!」
真っ直ぐ突っ込んで来るスケルトンナイトに『プチファイア』を放ったが、左手に持つ盾で防がれた。
あ、ヤバい!さすがに今の攻撃は単調過ぎた!
このまま接近されて、近接戦に持ち込まれると分が悪いと思うし、ここは距離を取ろう。
「ブルー、距離を取って!」
ブルーが距離を取ろうと少し後退した瞬間、スケルトンナイトは剣を一閃。
剣先から漆黒の斬撃がブルー目掛けて飛んだ。
それはブルーを貫き、たった一撃でHPを0にした。
オレは目の前でブルーの体が霧のように消えていくのをただ呆然と見ることしかできなかった。
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