死んだ私が3.2次元で人の命を救うらしい

子律

第1話 渡取由香

 わたし渡取由香わたどりゆか、しがない27さいのボイストレーナー。だけどもうそんないろ人生じんせいとは今日きょうでおさらば!!

 私は結婚けっこんするのよ、今日、いまから!

 相手あいては2歳年下とししたの私がおこなっているボイトレ教室きょうしつ生徒せいとだった


 める時、かれ最後さいごに私に告白こくはくしてくれたの。

由香先生ゆかせんせいきです。もう生徒じゃないので連絡先れんらくさき交換こうかんしてもらえませんか。」

 すこしその言葉ことばたちを期待きたいしてた自分じぶんもいたわ。ぐで努力家どりょくかでふとせるやさしさが私もひととしてとても好きだったの。

「ありがとう、うれしい。」


 これが半年前はんとしまえはなし

 スピード結婚だと自分でもおもうわ。って2ヶ月かげつあせりからか、私が結婚したいってポロッとっちゃったのよ。彼はよろこんで結婚式けっこんしき準備じゅんびをしようってこたえてくれたから今こうして、しろでふわふわとしたレースのドレスをまとって、おとうさんと一緒いっしょに彼へと1いっぽずつあゆみをすすめている。


 物凄ものすごいスピードで色々いろいろ進んだけど、今こうして彼としあわせになろうとしている、もうそれがとにかく嬉しいしすでに幸せな気分きぶん。やっと私の人生じんせいあざやかになる……今日ここでつまらない日々ひびとはもう一生いっしょうさようなら。

 私のがお父さんから彼へたくされて、神父しんぷの言葉に「ちかいます」といつもより少しひくこえでしっかりとこたえた彼。そして私も神父の言葉に「誓います」と緊張きんちょう高揚こうようたかまった声で優しく答えた。

「では、誓いのキスを。」

 彼の右手みぎてが私のあたまえられて、彼が微笑ほほえみかけたあと、ゆっくりとじた……


 ガッシャーーン!!!

 キャー!!!!


 式場しきじょうひびいた衝撃音しょうげきおん悲鳴ひめいなにこったか目を閉じていた私には理解りかい出来できなかった。かっていたのはただ1つ、私はあの音以来おといらい何も見えていないということ。


 ふか藍色あいいろ、目は見えていないけどなんとなくかんじる。まるで深海しんかいめられたみたいにゆっくりとしずんでまれてく。だけどくるしくないし呼吸こきゅうもしていない。……私はんでしまったの?私の幸せの絶頂ぜっちょうだったのに。死後しご世界せかいってこんなに何も永遠えいえんつづ孤独こどくところなの?

(おねがいします神様かみさま。どうか、どうかもとの世界へもどらせてください。)


そう願った途端とたん、沈んで行くさきしろひかりつつまれて私はなんだかまぶしくてそこでうしなった。

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