31)リンの武器
「よぉ、リンじゃねぇか。」
宿屋を出て少し歩いたところで、【華龍剣陣】のリーダーであるガオファンに出会った。
「あ、ガオファンさん、おはよー。1人で買い物?」
「あぁ、今日はパーティの活動が休みなんだ。特にやることもないんだけど、ふらっと歩いてたらリンを見かけたからさ。そっちはパーティで買い物かい?」
アイリス達を見て言ってる。
ガオファンはアイリス達もパーティメンバーだと思ってるのか。
まぁその方がいいか。
「うん、そんな感じ。僕の武器とか仲間の装備を探してるんだけど、どこかいいところ知ってたりしない?」
「それなら王都で1番の店がある。ちょうど俺もメンテナンスだけは行こうと思ってたから一緒にいくか?」
ガオファンはAランク冒険者だし、実力者が通ってる店なら間違いないだろう。
「あ、ほんとに?じゃあ頼もうかな。」
そんな感じで、ガオファンと一緒にお店に行くことになった。
〜〜〜〜
「うわぁ、めっちゃ大きいお店だね。」
「だろ、ここなら大体なんでも揃うよ。じゃあ俺はこいつのメンテナンスがあるから、先に見といてくれ。」
そう言ってガオファンは店の奥に消えていった。
「リン、リン、服どれでもいいの?選んでいい?」
アイリスが珍しく興味を示している。
こんなに種類があるのが珍しいんだろうか。
心紋はどうだろう。
「某はリン様の選んだもので構わない。」
まぁそうか。
じゃあ心紋は結構和っぽい見た目のやつがいいかなぁ。
お、いいのがあるぞ。
「じゃあ心紋はこれ着てみてくれ。」
「御意。」
「リン、アイリスもこれ着てみる。」
そして、2人は着替えて帰ってきた。
「おぉ〜、2人ともめっちゃいいよ。これ買いにいこう。まぁまぁ値段するけど、俺が気に入ったよ。」
まず、アイリスは全体的にふわふわひらひらしている服で、ところどころにレースが入っていてローブにも若干メイド服に見えなくもない。
上着の腕から手先にかけて裾が広がっていてふわふわしている。
めっちゃ可愛いと思う。
そして、心紋は派手な和装って感じ。
日本の感覚で言うとアニメで出てきそうな浪人とかゲームの侍みたい。
めっちゃかっこいいけど、なんでこんな服あるんだ。
「ガオファンさん、これ買うことにしたよ。」
ガオファンのところに行くと店主っぽいおじさんと話していた。
「おぉ、そうか。あ、武器も探してるんだったね。ラルゲンさん、こいつがさっき話したリンだよ。」
おじさんはラルゲンというらしい。
筋骨隆々のいかついおじさんだ。
「おう、武器か、どんなのが欲しいんだ?」
「えっと、色々な武器を使ってみたんですけど、どれも本気で使うと壊れてしまいそうで、、、壊れない武器が欲しいんです。」
ラルゲンはそれを聞いて訝し気な目を向けてくる。
「そうか、お前さんそんなに力が強そうには見えねぇがな。こいつはどうだ、うちで1番丈夫なミスリル製の剣だ。」
そう言って近くに置いてあった剣を渡してくれたので軽く振ってみるが、他の武器よりはマシだがやっぱり心許ない。
「ちょっとこれも難しそうです。」
「む、そうか。たしかにかなりの剣速だ、高位の冒険者は見た目によらず力があるもんだからな。だがそうなるとうちにある武器じゃ厳しいな、なにか素材があればそこから作れるんだが、何かないのか?」
んー、素材かぁ。
丈夫そうな素材ねぇ。
そんなに強い魔物の素材は持ってないしなぁ、そんな強かったらテイムするし。
じゃあ金属的なものかなぁ。
あ、あれはどうかな。
「これは使えないですか?」
ドンっと出したのは水晶のようなでかい球体だった。
「む。」
「これって、、、あのときの?」
心紋とアイリスが覚えてたようだ。
そう、これは心紋と出会った場所にあった、キューちゃんが出て来た謎の球体だ。
あの時一応回収してあったのだ。
「お、おい今どこから出したんだ、、、いや、詮索はすまい。見てみよう。」
ラルゲンは球体に向いているが、ガオファンは胡散臭いものでも見るかのような目をこちらに向けてくる。
そしてラルゲンはしばらく球体に手を置いたあと、カッと目を見開いた。
「こ、こいつぁ、オリハルコンかぁ!?初めてみるぞ、なんでこんなもんが、、」
「なっ、オリハルコンだって!伝説の素材じゃないか、なんでそんなもの持ってんのさ!」
ラルゲンとガオファンが一斉に叫んでこちらを見てくる。
「さ、さぁ、、、前に森で見つけたんだ。」
「森でって、、、まぁそれもいい。はぁ、とにかくこのオリハルコンってやつぁ伝説の素材でな。最高の高度に最高の魔力変換率を誇る、こいつで武器なんぞ作ればそりぁお前さんも満足いくもんができるだろうよ。」
なんだ、すごいものにキューちゃんは入ってたのか。
心紋は誰に閉じ込められてたんだ。
だが、それは朗報だ。
「え、じゃあそれで武器作りを頼めますか。」
「いや、うちじゃこいつの加工は無理だな。魔法でしかできねぇ。加工用のスクロールはあるが、魔術師が20人規模で制御して、魔力補充用の魔石も大量に用意してやるもんだ。金が湯水のように必要になるぜ。」
魔術の制御と、大量の魔力か、、、
アイリスとモンちゃんでなんとかならないかな?
「あの、一応この2人が魔術師で、魔力も多いし魔術制御も高いと思うんですけど、できないですかね?無理だったらパーティにもう1人魔術師がいるんで連れて来ますけど。」
ラルゲンが少し怒ったような顔をする。
「おい話を聞いてなかったのか?20人だぞ?それもかなり優秀な魔術師がだ。まぁ、、失敗しても特に何も起こらないだけだから、やってみたいなら、、、、、ほら、これがそのスクロールだ。装備する予定のやつが手を置いて、魔術師が魔法陣を展開させて制御するんだ。やってみろ。」
ラルゲンが魔法陣が描かれたスクロールを渡してくる。
それをオリハルコン?の上に乗せ、手を置く。
「じゃあ、アイリスとモンちゃん、任せたよ。」
「ん。」
「お任せくださいリン様、この程度造作もないことです。」
アイリスとモンちゃんが手をかざすと、魔法陣から幾何学模様の光が展開される。
そして、ゆっくりと回り出し、やがて高速で回転を始める。
綺麗な光景だなと思ってみていると、その光がオリハルコンに向かって収束し始めた。
やがて光は全てオリハルコンの中へと吸収され、光り輝いたあと全体の形が変化した。
光が収まったあと、そこにあったのは、なんと全体が白をベースに黒と青で綺麗な装飾の入った槍だった。
不思議な雰囲気を持っている。
「なんと、、、こいつぁ驚いた。今日は驚いてばかりだぜ。」
ラルゲンもガオファンもかなり疲れてそうに見える。
「槍ができちゃった。でもなんで槍なんだろう。」
「そのスクロールは装備する者に最適な武器を製作するものだ。お前さんに最適なのが槍ってことだろうよ。」
俺って槍が1番合ってたのか。
なにが合うかわからなかったからちょうどよかった。
ちなみに超鑑定するとどんな感じだろう。
名前:グリム・ノクターン
スキル:魔力吸収 魔力放出 恐慌 夜想
状態:なし
<攻撃力>444
<耐久>1000000
<魔力伝導効率>1000
え、めっちゃ良さそうやん。
耐久高そうなのが嬉しい。
スキルもめっちゃ使えそうだし。
えっと、魔力吸収は相手の武器や体に触れたら魔力を吸収して、魔力放出で吸収した分を放出できると。
恐慌は武器構えただけで相手に恐怖のバフがかかる。
夜想っていうのだけよくわからないが、夜の間だけ使える技で、魔力を消費するが、槍が相手との距離に関係なく必中になるらしい。
夜槍、ってことか?
攻撃力の数値とかスキルが若干呪いの武器みたいになってるし、禍々しい名前なのはまぁ気にしないでおこう。
見た目は勇者の武器みたいなのに。
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