第十一話 体育祭に向けて.2

 私、伊藤渚は、現在体育祭の練習に励んでいます。


 昨日出る競技とタイム測定が終わって、私は、ハードル、加距離リレー、借り物競争、二人三脚、仮装競争に出ることに決まった。

 そして、いろいろと時間割に余裕のあるうちのクラスは、体育の時間の時間を使って、各競技の練習に充てている。


 今日は、ハードルと、二人三脚の練習だ。


「行くよナギちゃんせーの、一、二、一、二」

「一、二、一、二」

「ゴール‼」


「二人ともなかなかいいんじゃない?」

自分でもなかなか早いゴールだと思う

「ふふん!でしょ、だって私たち一生涯のパートナーだもん」


「一生涯?」


「そう‼成人したら結婚するんだ~」


「「えっ⁉」」


「ナギちゃんも賛同してくれたし」

 桜が身に覚えのないことを言っているが、なかなかいいパートナーなのは事実である。

 二人三脚で好きな人とペアを組むことができて、私は桜と組むことにした、桜も調子のいいことは言っているが、私のペースにも合わせてくれて優しい


「は~い、次の練習に移てって~」

 これまた桜と一緒に移動する


「ナギちゃんはハードルってやったことあるの?」


「うん?ないよ、桜はどうなの?」


「ふふっふ、私実は、小中とともに陸上部でハードルしてたんだ、50mでは負けちゃったけどハードルなら勝もん!」


「えぇ~!すごいね結果はどうだったの?」


「一応ね、地方大会までには進んだよ」


「すごっ!じゃあハードルは安心だね」


「任せなさい‼」


「そこ~、仲がいいのはいいけど練習して~」


「「は~い」」

 委員長でもある、四ノ宮美夜に注意されてしまった


 ハードルは、女子は、80m、男子は、100mらしい


「二人共いくよ、位置について、よーい、ドン」


 遠目から見ると小さかったハードルが走っている今はとても大きな壁のように見える。隣の桜は、ひょいひょいと飛んでいるが、私はたどたどしい足取りで飛んでいく


「ゴール!」


 桜が一足先にゴールしたようだ、

 次に私も、「ゴール」


「勝ったぞ~!」


「桜早いね~、全然追いつける気がしなかったよ」


「でしょ~、絶対一位とるもん」


「二人とも早かったね、これなら優勝できちゃうかも」


「がんばるね」


「こんぐらい余裕だよ」

 いつもろくに自分のことすらできていない桜がなんだか頼もしく見えた


「むっ、ナギちゃん今失礼なこと考えたでしょ」

 ぎくっ


「そんなことないよ、桜はかっこいいな~と思っただけだから」

 何で心の中が読めるのだろうか、桜は


「ほんと~?」


「ホントだって」


「なら許してあげる!」

 にっこりと笑う桜がかわいいのは置いといて、なぜ私の親友は、人の心が読めるのだろうか?習得できるならぜひ習得したい


「ねぇねぇ、あそこだけなんか甘い雰囲気漂ってない?」


「あぁいつものね、でも近づいたらだめだよ、親衛隊ファンクラブの人たちが、てぇてぇ雰囲気を壊そうとする輩を取り締まってるらしいから」


「えっ?」


「あっ、ほら」


 渚と桜に近づこうとした男子が、黒装束をまとった女子らしき人物に一瞬で捕まえられ連れていかれるところだった


「…よし、できるだけかかわらないようにしよ」


「でも、友達としてならいいらしいから、親衛隊ファンクラブの友人審査会受けに行ったら?めちゃくちゃ倍率高くて、ほとんど男子はなれないらしいけど」


 と、渚が知らないところで暗躍していく親衛隊ファンクラブの皆様であった

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 そして放課後、じりじりとした暑さに耐えながら、桜、涼子、葵、渚が一緒に下校していた。


「ナギちゃん、アイス食べに行くんでしょ?」


「そうだよ」


「いつになったらつくの?」


「もうそろそろだよ、ってまだ歩いて五分くらいしかたってないじゃん」


「渚ちゃん、桜はせっかちだから」


「そうそう、中学校の時からせっかちだったよね」


 なんとこの三人は、同じ中学校らしい

「三人とも同じ中学校だったの!?」


「そだよ」


「じゃあ、桜の中学校時代の話聞かせてくれる?」


「まって、それだけは、それだけはやめて~」


「どうして?」


「だって、」

 意外なことに中学校時代は桜は友達が少なく、陸上一本で生活してきていたとか、道理で、髪の結び方を知らないわけである。

 いろんな中学校時代の話を言ったり聞いたりしているうちに、目的地に着いた


「ここだよ、アイス屋さん」


「わぁ~、たくさん種類があるね」


 ここは、俺が小学校の頃から通っているなじみのあるアイス屋さんである


「何にする?」

「う~ん、じゃあクッキーアンドクリーム」

「バニラとミルク」

「レモンスカッシュ」

「は~い、じゃあ私は、チョコとバニラで」


 そう各自が注文して、アイスが届くまで、再び中学時代の話をする


 なんと、葵は、吹奏楽部で全国大会に行ったことがあるらしい、涼子も、剣道で全中チャンピオンになったことがあるらしい


 親友の新しい面が知れたとこで、注文していたアイスが届く


 みんな一斉に一口食べて

「「「「おいし~い!」」」」


 そこからは、みんなでアイスを交換したりして、楽しいひと時を過ごした


「じゃあまた明日ね」


「バイバイ」


 各自、家の方向が違うため途中でバラバラになってしまうが、今日はいつになく楽しい一日だった

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