婚約者(フィアンセ)になってもらえませんか?〜御曹司さまのお相手は選びは前途多難!?〜

めぇ

No way1.) ここは私立天ケ瀬女学院高等学校

love1.)

私立天ケ瀬学園あまがせがくえん女学院高等学校、特約科とくやくか1年井上時和いのうえときわ


入学して数ヶ月、そろそろ高校にも慣れて来たかなという今日この頃…


人生で初めて見る光景に少し…



いや、かなり戸惑ってます。



「俺が天ケ瀬貴成あまがせたかなりだ」



キャーッと甲高い声が飛ぶ、その歓声にも戸惑っちゃった。ドッと体育館が揺れるくらい声がこだましたから。


体育館の壇上に上がり、演台の前でハツラツと話す…

色素の薄い髪はたぶん染めてるんだろうなーっていう茶色をしていて毛先が遊びに遊んでる、制服はそれなりにちゃんと着てるっぽいけど…



誰あの人?


でも今天ケ瀬って…



「キミたちは全国から選ばれた非常に優秀な生徒たちだ、俺のために集まってくれてありがとう」


お、俺のために…?


何言ってるのこの人… 


ポカーンとしてる間に話はどんどん進む、だけど全然頭に入って来ない。


「本当は入学時から来るつもりだったが諸事情で遅れてしまい申し訳ない、だけど今日から私立天ケ瀬女学院高等学校ここで過ごすことになった」


キャーキャー叫ぶ女子たちの声でうまく聞き取れないんだけど、たぶん聞こえてても理解は追いついてない。


「そこでやっと、君たち特約科に集まってもらったことを改めて俺の口から伝えることが出来る」


フッと笑ってマイクに近付いた。



私たち特約科に伝えること…?



「俺は婚約者フィアンセを選ぶため私立天ケ瀬女学院高等学校ここへ来た」



その瞬間、ギャーーーッと今度は体育館が吹っ飛んでいくかと思うほど揺れに揺れた。


びっくりして思わず両手で耳を塞いだ、んだけど…



婚約者フィアンセ!?って…


結婚を約束した相手のことだよね、結婚相手を探してるってこと?



え、待ってどうゆう!?



「じゃあ今日からよろしく~!」


軽いっ!最後すごい軽い!!


待って待って全然わからないんだけどっ 


どーゆうことなの!?何が起きてるの!?



てゆーかあなたは誰なの~~~~~~~~~っ!?



「時和ちゃん知らなかったの!?」


「グミちゃんは知ってたの…?」


前の席のグミちゃん。

とにかく可愛くてめーっちゃくちゃ可愛い、あまりに可愛い過ぎて初めて会った時は二度見しちゃった。


「みんなそれ狙いで入って来てるんだもん、知ってるに決まってるよっ」


「それ狙いで!?」


朝のよくわからない会が終わったあと、教室に戻って来てグミちゃんに聞いてみた。

だけど、どうやら知らなかったのは私だけみたい。


「よく知らないで特約科受けたね、特約科って疑問に思わなかったんだ?」


廊下側の窓際の真ん中の席、グミちゃんが振り返りながら教えてくれる。


「聞いたことない科だなぁとは思ったけど学費免除って聞いたからそれにつられて…」


正直うちはあまり裕福じゃないから、近所で学費免除の高校があるなんてって飛びついて受験してしまった。

それで受かっちゃったし、制服は可愛いし、学校がキレイだし特に困ったことはなかったから…



今日までは。



「その…、特約科ってどうゆう意味なの?それも全然わからなくて」


ふぅっとグミちゃんが息を吐いた。


タメ息…!?

そんな初歩的な質問だった!?


でも高校も多様化してるし、そんな名前の科もあるかなって…


「貴成様と特別な約束をする科、だよ」


多様化すぎるーーー!!!


「たっ、貴成様と特別な約束…?」


てゆーかナチュラルに貴成様って言うんだ、言っちゃうんだ!?


しかも特別な約束って、それはやっぱりさっき言ってたあれ?あれのことを指してるの!?


「そっ、貴成様に選ばれるたった1人になりたくてみんな入学したんだよ」


そんな意味だったの、特約科…

全然知らずに入学しちゃった。


「特約科に入るだけで大変なんだけどね、何かに特化してる人しか入れないから。特約科の特は特化の特でもあるらしいし」


「何かに特化してる人ってどうゆうこと?」


「ん~、特別優れてる人って感じ〜?ほら例えば、小鳥遊たかなし!中学の時3年間ずっと模試全国1位だったんだって!」


「え、ずっと!?すごいっ」


宇月原うづきはらはピアノで全国1位でしょ、おおかみは100メートル走最高記録持ってて…」


「み、みんなそんなにすごいの…?」


入学してもう2ヶ月経つけどそんなこと知らなかった、そんなにすごい子たちの集まりだったんだこのクラス。てゆーか名前も変わってるし、聞いたことない名字ばっかりだから。


「あ、グミちゃんは?何に特化して…」


そんな中グミちゃんは1番変わってる、だってグミちゃんの名前は桾沢桃子ぐみざわももこちゃんなんだから。


「あたしはかわいいから!」


「……。」


「すーっごいかわいいから!」


「うん、グミちゃんはすっごい可愛いよ!」


…そうなんだ、ここはそんなクラスだったんだ。

みんなどこかしら特化した特技だったりステータスを持ってる人ばかりの…


じゃあ私は?どうして私は入学できたの?

多い名字全国16位っていう微妙な順位の井上の私なのに。


「あ、でもなんで貴成…様?の婚約者フィアンセになりたいの?」


すごい子たちが集められてるのはわかった、それが貴成様の婚約者フィアンセを選ぶためだってこともわかった。


「誰なの?貴成様って」


でもどうして貴成様の婚約者フィアンセになりたいかはまだわからなくて。


「えっ、時和ちゃんそんなことも知らないの!?」


「ごめん…っ」


謝っちゃった。あまりに無知識な私にさすがに申し訳なくなって、これってそんなに一般常識だったのかな。


グミちゃんがはぁってタメ息をついたから。


「だから時和ちゃんと仲良くしたいって思ったんだけどね」


「え、私と?」


「他の人は貴成様狙い過ぎて仲良くできないもん」


…まぁ私は狙ってはないけど。

充実した高校生活が送れたらいいなぁって思ってただけだから。


この学校で楽しくみんなと過ごせたら、それで…


「貴成様はこの私立天ケ瀬女学院の理事長の息子だよ」


り…、理事長の息子っ!!?


「天ケ瀬グループはさすがに知ってるよね?ホテルとかテーマパークとか経営して、うちの学校もそうだけど」


知ってる、それはさすがに知ってる…

つまりは理事長であり大企業を背負ってる社長でもあるから。


だから学費免除ってあるんだすごーいって思ってたんだもん。


それがまさかこんな意味があるとは思ってなかった。


「だから理事長の息子の貴成様と結婚したら、未来の社長夫人ってこと!」


それって…


私たちは社長夫人を狙ってこの学校に入学したってことなの?


「なりたいよね、社長夫人〜♡」


そ、そんな学校だったなんて…


これはとんでもない学校に入学してしまったかもしれない…!?

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