牧場計画(倒れ)
ストーブの街に流れ着いて4ヶ月。相も変わらず孤児院の1室を借りて住んでいるわけだが、家賃代わりの肉代が馬鹿にならない。
食肉用の動物を飼う牧場が欲しいところだ……ってことで飼う動物の情報を仕入れた。
牛:大型。ツノ。このへんには居ない。
羊:中型。ツノ。このへんには居ない。
山羊:中型。ツノ。山岳地帯で見かける。
馬:大型。貴族連中が占有。
豚:なんだそれと言われた。猪は居るらしい。
鹿:害獣。大型。なんで飼う必要があると怒られた。
鶏ほか鳥類:あまり見ないらしい。
兎:主食。
犬・猫・他肉食獣:不味くて食えんらしい。
(番外)魚:貴族連中が占有。
さて、開墾して行っているとは言え雑草が多いこの地域だと鶏が最適だと思ったわけだが、鳥類は飛ぼうと飛ばなかろうとすぐに獲って食われるらしい。
だからあまり見ないのか。
となると養鶏は無理……というか飛んで逃げられてしまうのでネットが市場に出回らないと飼えないな。
飛ばない鳥ならどうだ?ダチョウとかエミューとか……有精卵販売してるけど結構するな。
仮に購入出来たとして……うーむ。
「どうした?
「そうなんだけど、もうちょっと頭の整理付けてからね。」
飼う場所も無ければ餌代もない。
こないだ
さらにはオーショウの商会で
先に土地確保して餌になる雑草育てる案はどうだろう。
それなら産業に組み込める草が良いな。
「……で、さっきからブツブツ何言ってんだ?」
「あ、フォールドの兄貴。」
「ペアプラの奴に呼ばれたから来たが、ちっと安易に俺を呼びすぎじゃねえか?」
「しょうがないよ。商売っ気のある話を出来る人が居ないんだもの。」
「チッ。人材不足はどこもそうなんだよッ。それで今度は何だ?」
「んーと。街壁の外郭に牧場って作れる?」
計画を大まかに言うとこうだ。
1.食肉確保のために大きい牧場を作りたい。
2.大型の飛べない鳥の餌として植物を植えたい。
3.植物は人間が食べられるものを選びたい。
4.できれば加工できるとベター。
「で、候補に挙げるのがカラシナとかアブラナ。」
「なんだそりゃ。知らねえな。」
「在来種に無いかなって思ったけど……その辺の草の味を知っている子って孤児院にいるかな。」
「ザイライシュ?なんだか知らんが、居ねえってことはないと思うぞ。……あとで院長に聞いてみてくれや。」
「上手くいけば調味料や油に加工して販売できるから僕が聞くよりファミリーで情報共有した方が良いと思うよ。」
「油ぁ?高級品じゃねえか。」
あと胡麻があるといいなぁ。
あれは香り高くて、多少の獣臭さを誤魔化せる。
なんて妄想をしている間にフォールドの兄貴は既に居らず、院長と話し合いに向かったようだ。
「まいったなー。アイデアが出ても実現手段が分からないのはしんどいぞ。」
油の絞り方くらいなら漫画で読んだことがあるから分かるけど、調味料の作り方なんて知らない。
あの通販で調べても参考書は無かった。
紙漉きみたいな実験キットのある方が例外だったということか。
ポーカの組織内で植える植物のアンケートを採ってみた。
カネになるもの、酒になるもの、全部食えるものがトップ3になった。
たのむから植物の名前を書いてくれと言ったら、知らねえと返って来る。
オーショウの組織内でもアンケートを採ってみた。
カネになるもの、酒になるもの、全部食えるものがトップ3になった。
なんでやねん。
孤児院でもアンケートを採ってみた。
禁止したのにカネになるもの、酒になるもの、全部食えるものがトップ3になった。
だからー。
結局まともな回答が来なかったこと、ご近所の草が食毒不明のままだったため農地進攻することにした。
オーショウ、ポーカの両組織から幾らか資金を出してもらい、栽培するのはヒマワリと胡麻である。
これは届いてから知ったのだが、ヒマワリ・胡麻とも乾燥に強く、特に胡麻は干ばつに耐性があるらしい。
油目的だったけど良さげなチョイスだったというわけだ。
植えるものは決まった。次は開墾と牧場作りだな。
……といっても開墾は長期間かかるので今ある土地で牧場……の前の農地開発だ。
買った種の袋に書いてあった説明書からすると、植える時期がだいぶ遅いものの、いくつかは芽が出るだろうと適当に掘り返した土地に種を蒔き、柵で仕切る。
あとは雨が来ないときだけ水を撒き、育つのを待ちながら開墾で余った木を使って圧搾機を作るわけだが……
頑丈な金属がない。そういえば鉄がない時代だった。
銅みたいな柔らかい金属を叩いてもすぐヘニョるのが容易に想像つく。
ブドウの圧搾も足でやってるらしいし、ヒマワリはともかく胡麻の圧搾が出来ないぞ、これは。
で、なんかないかと通販画面を見たら、検索キーワードが間違えてて、圧搾機ではなく搾油機だったのに気づいた。
それでも金属製のものばかり。でもって業務用だからお値段も結構する。あと電気。
なんとか見つけたのは教育用手動搾油機。ハンドルでぐりんぐりん回すタイプのヤツ。でも旋盤無いのにネジ山のある機械はダメだろ……
ってことで当面は封印することにした。
まあ、そのうち発明されるっしょ。
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