第34話:漢字テスト、集中力アップリップ
「よーし、今日は絶対に合格するぞ!」
鏡の前で、まさるは小さくつぶやいた。
小学六年生の月曜日。
今日は、苦手な漢字テストの日だ。
まさるは、漢字がちょっぴり苦手。
いつもは自信がないけれど、
このテストで、良い点を取って、
自分に自信をつけたい!
そう思っていた。
集中力を高めて、全力を尽くしたいな、
とも思っていた。
そんなまさるの秘密のアイテムは、
集中力を高めると言われる、
紺色のケースに入った無色の薬用リップ。
塗ると、唇がひんやりと引き締まり、
なんだか頭がシャキッとする気がするのだ。
「これがあれば、きっと大丈夫。」
まさるは、リップがくれる
「おまじない」のような力で、
やる気を高めていた。
リップを唇に塗ると、
ひんやりとした感覚が広がり、
なんだか集中できる気がする。
これで漢字テストもバッチリだ。
そう確信して、まさるは家を出た。
最後の復習をしながら、学校へ向かった。
教室に着いて、席に座る。
先生がテスト用紙を配り始めた。
まさるは、鉛筆と消しゴムを机に出した。
その時だった。
「あれ?鉛筆がない!」
まさるは、筆箱の中を何度も探したけれど、
鉛筆が見つからない。
「うそでしょ!?」
まさるは顔を真っ青にした。
まさかこんなハプニングが起きるなんて!
心臓がバクバクする。
こんな時、リップのおまじないなんて、
ちっとも役に立たない気がした。
先生に「鉛筆忘れました…」
と言うと、先生は
「休み時間に買いに行きなさい」と言ってくれた。
でも、まさるは、友達に
「ごめん、鉛筆貸してくれない?」
とお願いした。
友達は、快く鉛筆を貸してくれた。
リップは塗ったままだったけれど、
鉛筆を忘れたことで、焦ってしまった。
テストは無事に終えられたけれど、
少し焦ってしまい、
結果はギリギリで合格だった。
リップは鉛筆を呼び寄せなかったけれど、
リップが支えたのは、知識だけじゃなかった。
冷静な判断力と、
諦めない心だったと気づく。
読後感は、達成感と、精神的な強さ。
家に帰って、お母さんに
今日の漢字テストの話と、
鉛筆を忘れたハプニングの話をした。
お母さんは、うんうんと頷いてくれた。
「まさる、漢字テスト、お疲れ様。
口元、なんだか引き締まってるけど、
リップのおかげかしら?
ううん、きっとまさるの根性ね。」
お母さんの呟きが、
まさるの心にじんわりと温かく響いた。
リップの秘密はまだ内緒だけど、
きっとお母さんも、私の今日の頑張りを
応援してくれているんだ。
そう思ったら、なんだか心がポカポカした。
次回予告:
第35話では、家族旅行を計画する小学五年生が登場! 感謝の気持ちを込めてリップを塗りますが、まさかの体調不良で旅行が延期に…? お楽しみに!
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