第27話:クラブ発表会、魅せる元気色リップ
「よーし、最高の私を見せるぞ!」
鏡の前で、あおいは小さくつぶやいた。
中学一年生。
今日は、地域のダンスクラブの発表会の日だ。
初めての大舞台。
あおいは、ダンスクラブで
毎日一生懸命練習してきた。
でも、たくさんの人の前で踊るのは、
ちょっぴり緊張してしまう。
今日こそは、元気いっぱいの私で、
最高のダンスを見せたい!
そう思っていた。
そんなあおいの秘密のアイテムは、
唇を明るく見せる、オレンジ系の元気色リップ。
塗ると、顔色がパッと明るくなって、
なんだか垢抜けた気がするのだ。
「これがあれば、きっと大丈夫。」
あおいは、リップがくれる
「おまじない」のような力で、
やる気を高めていた。
リップを唇に塗ると、
顔色がパッと明るくなり、
なんだか自信が湧いてくる。
これで発表もバッチリだ。
そう確信して、あおいは家を出た。
会場へ向かうバスの中で、
ポーズの練習を繰り返した。
会場に着いて、舞台裏で衣装に着替える。
他の子たちも、緊張しながらも、
最終確認をしている。
その時だった。
「緊急連絡です。悪天候のため、
本日の発表会は中止となります。」
会場のアナウンスが聞こえた。
まさかの発表会中止!
あおいの心臓がバクバクする。
「うそでしょ!?」
あおいは顔を真っ青にした。
せっかくのリップも、最高の衣装も、
今日はお披露目できない。
こんな時、リップのおまじないなんて、
ちっとも役に立たない気がした。
あおいは、がっかりして、
唇をぎゅっと噛み締めた。
でも、先生がすぐに
「みんな、練習してきたことは無駄じゃない!
後日、別の企画で発表の場を作るからね!」
と声をかけてくれた。
あおいは、落ち込んだけれど、
先生の言葉に、少しだけ希望が見えた。
リップは主役になれなかった。
でも、リップで得た自信は、
次のチャンスを掴む力になったんだ。
悔しさを乗り越え、
自分らしさを見つけることの大切さに気づく。
読後感は、挑戦と、諦めない心。
家に帰って、お母さんに
発表会が中止になったことや、
先生の言葉に励まされたことを話した。
お母さんは、うんうんと頷いてくれた。
「あおい、発表会中止で残念だったわね。
口元、なんだか元気そうだけど、
リップのおかげかしら?
ううん、きっとあおいの頑張りね。」
お母さんの呟きが、
あおいの心にじんわりと温かく響いた。
リップの秘密はまだ内緒だけど、
きっとお母さんも、私の今日の頑張りを
応援してくれているんだ。
そう思ったら、なんだか心がポカポカした。
次回予告:
第28話では、新入生歓迎会で頼れる先輩として頑張る中学三年生のツンデレ関西弁女子が登場! リップで優しい先輩を演じようとしますが、まさかのハプニングが…? お楽しみに!
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