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「これは……?まさか!!」
鼎は、目を見開く。困惑の表情だ。
「お前のカーディガンだろ。難燃製のアクリル、いや今はモダクリルって言うんだっけ、難燃性だから燃え残ったんだ。兎美はお嬢様だからなこんな安物は着ない」
「酷い言われようだな、だとすると俺のもとに現れた淵元奈々はその……雪野兎美なのか?」
未だ困惑から抜け出せない鼎だ。理解が追いついていないのかも知れない。
「兎美は昨日から姿を見せていないからな。街と往復する事は可能だ。特に
一成は里から街までの道のりを思い出す。
「う〜ん。ただ、それだとおかしいんだ。俺がかずら橋に着いたとき、まだかずら橋は壊れていたし、修理した後も警察が規制をして暫くは通行禁止だった。俺は奈々が里の住人だから警察が特別に通してくれたのだと思っていたが、その雪野さんは里の人間じゃないんだろう……じゃあどうやって橋を渡ったんだ」
鼎と一成が頭を抱えていると、みむろがボソッと
「鼎君、呼び捨て」
と
「い、いや何となく意気投合して……」
なぜだか言い訳を始める鼎。
「しかも、二人きりで山奥までドライブ」
みむろが更に追及する。ドライブについてはみむろも同じなのだが……。
「確かに……。兎美がそんなに打ち解けるのはおかしいな……。さっきも言ったがお嬢様育ちだからな……男の車に簡単に乗るなんてらしくない、な」
「鼎君がたらし……は無いか」
半ば目を閉じて、みむろが鼎を見る。無いか、でお手上げのポーズをした。
「微妙に傷付くが、この件は保留だな、話していても結論が出そうにない」
「だな、でも兎美の事件もどうやって……密室作ったのか謎だしな……」
「あんなの、そこの出窓から手を出してスナップスローの要領で投げ込んだらいいじゃないか」
「そんなの野球経験が無いと無理だろ、ここで野球経験があるのは……俺か!」
「他にも第一発見者が扉の鍵が閉まっているふりをしていた……とか」
「俺が手を入れて開けたんだが……」
「死体に近づく時にこそっと鍵を置いた……とか」
「それも出来るの俺じゃねえか!お前は俺を告発したいのかよ!!」
ついつい声を荒げる一成。最もクソ真面目に検討する鼎を微笑ましく思ってはいるのだが。
「一成さんとはずっと一緒いたから、犯人じゃ……ないよ」
言わずもがなだが、みむろがフォローする。
「それもそうだな、となると結論出ず、だな」
三人は頷いて雉広の部屋を後にした。
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