【イ】 桃をひろう
●【イ】 桃をひろう
おばあさんは 桃をひろいました。
大きくて みずみずしくて
とても美味しそうな桃です。
おばあさんは おじいさんと
一緒に 食べようと
桃をお家へ 持って帰りました。
…『【イ・1】 桃の中から飛び出した』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・1】 桃の中から飛び出した
その夜
おじいさんと おばあさんは
大きな桃を 切りました。
すると 桃の中から
元気な男の子が 飛び出しました。
おじいさんと おばあさんは
男の子の名前を……
1
桃太郎に決めました。
…『【イ・2】 名前は、桃太郎』にすすむ
2
金太郎に決めました。
…『【イ・3】 名前は、金太郎』にすすむ
3
アレクサンダーに決めました。
…『【イ・4】 名前は、アレクサンダー』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・2】 名前は、桃太郎
おじいさんと おばあさんは
男の子の名前を
桃太郎に決めました。
桃太郎は すくすくと成長し
あっという間に 立派な若者になりました。
そして 桃太郎は
おじいさんと おばあさんに 言いました。
1
「鬼退治に いってまいります」
…『【イ・5】 桃太郎、鬼退治へ』にすすむ
2
「埋蔵金を みつけてきます」
…『【イ・6】 埋蔵金ハンター』にすすむ
3
「桃の秘密を 調べてきます」
…『【イ・7】 桃の秘密を調べたい』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・3】 名前は、金太郎
おじいさんと おばあさんは
男の子の名前を
金太郎に決めました。
そのときです。
桃の女神さまが 現れました。
おじいさんと おばあさんは
おどろきすぎて 腰を抜かしました。
『別の名にしなさい』
桃の女神さまは
それだけを言って消えました。
おじいさんと おばあさんは……
1
桃太郎に変えました。
…『【イ・2】 名前は、桃太郎』にもどる
2
変えませんでした。
…『【ニ】 金太郎の冒険』にすすむ
3
ぎっくり腰で 入院しました。
…『【ホ】 桃の女神さまの謝罪』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・4】 名前は、アレクサンダー
おじいさんと おばあさんは
男の子の名前を
アレクサンダ―に決めました。
これからは
グローバルな時代になると考え
国際社会でも通用する名前にしたのです。
村の人たちからは
「変な 名前~」
「うわぁ どきゅんだわ~」
「センスなすぎて ひく~」
と 言われましたが
二人は 気にしませんでした。
おじいさんと おばあさんは
自分たちに 子ができなかったぶん
アレクサンダーに 愛情と 情熱を
たっぷりと注いで 育てました。
…『【ヘ】 アレクサンダーの選択』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・5】 桃太郎、鬼退治へ
桃太郎は
「鬼退治に いってまいります」
と言いました。
おじいさんと おばあさんは
こんな日がくると予感していたので
すでに準備を整えていました。
おじいさんは 立派な羽織袴と 刀を
おばあさんは きびだんごを
桃太郎に渡しました。
そして 桃太郎は
おじいさんと おばあさんに別れを告げて
鬼退治へと 旅立ちました。
…『【イ・8】 最初のお供』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・6】 埋蔵金ハンター
桃太郎は
「埋蔵金を みつけてきます」
と言いました。
実は おじいさんの本業は
埋蔵金ハンターだったのです。
山で 柴刈りをしているのは
世間の目を ごまかすためで
本当は 山で埋蔵金を探していたのです。
もちろん おばあさんも
そのことは 知っていました。
おばあさんが
川で 洗たくをしていたのは
自分たちの 洗たく物ではなく
近所の人たちの 洗たく物だったのです。
おばあさんが 洗たくでお金を稼いで
おじいさんの埋蔵金探しを
支えていたのです。
桃太郎は おじいさんから ずっと
埋蔵金の話を聞かされて 育ちました。
おじいさんは もう年なので
埋蔵金を探すために
歩き回ったり 穴を掘ったりできません。
そんな おじいさんの意思を継いで
桃太郎が 埋蔵金を探すことにしたのでした。
そして 桃太郎は
スコップと きびだんごと
おじいさんが入手した
古い埋蔵金の地図を持って
埋蔵金探しの旅に 出発しました。
…『【ト】 埋蔵金伝説』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・7】 桃の秘密を調べたい
桃太郎は
「桃の秘密を 調べてきます」
と言いました。
おじいさんと おばあさんは
桃太郎が 桃から生まれたことを
包み隠さず 教えていました。
だから 桃太郎は 幼少の頃から
ずっと 疑問に思ってきたのです。
『ぼくは どうして
桃から生まれたんだろう?』
『ぼくが 本当に生まれた場所は
いったい どこなんだろう?』
それらの疑問の答えを
桃太郎は 自ら解き明かしたいと
思ったのです。
おじいさんと おばあさんは
こんな日がくることを
予見していました。
おじいさんは 長い旅路に必要な 草履を
おばあさんは 栄養満点の きびだんごを
桃太郎に 渡しました。
そして 桃太郎は
自分の出生の秘密を解き明かす旅に
出発しました。
…『【チ】 桃を探す旅』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・8】 最初のお供
桃太郎が
鬼ヶ島を目指して 歩いていると
誰かが 近づいてきました。
それは……
1
犬
…『【イ・9】 お供は、犬』にすすむ
2
ライオン
…『【イ・10】 お供は、ライオン』にすすむ
3
クマのキグルミ
…『【イ・11】 お供は、キグルミ』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・9】 お供は、犬
それは 犬でした。
「桃太郎さん
お腰につけた きびだんご
一つ わたしにくださいな」
桃太郎は きびだんごをあげました。
「桃太郎さん ありがとう!
鬼退治に お供させてください!」
桃太郎は
犬と 一緒に
鬼退治へ 行くことになりました。
…『【イ・12】 二番目のお供』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・10】 お供は、ライオン
それは ライオンでした。
「あんたが 桃太郎だな。
おれは 今 腹が減っているんだ。
なにか 食べるものをくれないか?」
桃太郎は きびだんごをあげました。
「むしゃむしゃ……
ん! これは うまい!
正直 こんな小さな だんご一個じゃあ
なんの足しにもならんと思ったが
十分に 満たされた!
助かったよ ありがとう。
さて お礼と言っちゃなんだが
あんたの鬼退治に お供させてくれ」
桃太郎は
ライオンと 一緒に
鬼退治へ 行くことになりました。
…『【リ】 最初のお供は ライオン』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・11】 お供は、キグルミ
それは クマのキグルミでした。
「桃太郎さん こんにちは!
あー!
その お腰に付けた
巾着の中に入っているのが
ウワサの きびだんごですね!
どうか わたしに 一つくださいな!」
桃太郎は きびだんごをあげました。
「わぁい! ありがとう!
桃太郎さん ちょっと待っててね」
クマのキグルミは
きびだんごを持って
木のかげに 隠れました。
ジジジジィー という
チャックが開くような音がしました。
しばらくして
クマのキグルミが 戻ってきました。
その手からは
きびだんごが なくなっていました。
「桃太郎さん!
美味しい きびだんごを いただいたお礼に
鬼退治へ お供させてくださいな!」
桃太郎は
クマのキグルミと 一緒に
鬼退治へ 行くことになりました。
…『【ヌ】 最初のお供は クマのキグルミ』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・12】 二番目のお供
桃太郎と 犬が
鬼ヶ島を目指して歩いていると
誰かが 近づいてきました。
それは……
1
猿
…『【イ・13】 お供は、猿』にすすむ
2
ゴリラ
…『【イ・14】 お供は、ゴリラ』にすすむ
3
サムライ
…『【イ・15】 お供は、サムライ』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・13】 お供は、猿
それは 猿でした。
「桃太郎さん
お腰につけた きびだんご
一つ わたしにくださいな」
桃太郎は きびだんごをあげました。
「桃太郎さん ありがとう!
鬼退治に お供させてください!」
桃太郎は
犬と 猿と 一緒に
鬼退治へ 行くことになりました。
…『【イ・16】 三番目のお供』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・14】 お供は、ゴリラ
それは ゴリラでした。
「ウホ……
腹が減りすぎて 力が出ない……」
桃太郎は きびだんごをあげました。
ゴリラは ものすごく喜んで
胸を ドンドコドンドコ 叩きました。
「ウホッ! こりゃうまい!
ありがとよ 桃太郎!
ところで 道行く奴らに聞いたんだが
おまえさんたちが 鬼退治に行こうと
しているっていうのは 本当なのか?」
桃太郎が そうだよ と答えると
ゴリラは 再び
胸を ドンドコドンドコ 叩きました。
「そりゃあ 思う存分
暴れられそうだな!
怪力だったら 鬼にも負けないぜ。
おれを お供に加えてくれ!」
こうして 桃太郎は
犬と ゴリラと 一緒に
鬼退治へ 行くことになりました。
…『【ル】 二番手は ゴリラ』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・15】 お供は、サムライ
それは サムライでした。
「……そなたは 桃太郎殿でござるな?
お初に お目にかかる。
拙者は 浪人稼業の 落ちぶれザムライ。
名乗るほどの者ではござらぬゆえ
サムライとでも 呼んでくだされ。
申し訳ござらぬが
拙者 三日三晩 なにも口にしておらず……」
桃太郎は きびだんごをあげました。
「かたじけない。
では ありがたく」
サムライは 美味しそうに
きびだんごを 食べました。
「桃太郎殿 助かり申した。
この御恩 鬼退治の お供をすることで
返させてはもらえないだろうか?」
こうして 桃太郎は
犬と サムライと 一緒に
鬼退治へ 行くことになりました。
…『【ヲ】 二番手は サムライ』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・16】 三番目のお供
桃太郎と 犬と 猿が
鬼ヶ島を目指して歩いていると
またしても 誰かが 近づいてきました。
それは……
1
雉
…『【イ・17】 お供は、雉』にすすむ
2
ハヤブサ
…『【イ・18】 お供は、ハヤブサ』にすすむ
3
宇宙人
…『【イ・19】 お供は、宇宙人』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・17】 お供は、雉
それは 雉でした。
「桃太郎さん
お腰につけた きびだんご
一つ わたしにくださいな」
桃太郎は きびだんごをあげました。
「桃太郎さん ありがとう!
鬼退治にお供させてください!」
こうして 桃太郎は
犬 猿 雉を お供にしたがえて
鬼退治へ 行くことになりました。
…『【イ・20】 鬼ヶ島が見える港町』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・18】 お供は、ハヤブサ
それは ハヤブサでした。
「単刀直入に言おう。
きびだんごをくれたら
鬼退治に お供として同行しよう。
さあ どうする?」
桃太郎は きびだんごをあげました。
「ありがとう。
では 共に行くとしよう。
鬼ヶ島の位置は
すでに調査済みだ。
ぼくが先導する。
さあ ついてきてくれ」
そう言うと ハヤブサは
颯爽と 飛んで行ってしまいました。
桃太郎と 犬と 猿は
慌てて ハヤブサを追いかけました。
…『【ワ】 最後のお供はハヤブサ』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・19】 お供は、宇宙人
それは 宇宙人でした。
「ワタシ ウチューカラ ヤッテキマスタ。
モモタロサン キビダンゴ チョウダイ」
桃太郎は きびだんごをあげました。
「オオ……
コレガ アリトアラユル セイブツノ
シンタイノウリョクヲ
コウジョウサセル トイウ
シンピノ ヤクガン キビダンゴ!
コレデ ウチューセンソウハ
ワレワレノ ショウリデ マチガイナシダ!」
宇宙人は きびだんごを食べずに
銀色の容器の中へ 大切にしまいました。
「モモタロサン アリガトサン。
オレイニ スベテ ハカイ シテオクマス。
ソレデハ サヨーナラ」
すると 青白い光が 空から降り注ぎ
宇宙人の身体を 包み込みました。
上空を見ると
銀色の円盤が 浮かんでいます。
宇宙人は 青白い光に吸い込まれて
銀色の円盤の中へと 消えていきました。
あの宇宙人は いったいなにが
したかったのでしょう?
それに 最後に言ったことは
どういう意味だったのでしょう……?
桃太郎たちは
なにもわかりませんでしたが
とりあえず 先へと進みました。
しばらく歩くと 海岸に出ました。
海の向こうに 鬼ヶ島が見えます。
桃太郎たちは
改めて 気持ちが引き締まる
思いがしました。
そのときです。
銀色の円盤が
鬼ヶ島に向かって 飛んでいきました。
それは 一瞬の出来事でした。
鬼ヶ島が 光に包まれたかと思うと
ドオォォォォォンッ!
激しい爆音と共に
尋常ではない突風が 吹き荒れました。
突風が去り 顔をあげると……
なんと
海の向こうにあったはずの鬼ヶ島が
跡形もなく 消え去っていました。
その後 桃太郎たちは
舟に乗って 鬼ヶ島があった場所へと
向かってみました。
やはり 鬼ヶ島は
跡形もなく 消え去っていました。
焼け焦げた 虎柄のパンツだけが
茶色く濁った海の上に 漂っていました。
こうして 桃太郎の鬼退治は
幕を閉じたのでした。
――数ヶ月後
宇宙から 地球を支配しようと たくらむ
悪の宇宙人大艦隊が やってきて
桃太郎が 大活躍するのですが
それは また 別のお話……
おわり
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・20】 鬼ヶ島が見える港町
桃太郎と お供の 犬 猿 雉は
港町へと やってきました。
海の向こうには 鬼ヶ島が見えます。
鬼ヶ島へ行くためには
海を渡らなくてはなりません。
そこで 桃太郎は……
1
舟を借りることにしました。
…『【イ・21】 舟を借りる』にすすむ
2
泳ぐことにしました。
…『【イ・22】 泳いで渡る』にすすむ
3
軍艦を奪うことにしました。
…『【イ・23】 軍艦を奪う』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・21】 舟を借りる
桃太郎は 港町の漁師さんから
手漕ぎの舟を 借りました。
犬が 櫂で舟をこぎ
猿が 梶で舟をあやつり
雉が 空を飛んで 周囲を見張ります。
桃太郎は 舟の先端に立ち
仲間たちに 行く先を指示しました。
海の向こうに見えていた鬼ヶ島が
どんどんと 近づいてきました。
…『【イ・24】 いざ、鬼ヶ島へ』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・22】 泳いで渡る
桃太郎は
泳いで 海を渡ることにしました。
すると 犬が 桃太郎に言いました。
「それ よく考えた?
泳いで渡るっていうことは
つまり 長距離を泳いだあとで
鬼たちと 戦うってことだよ。
ここから鬼ヶ島までは 約4キロ。
たしかに 泳げない距離ではないよ。
でもね 海には 波があるし
潮の流れもあるし
なにより 海水っていうは
ベトベトするんだよ。
泳いで 疲れて
海水で 体中がベトベトする状態で
鬼と戦える?」
犬の 冷静な意見に
桃太郎は なにも言えませんでした。
桃太郎は
改めて 仲間たちと話し合い
漁師さんから 手漕ぎの舟を借りて
海を渡ることにしました。
…『【イ・24】 いざ、鬼ヶ島へ』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・23】 軍艦を奪う
どうやって 海を渡ろうか 考えていると
猿が 嬉々として 言いました。
「みんな 見て!
あそこに カッコイイ船が あるよ!」
港の奥に 軍艦が停泊していました。
雉が 上空から 軍艦の様子を
見てきてくれました。
「どうやら 見張りが数名いるだけで
手薄のようです」
これはチャンスだとばかりに
桃太郎は 軍艦をいただくことにしました。
犬 猿 雉の 見事な連携プレーで
数名の見張りを 素早く制圧し
あっという間に
軍艦を奪うことに成功しました。
桃太郎は 軍艦を操縦して
鬼ヶ島へと 向かいました。
…『【カ】 軍艦 VS 鬼ヶ島』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・24】 いざ、鬼ヶ島へ
桃太郎たちは
鬼ヶ島の 目の前までやってきました。
雉が 上空から 鬼ヶ島の様子を
偵察してきてくれました。
「入れる場所は 二ヵ所だよ。
一つは 正面。
もう一つは 裏口。
正面には 鬼が二匹。
裏口には 鬼が一匹。
でも 上空からだと
鬼ヶ島の構造が よくわからないから
どこに どれだけの数の鬼たちが
潜んでいるのか わからないね」
雉からの報告を聞いて
桃太郎は……
1
正面から突入しました。
…『【イ・25】 決戦! 鬼ヶ島!』にすすむ
2
裏口から侵入しました。
…『【イ・26】 裏口から侵入せよ』にすすむ
3
様子を見ることにしました。
…『【イ・27】 桃太郎は慎重派』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・25】 決戦! 鬼ヶ島!
そして 桃太郎たちは
正面の大門から
鬼ヶ島へ 突入しました。
突然の襲撃に
鬼たちは 大慌てです。
犬が 鬼にかみつき
猿が 鬼をひっかき
雉が 鬼の頭を つっつきました。
お供たちが 鬼を追い回す中
桃太郎は 鬼ヶ島の奥へと
向かいました。
…『【イ・28】 最終対決!』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・26】 裏口から侵入せよ
桃太郎たちは
鬼ヶ島の裏口へと 向かいました。
岸壁に 沿って進み
こっそりと 上陸しました。
そして 足音を立てずに
見張りの鬼に 接近し
背後から 一気に斬りました。
「よし。
この調子で 気づかれないように
侵入しよう」
桃太郎たちは 足音を忍ばせながら
鬼ヶ島へと 侵入しました。
…『【イ・29】 忍びの心得』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・27】 桃太郎は慎重派
桃太郎は 沖合で
もう少し 様子を見ることにしました。
まず 雉には 上空から
鬼ヶ島全体の様子を
偵察してもらい
犬と 猿には
鬼ヶ島まで 泳いでもらって
こっそりと上陸し
入り口付近や 島内部の状況を
確認してもらうことにしました。
お供たちが
それぞれ 作戦を実行する中
桃太郎は 舟の上で 待機していました。
……それから 一時間が経過しました。
犬も 猿も 雉も
一向に帰ってきません。
桃太郎が いよいよ不安になってきたとき
ようやく 雉が戻ってきました。
しかし 舟に帰還した 雉は
全身がボロボロでした。
…『【イ・30】 雉の伝言』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・28】 最終対決!
桃太郎は
鬼ヶ島の いちばん奥へと
やってきました。
そこにいたのは
鬼の大将です。
「おれさまの玉座へ 勝手に入ってくるとは
いい度胸だな。
貴様 何者だ?」
「われこそは
桃から生まれた 桃太郎!
やい 鬼の大将!
ぼくと……
1
「勝負しろ!」
…『【イ・31】 桃太郎 対 鬼の大将』にすすむ
2
「戦わずに 降参しろ!」
…『【イ・32】 桃太郎の交渉』にすすむ
3
「おともだちになってください!」
…『【イ・33】 おともだち大作戦』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・29】 忍びの心得
裏口から 侵入した桃太郎たちは
そのまま 足音を忍ばせながら
鬼ヶ島の内部へと 進みました。
桃太郎たちは 思いのほか
忍び足が得意でした。
鬼たちが 近くを通り過ぎることも
あったのですが
いっさい 気づかれませんでした。
そして 鬼ヶ島の宝物庫まで
みつかることなく たどり着くことが
できたのでした。
桃太郎たちは 自分たちの忍び足を誇り
達成感に 心躍らせました。
が しかし。
これが ぬか喜びであったことを
桃太郎たちは 数分後に知るのでした……
…『【イ・41】 桃太郎たちの誤算』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・30】 雉の伝言
舟に帰還した 雉は
全身がボロボロでした。
「桃太郎さん…… ごめんなさい。
わたしたちは 鬼に捕まってしまったんです。
わたしは 逃げられたわけではなく
桃太郎さんに 伝言をするために
戻されたのです。
鬼たちは 犬さんと 猿さんを捕えています。
二匹を 殺されたくなければ
ただちにこい…… とのことです」
桃太郎が 慎重になりすぎたことによって
仲間たちが捕まってしまうという
もっとも 最悪な展開を
迎えてしまったのでした。
桃太郎は 伝言に従い
すぐに 鬼ヶ島へと 向かいました。
雉を 舟で休ませると
桃太郎は ひとりで
鬼ヶ島に上陸しました。
鬼ヶ島では すでに鬼たちが
ずらりと並んでいました。
桃太郎は
ニヤニヤする鬼たちの間を通って
鬼ヶ島の奥へと進みました。
広間のような場所へ着くと
犬と 猿が 柱に縛られていました。
二匹とも 顔が何倍にも
腫れ上がっていました。
「ぼくが 桃太郎だ!
さあ 来てやったぞ!
仲間たちを 解放するんだ!」
桃太郎が叫ぶと
鬼たちが いっせいに笑いました。
「ギャハハハハ!
おまえは バカなのか?
侵入者を 逃がすわけないだろ!」
そこへ 雉も連れてこられて
柱に縛られてしまいました。
桃太郎は 鬼たちを睨みつけました。
すると 広間の奥から
ひときわ大きな鬼が現れました。
「この状況で おれたちを睨むとは
いい度胸してるじゃねぇか」
出てきたのは 鬼の大将でした。
「桃太郎って言ったな。
その度胸に免じて
最後の機会を 与えてやろう」
鬼の大将は ニヤリと笑いました。
…『【イ・42】 最後の機会(チャンス)』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・31】 桃太郎 対 鬼の大将
「やい 鬼の大将!
ぼくと勝負しろ!」
「おれと 勝負するだと?
ふっふっふ! 面白い!
いいだろう。
その度胸に免じて
特別に 勝負してやるぞ!」
鬼の大将は
金棒を持って 立ち上がりました。
その背丈は 山のように巨大です。
でも 桃太郎は いっさい怯えることなく
鬼の大将に 立ち向かっていきました。
…『【イ・34】 勝者は……』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・32】 桃太郎の交渉
「やい 鬼の大将!
ぼくと 戦わずに 降参しろ!」
「降参しろ だと?
なぜだ?」
「おまえだって 傷つきたくはないはずだ。
無傷のままで この戦いが終わるのなら
それが いちばんのはずだ」
「たしかに そうだな。
よし わかった。
降参するとしよう」
「さすが 鬼の大将だ!
では 降参の証として 握手をしよう」
桃太郎は 刀を鞘にしまって
鬼の大将に 近づきました。
そして 桃太郎が 握手をしようと
右手を差し出したときです。
鬼の大将は 金棒を振り上げ
桃太郎を殴り飛ばしました。
桃太郎は 一撃で絶命しました。
すると
床に崩れ落ちた 桃太郎の左手から
小刀が 滑り落ちました。
桃太郎は 鬼の大将に嘘を言って 近づき
油断したところで 心臓を刺してやろうと
画策していたのです。
「人間とは
なんて愚かで ズルい生き物なんだ。
悪の権化たる鬼を
そんな浅はかな嘘で騙し通せると
本気で思ったのか?
小細工などせず
正面から 正々堂々と
戦いを挑んでいれば
勝敗は どうなったのか
わからなかったものを……」
鬼の大将は 桃太郎の亡骸を
外に放り投げました。
敗北を悟った 犬と猿と雉は
すぐに降伏しました。
……その後 桃太郎のように
鬼に戦いを挑む者は 現れませんでした。
人々は 鬼に恐怖しながら
日々を生きるしかないのでした。
おわり
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・33】 おともだち大作戦
「やい 鬼の大将!
ぼくと おともだちになってください!」
「……は?
今のは おれの聞き間違いか?
聞き間違いに決まってるよな。
鬼の大将に向かって
まさか そんなことを言うわけが――」
「おともだちになってください!」
「え? なんなの?
そう言って 油断させる作戦か?」
「違う ぼくは本気だ。
鬼ヶ島へと向かう間
ずっと考えていたんだ。
鬼を退治し 排除することはできる。
しかし 果たして
それで いいのだろうか?
本当の正義とは
悪を退治することではなく
悪を許し 改心する機会を与え
そして 共に生きていく道を探ることなのでは
ないだろうか?」
「ふん 青いな 桃太郎。
世界は そんなに甘くないぞ。
鬼だけじゃなく
おまえたち 人間も
平気で裏切り 平気で騙す。
おのれの正義を貫きたいのならば
悪と思う対象を
すべて 排除すべきなのだ。
それ以外に 平和への道はない」
「おまえの言うこともわかる。
その通りだとも思う。
だからこそ
今 我々二人で 変えないか?
この腐りきった世の中を
より良い世界にするために」
「詭弁は もういい!
しょせん 鬼と 人間は
相容れぬ存在なのだ。
光が影に 影が光にならないように
善が悪に 悪が善になることはない。
善は最初から善であり
悪は最初から悪なのだ。
つまり この世は
人間が生き残るか
鬼が生き残るか
そのどちらかしか ありえないのだ」
「違う!
諦めるな!
種族なんて関係ない!
同じ星に生きる者同士として
わかり合うことは できるはずだ!
鬼だって 空を美しいと思うはず。
爽やかな潮風が吹けば
心地いいと感じるはず。
人間だってそうだ。
同じものを美しいと思い
同じことを面白いと思っている。
ぼくたちは 同じなんだ。
違いなんて ないんだ。
お互いの存在を認め合えば
より良い未来が――」
「もう いい! 黙れっ!」
鬼の大将は 巨大な金棒を
桃太郎に向けて 振り下ろしました。
…『【イ・43】 未来』にすすむ
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・34】 勝者は……
桃太郎 対 鬼の大将の
勝負の結果は……
「ぼくの 勝ちだ!」
桃太郎が 見事に勝利しました。
「うう おれが負けるとは……
さあ 煮るなり焼くなり
好きにしろ」
桃太郎は……
1
鬼の大将を 許してあげました。
…『【イ・35】 桃太郎は、鬼を許した』にすすむ
2
金銀財宝を手に入れました。
…『【イ・36】 桃太郎は、お宝を手に入れた』にすすむ
3
鬼の大将に トドメを刺しました。
…『【イ・37】 桃太郎は、鬼を殲滅した』にすすむ
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●【イ・35】 桃太郎は、鬼を許した
桃太郎は
「もう二度と
悪さをするんじゃないぞ」
と 鬼の大将を許してあげました。
「なんて 器の大きな男なんだ」
鬼の大将は 桃太郎のことが
すっかり気に入ってしまいました。
鬼の大将は
もう二度と悪さはしないと約束し
そして 今までに奪った金銀財宝を
桃太郎に返しました。
…『【イ・38】 桃太郎、村に帰る』にすすむ
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●【イ・36】 桃太郎は、お宝を手に入れた
桃太郎は
鬼の大将を縛り上げました。
「宝はすべてやる。
だから 命だけは助けてくれ」
鬼の大将は 泣きながら言いました。
「いいだろう。
それで 宝はどこにある?」
鬼の大将は 宝のありかを教えました。
桃太郎は 山のようにある金銀財宝を
すべて 手に入れました。
「宝をくれてやったのだから
縄をほどいてくれ」
と 鬼の大将は 桃太郎に頼みました。
しかし
桃太郎は ものすごく冷たい目で
鬼の大将を見ながら……
「悪者の鬼を 信用できるわけがないだろ。
そのまま 自分がしてきた悪行を
反省するんだな」
と 言って
鬼の大将の縄は解かずに
金銀財宝をすべて持って
鬼ヶ島を あとにしました。
…『【イ・39】 因果応報』にすすむ
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●【イ・37】 桃太郎は、鬼を殲滅した
桃太郎は
鬼の大将に トドメを刺しました。
そして 生き残っている鬼たちも
すべて斬りました。
こうして桃太郎は
鬼ヶ島に棲む すべての鬼を倒したのでした。
桃太郎は 目的を成し遂げ
意気揚々と 鬼ヶ島を発ちました。
……そんな 去り行く桃太郎の背を
陰から見ていた者がいました。
…『【イ・40】 世間の声は轟音となる』にすすむ
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●【イ・38】 桃太郎、村に帰る
桃太郎は
犬 猿 雉と共に
村へと帰りました。
鬼から取り戻した金銀財宝は
もとの持ち主に すべて返しました。
おじいさんと おばあさんは
桃太郎が無事に帰ると
泣いて喜びました。
それから 桃太郎は
共に戦った犬 猿 雉と
おじいさん おばあさんと一緒に
末永く幸せに暮らしましたとさ。
めでたし めでたし
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・39】 因果応報
桃太郎は 手に入れた金銀財宝を
人々に返還することなく
すべて 自分で持ったまま
村へ帰りました。
おじいさんと おばあさんだけでなく
村中の人々が
桃太郎と そのお供たちの帰還を
歓迎しました。
桃太郎は
鬼から奪った金銀財宝で
ものすごい豪邸を建てました。
豪邸の中では
毎晩のように 宴が開催され
国中の偉い人や 美女が集まりました。
その影響で 村の経済は活性化し
瞬く間に 大きな町へと発展し
みんな 幸せに暮らしました。
――一方 その頃
鬼の大将は 三ヶ月近く
縛られたままでしたが
まだ生きていました。
なんと 鬼の大将は
自分で 自分の口の中を噛み
あふれ出た血を 飲むことで
一命を取り留めたのです。
しかし なにも食べていないので
すっかり 痩せ細り
頬はこけ あばら骨が浮き出ていました。
そのときです。
鬼の大将を縛る縄が 切れました。
三ヶ月近く経ったことで
縄が 自然と劣化したのです。
鬼の大将は
鬼ヶ島の中を歩き回りました。
鬼の 腐乱した死体が 転がっているだけで
生き残っている鬼は 一匹もいませんでした。
「桃太郎め……
おれを騙したうえに
仲間たちを 皆殺しにしやがって……
必ず 後悔させてやる」
鬼の大将の目が
激しい怒りで 燃え上がりました。
――三日後
桃太郎の豪邸と 周辺にできた町は
鬼の大将の奇襲によって
すべて破壊され 燃やされました。
桃太郎は 全身に火傷を負いましたが
なんとか 一命を取り留めました。
おじいさんと おばあさんをはじめ
犬も 猿も 雉も みんな亡くなりました。
「鬼め……
絶対に許さない」
桃太郎の顔は 怒りで 満ち満ちていました。
それは まるで鬼のようでした。
おわり
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・40】 世間の声は轟音となる
去り行く 桃太郎の姿を見ていたのは
鬼の大将の一人息子でした。
「桃太郎め……
絶対に許すものか」
鬼の大将の息子は
島の外にある 鬼の学校で
報道について 勉強をしていました。
なので
一連の出来事を記事に書き
世間に公表したのです。
見出しには こう書かれていました。
『正義を語る桃太郎
無抵抗の鬼を斬り殺す!』
記事は 瞬く間に拡散し
桃太郎は 世間から叩かれました。
「鬼は 無抵抗ではなかった!
それに 鬼は各地で悪さをしていた!」
と 桃太郎は反論しましたが
しかし 批判が止むことはありませんでした。
嘘を言っているのは
鬼の大将の息子です。
しかし 世間はそれを知りませんし
知ろうともしませんでした。
世間は 父の無念を涙で語る
鬼の息子に同情して
桃太郎を責めました。
ついに 桃太郎は
お供だった犬 猿 雉と一緒に
村から こつぜんと消えました。
おじいさんと おばあさんも
桃太郎の行方を 知りませんでした。
桃太郎は
真実が 真実なのに伝わらず
嘘が 嘘なのに伝わる世の中に
すっかり嫌気がさしてしまったのです。
その後 桃太郎は
人気のない山奥で
お供たちと一緒に
ひっそりと暮らしました。
桃太郎には
困っている人たちを
助けることができる
特別な力がありました。
しかし その力が
誰かを助けるために使われることは
それ以降 一度もありませんでした。
人々は よく考えもせずに
嘘の情報を信じたことによって
自分たちを守ってくれる正義の味方を
失ってしまったのでした。
おわり
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・41】 桃太郎たちの誤算
桃太郎たちは 鬼ヶ島の宝物庫まで
鬼に いっさい みつかることなく
侵入することができました。
そこで 桃太郎たちは
このまま 金銀財宝を まるごと奪って
逃げることにしました。
しかし そんなにうまく
いくはずがありません。
気づいたときには
宝物庫は 鬼に囲まれていました。
桃太郎たちは 金銀財宝に浮かれてしまい
鬼たちが 迫っていることに
気づいていなかったのです。
もはや 逃げ道はありませんでした。
桃太郎たちは 意を決して
鬼たちに 戦いを挑みました。
きっと 少しずつ 鬼と戦っていたら
勝算もあったでしょう。
しかし ここまで囲まれてしまったら
もはや勝ち目など ありませんでした。
桃太郎たちは 敗北しました。
その後 鬼ヶ島の警備は 厳重になり
もう誰にも 攻め落とせなく
なってしまったのでした。
おわり
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・42】 最後の機会(チャンス)
鬼の大将は 桃太郎に 最後の機会を
与えました。
「おれと 素手で勝負しろ。
もちろん おれも素手で戦ってやる。
どうだ 受けるか?」
桃太郎に 選択肢などありませんでした。
桃太郎は 刀を地面に置きました。
「さあ こい!」
桃太郎と 鬼の大将の
素手による 殴り合いの決闘が 始まりました。
鬼たちは もちろん
柱に縛られている お供たちも
勝敗は すでに決していると 思っていました。
巨大な鬼の大将に
人間の若者が
素手で勝てるわけなど ないからです。
しかし 桃太郎は
決して諦めませんでした。
桃太郎の拳は
鬼の大将の顔面には届かず
何度も 空を切りました。
対して 鬼の大将は
桃太郎を 何度も殴り飛ばしました。
桃太郎は 何度も 気を失いかけましたが
そのたびに踏ん張って
鬼の大将に 殴りかかりました。
戦いは 大方の予想に反して
1時間以上も 続きました。
鬼の大将は 桃太郎を殴りすぎて
すでに疲れ果てていました。
桃太郎は 殴られ続けていましたが
変わらずに 険しい表情をしており
疲れているのか どうなのか
まったくわかりませんでした。
そして
それは 一瞬の出来事でした。
鬼の大将が もうこれで終わらせようと
渾身の力をこめて
桃太郎に 殴りかかりました。
巨大な拳が 桃太郎に向かって振り下ろされると
桃太郎は その拳へと 自ら向かいました。
桃太郎の予想外の行動に
鬼の大将が 虚を突かれた瞬間
桃太郎は 巨大な拳を
ギリギリのところで避けて
その勢いのまま
鬼の大将の顔面を 殴りつけました。
それは 桃太郎が初めて
鬼の大将の顔面を 殴った瞬間でした。
桃太郎の拳は 鬼の大将の顎に決まり
脳天を揺らしました。
鬼の大将は ゆっくりと倒れ
しばらく起き上がることができませんでした。
桃太郎が 素手の殴り合いで
鬼の大将に勝利したのです。
解放された 犬と猿と雉が
桃太郎に駆け寄りました。
しかし……
桃太郎は 立ったままで 死んでいました。
その顔は 血みどろではありましたが
とても穏やかでした……
――その後
鬼たちは 奪った金銀財宝を すべて返し
鬼ヶ島からも去りました。
誰もいなくなった 鬼ヶ島の中央には
桃太郎の金の像がありました。
鬼の大将が 桃太郎の勇姿を讃えて
築造したのです。
それから 長い年月が経ち
鬼ヶ島が観光地となった今でも
桃太郎の金の像は
光り輝き続けていました。
おわり
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
●【イ・43】 未来
鬼の大将は 巨大な金棒を
桃太郎に向けて 振り下ろしました。
金棒は 桃太郎の真横に
振り下ろされたのでした。
その間 桃太郎は
微動だにしませんでした。
「……なぜ 逃げなかった?」
「わからない。
ただ ここで逃げてしまったら
自分の信じた未来を
信じられなくなりそうな気がしたんだ」
「はあ…… つくづく青いな。
理想だけでは 生きていけないぞ」
「それは やってみなくてはわからない。
現に おまえの行動を変えることはできた。
こうやって 少しずつ変えることができれば
世界も 未来も 変えることができるはずだ」
「まったく……
青臭すぎて 反吐が出そうだ。
……ただ その純粋なまでの青さに
賭けてみるのも いいかもしれない」
鬼の大将は 金棒を捨てました。
「共存など 不可能だと思うが
やれるところまで やってみようじゃないか」
桃太郎も 刀を捨てました。
「うん。
やれるところまで やってみよう」
桃太郎と 鬼の大将は
並んで外へと出ていきました。
両者が並んでいる姿を見て
お供たちと 鬼たちの戦いは 終わりました。
桃太郎は 鬼たちに
奪った金銀財宝の返還と
二度と 人間を襲わないことを
約束させました。
その代わりに
鬼も 市場で魚を売ったり
買ったりできるように
設備などを整えました。
こうして 少しずつ
人間と鬼が 共存できるように
桃太郎と 鬼の大将は 努力しました。
――数十年後
いまだに 人間と鬼のいざこざは
各地で起こっています。
完全な共存は 果たせていません。
しかし 確実に 溝は埋まりつつあります。
ちゃんと話すことができれば
わかり合えるのです。
そして 桃太郎は
今もどこかで
種族の垣根を 取り払うべく
武器ではなく
信念を強く握り締めて
戦い続けているのでした。
おしまい
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