(恐らくは)意味なしメイド

「実家から地酒もらったんで飲みに来ませんか、あとこないだ話してた映画も配信してるんで観ませんか」と後輩から家飲みの誘いが来たので安酒を手にアパートを訪れ、呼び鈴を鳴らして開いたドアから出てきた後輩は安っぽいメイド服を着ており、意外と早かったんですね外暑かったでしょうと当たり前のように居間へと案内され、向かい合って飲みながら恐る恐る服装について尋ねても曖昧に語を濁され話を逸らされるばかりで、さておきそれ以外には不審な様子もない以上、俺は注がれた地酒をちびちびと啜りながら、忍者と恐竜が緩慢に殴り合う様が映るモニターを曖昧な表情で眺める後輩の横顔と袖口を飾る可憐なフリルを呆然と見比べている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る