アストラル・ノワール 禁忌の魔力と学園の闇
すぎやま よういち
序章と事件の幕開け
第1話 問題児リアムの日常
アストラルシティの息吹:魔法が織りなす都市の肖像
アストラルシティの朝は、虹色の魔力光が夜明けの空を切り裂くようにして始まる。東の空に昇る双子の太陽、アルクとルナの光が、この魔法都市のあらゆる建造物に反射し、きらめく粒子のシャワーを降り注ぐ。石畳の通りに敷き詰められた魔力線が、都市の血管のように脈打ち、建物の壁を這う発光性の蔓植物は、夜が明けるにつれて生命力を得たかのように一層輝きを増していく。街全体が、まるで生き物のように呼吸し、その息吹が、微かな魔力のざわめきとなって、空気中に満ちていた。
アストラルシティの中心には、都市そのものと同じくらい古いとされる巨大な“マナの泉”が地下深くで脈動している。そこから供給される無限の魔力が、この都市の生命線であり、技術の礎だ。道路を行き交う魔動車は、車輪の代わりに微弱な反重力魔法で浮遊し、地面から数センチ離れて滑るように進む。排気ガスのかわりに、澄んだ魔力の残滓が淡い光の尾を引く。信号機は、魔力感知式のクリスタルが瞬くことで交通を制御し、空に張り巡らされた“エーテルライン”と呼ばれる透明な魔力回廊を、人々は“空中艇”や“個人用魔力滑空板”で移動する。朝の通勤・通学ラッシュ時には、色とりどりの光の筋が空を駆け巡り、まるで星々が都市を横切っているかのような幻想的な光景が繰り広げられる。
建物の素材もまた、魔法と深く結びついている。特に印象的なのは、“輝石(きせき)煉瓦”で築かれた高層建築群だろう。この煉瓦は、日中の太陽光を蓄え、夜にはぼんやりと柔らかな光を放つ。夜のアストラルシティは、この輝石煉瓦のビル群と、魔力駆動の街灯、そして空を彩るエーテルラインの輝きによって、地上に降り立った星空のようだ。店舗のショーウィンドウには、魔力で自動的に開閉する“自動展示結界”が張られ、中に陳列された宝飾品や魔導具は、常に最適な温度と湿度に保たれ、見る者の目を奪う。
街のあちこちからは、“魔術刻印(エンチャント)”された物体の規則的な駆動音が聞こえてくる。それは、パンを自動で焼き上げる“錬成オーブン”の微かな振動だったり、街路のゴミを自動回収する“清掃ゴーレム”の鈍い足音だったりする。都市のいたるところに魔法が浸透し、人々はそれを空気のように当然のものとして享受していた。
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