第44話 私の心の変化

 私は、心の中でそう完結させた。そんなわけがないと思いたかったから。そもそも、そんなことを想定しているはずがない。そんなことをするぐらいなら、大智さんはおろか、林太郎さんですら助けていたはずだ。今の生徒会役員の編成は、偶然久保田誠輝の目に留まった人たちなのだろう。

 私は、そう思っていた。高城先輩が生徒会室の鍵を閉めて、少し話をしたのちに自分の教室に帰った。

 私が教室に入ろうとドアに手をかけると、ある女子に話しかけられた。

 「ねぇ、最近さ、また面倒なことに巻き込まれてるみたいだけど大丈夫?」

 話しかけてきたのは、米澤美苗だった。彼女は、前回私たちが巻き込まれた『私物盗まれ事件』の時に五人の中の容疑者の一人でありある意味被害者だった人だ。あの日、解決をした日から、私たちに話しかけてくることもなかったが、最近目が合うことが多々あったのをわかっていたが、気にも留めていなかった。

 「私には、多分あなたがしていることに手を貸すなんて無理だと思う。でも、他のことならちょっとぐらいできるかもしれない。私たちを頼ってくれてもいいんだよ?。うちのクラスには、あの件であなたたちに感謝している人も、あなたたちを見直した人もいる。あなた…、藤堂さんの頼みなら、みんなできる限り手伝うからね」

 私は、そう言いながら教室に入っていった米澤美苗の背中を見つめることしかできなかった。「ありがとう」も「わかった」も返す言葉としては、不適切な気がした。

 米澤美苗にも、ほかの人にも、私に協力するなんて合理的な理由がない。ただでさえクラスで目立ったこともしていなかった私が、出しゃばって事件を解決なんて、もっとなじめなくなるだけだと思ってたし、なじめなくてもいいと思っていた。だけど今は、少し違うのかもしれない。

 「ル~ミ!。もう授業始まっちゃうよ」

 私が教室の前で考え込んでいると、背中に衝撃を感じると共に、温かみを感じた。少し遅れて、聞きなれた声と、月下美人のシャンプーの匂いが鼻を通った。

 「カメ…。トイレにでも行ってたの?」

 私が首元にあるカメの手をつかんで後ろを向くと、ニコニコのカメがこっちを見ていた。

 「いや、気づいたらルミがいなくなってたから、探し回ってたの~」

 いつもと同じおっとりとした顔と喋り方は、脳が思考を止めずにいた私にやすらぎを与えてくれた。

 「あっ、ごめんね。ちょっと用事があって」

 「別にいいよ~。ってもしかして彼氏とか?」

 カメは、ニコニコの笑顔からニヤニヤと言った顔になりそう訊いてきた。カメには申し訳ないが、そんなこと一切なかった。

 「そんなんじゃn…」

 私が否定をしようとした瞬間、教室のドアが開きミヤが立っていた。

 「ル、ルミ、彼氏できたの?」

 なぜかミヤは、焦ったような顔をして、冷や汗をかいていた。

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