第2話 【驚愕】ちょっとした趣味が大変なことに!その驚きの理由とは!?【実話】

 家に戻った若林は、食事を済ませ、風呂に入った。

 後は、就寝までの自由時間だ。


 若林はパソコンをスリープモードから復帰させ、液晶タブレットの電源を点けた。

 液晶タブレットとは、パソコンに接続することで、専用のペンによって画面を直接操作できる画面デバイスのことだ。主にイラスト制作などの目的で利用される。


 彼の趣味は、デジタルでイラストを描くことだった。

 普段描くイラストは、主に有名なアニメや漫画の二次創作のものがほとんどだった。

 しかし今日はどうにも、筆が乗らない。

 若林は、スーパーで見た光景が忘れられず、気になって仕方がなかった。


 そこで彼は、ふとあることを思いついた。それは、スーパーでの一件を、短いエッセイ漫画として描いてみるというものだった。

 漫画など一度も描いたことはなかったが、不思議と筆が進んだ。

 スーパーで経験したことを、誇張せずに、己の感情を込めて、作品として描いた。

 そうして、深夜を過ぎたころ、ついに描き上がった。


 若林は、出来上がった作品をSNSに投稿して、その夜は眠りについた。


 翌朝、若林はスマホの通知音で目を覚ました。


「まだこんな時間じゃないか……もう少し寝よう」


 しかし、起床用のアラームをかけていた時間よりだいぶ早かったので、彼は通知を無視して布団をかぶった。


 その時、再びスマホからピコンと通知音が鳴った。

 もう一度無視する若林だったが、さらにピコン、ピコン……と通知音が連続して鳴り響く。


「一体なんなんだ、こんな時間に……」


 若林は仕方なく体を起こして、スマホの画面を見た。


「……あっ!!」


『カツカリィさん、vs朝さん、SFDRQさん、他105人があなたの投稿に『いいね』しました』


『chiuさん、逆上がり先生さん、明太珈琲さん、他130人があなたの投稿に『いいね』しました』


『社不日和さん、デカ尻尾@skeb募集中さん、中本さん、他120人があなたの投稿に『いいね』しました』


………

……


 そこには、昨晩、若林が投稿したエッセイ漫画に対する、大量の『いいね』の通知が並んでいた。通知画面を下にスライドしても、同じような通知が延々と続いている。

 彼の投稿は、「バズった」のである。


「な、なんてこった……こんなにたくさんの『いいね』が付くなんて……!」


 投稿を確認すると、すでに5万以上の『いいね』が付いている。


 若林は嬉しいと思うと同時に、戸惑った。こんなにも大量の『いいね』を得たことは一度もなかったため、どうしたらよいか困惑してしまったのだ。


「あ、ヤバい遅刻する! とにかく仕事に行かなきゃ!」


 呆然としていると、電車の時間が迫っていることに気づいた。

 若林は急いでアパートを飛び出し、電車に乗り、仕事へ向かった。


「若林、今日はなんだか嬉しそうじゃないか」


 同僚の津田が話しかけてきた。


「い、いやあ、ちょっとね……仕事が上手くいったんだ」

「そうか、それは良かったな」


 若林は、津田にバズった件を隠した。大量の『いいね』を持っていると人に知られたら、どんな目に遭うか分からないと思ったのだ。


 その日は一日中、スマホの通知が止まらなかった。若林はそれが気になって仕事に集中できなかった。


「あっ! こんなものまで!?」


 彼が目にしたのは、エッセイ漫画に対する、とある引用投稿だった。なんと、彼の漫画の内容を英訳して、海外に向けて拡散したものだった。

 その影響か、海外からの反応まで増えてきていた。


「こんなにも『いいね』を貰ってしまって、果たして大丈夫なのだろうか……」


 若林は、昨日のスーパーの様子を思い出して、肝を冷やした。

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