2・天才少女、救われる

01攻略者

 私、向水むこうみずミライは現在謎の男に拉致されている。


「ちょっと! 話を聞きなさい!」


 私を担ぐ謎の男へと怒鳴りつける。


「ダメだ、俺はダンジョンに関する情報を守秘する義務がある。このまま東千歳駐屯地で取り調べを行う」


 私を担いだまま淡々と男は返す。


 駐屯地……? いやそういえば言ってた、こいつ――。


「あんた何言ってんの⁉ 自衛隊なんて、とっくに機能してないでしょ‼ 私は政府公認の攻略者! ダンジョン攻略の妨害は犯罪なのよ⁉」


 私は男の世迷いごとに切り返すと。


「……詳しく聞かせてくれ」


「あんたがね。立場が入れ替わったことを自覚しなさい」


 男は足を止めて話をする意志を示したので、私はそう返す。


 ここから男の話を聞いた。


 この男、もとももかずは自衛隊員だという。


 任務で千歳ダンジョンに潜り、仲間とはぐれて迷いに迷い最下層まで辿り着き戦い続けて。


 ダンジョンから出てきたという。


 …………は? 意味が。三十年?

 全然荒唐無稽だけど…………でもこの人、男なんだよね。

 というか全然若いし、私と変わらないくらいの年頃だと思うけど……三十年? は有り得ないでしょ。いや若い男性ってのもかなり有り得ないんだけど。


 年を取らなかったことに関しては本人にも理由がわかっていないらしい。


 なんなんだこいつ……なんて怪しんでいると。


「迷宮復元の影響だ。主様は長い間ダンジョンのモンスターの血肉を食い続けていた。故にダンジョンの一部として認識されて怪我も老いも復元されたんだろう」


 と、男の戦闘ペットが語り出す。


「しゃっ! 喋るの⁉ どうなってんのよあんたの戦闘ペッ――」


「色めき立つな小娘、食い殺すぞ」


 人語を解する戦闘ペットに驚きの声を上げると、被せるように戦闘ペットは私を凄む。


 こ、こわぁ……。

 ええ? なにこの小さい……トカゲ? 竜なの? 可愛い見た目なのに全然可愛くないことを……。


「落ち着け、情報収集が最優先だ。俺のことは大体話した。だから今度はそっちが教えてくれ、今のことを」


 乃本は戦闘ペットをたしなめつつ、今度は私に話を振ってくる。


 …………いや、信じるわけじゃあないけど。

 一旦こいつが何も知らないこと前提に話をしよう。


「まず、ダンジョンが出現して迷宮災害が起こった頃から日本の人口は当時の約半分になった――」


 私はこの世界の常識を語る。


 日本の人口が三十年前の半分になった。

 自衛隊などの組織は維持出来ずにほぼ解体状態。


 現在は政府公認の攻略者がダンジョン攻略を行って迷宮災害対策をとっている。


 七大都市はほぼ壊滅。

 都市機能は唯一守れた札幌に移し、他の街は原発がある街を守るように人が集まった。


「……そこまで、いや迷宮災害の苛烈さは理解しているつもりだが。その為に俺もダンジョンに潜った……でも自衛隊が組織の維持が困難になるような……日本人口が半分なんて…………」


 乃本は顔を真っ青にしながら狼狽する。


「原因は迷宮災害だけじゃあない、未知の伝染病の流行も重なったことにある」


 私は狼狽する乃本へ語り。


。主に男性に感染、発症し、発症した場合は――――


 恐らく最も衝撃的であろう事実を述べた。


 迷宮災害の被害が広がってきた頃、未知の伝染病が蔓延。


 それによって日本の男性はかなりの人数が命を落とし、生き延びた人々のほとんどが女体化した。

 ほとんどが男性で構成されていた自衛隊は戦力を大幅に失い防衛機能を失い、迷宮災害への対抗が困難となった。


 そして当初男性にしか感染しないと考えられていた女体化症候群は、女性にも感染し発症していた。


 女体化症候群は男女によって症状が違い、女性が感染、発症した場合は妊娠した場合女児しか産まれないという症状が出た。


 さらに女体化症候群という未知の伝染病を恐れて海外からの支援は受けられず鎖国状態。まあ不幸中の幸いで他国からの侵攻とかも行われていないのだけれど。


 だがある日突然、迷宮災害が落ち着いた。

 解決はしてなかったし、日本中にモンスターが蔓延る状態は続いたが数や攻撃性が減った。


 でもその頃にはもうとっくに迷宮災害と女体化症候群によって日本人口は半分になり、男性の女性化と女性出生率の激増により。


 女子率99.999%の世界が完成していた。

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