第34話 バナナとおにぎり
Side:タイセイ
孤児院の子供達に、日本で買ったバナナとおにぎりの差し入れ。
たまにこれぐらいの贅沢は良いだろう。
「さあ、食え」
昼飯はバナナ三昧。
ここでは朝飯と夕飯の2食だけの人も珍しくない。
昼飯だけど、おやつの意味もあるからバナナにした。
孤児はバナナの皮を剥かずにかぶりついた。
「美味しくない!」
「皮を剥くんだよ。見てろ」
バナナを剥いてみせる。
「すげぇ、綺麗に剥ける! 魔法みたい!」
「みんなもやって食ってみろ」
「綺麗に剥けた!」
「私も!」
「何か気持ちいい!」
「こんなに簡単に剥ける果物は画期的!」
「神の果物ね!」
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スマイル100円、頂きました。
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スマイル100円の嵐。
「うわっ、甘い!」
「美味しい!」
「食べたことのない味!」
「種がない果物は初めて!」
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スマイル100円、頂きました。
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スマイル100円の嵐。
「この果物は安いから、何度もお替りして、腹一杯食って良いぞ」
バナナを主食で食ってる国もあるから、腹を下したりはしないはず。
青いのは下剤効果があるらしいけど、美味いのを食ってほしくて、しばらく置いた奴だから問題ないはず。
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スマイル100円、頂きました。
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スマイル100円の嵐。
4本で99円のバナナなのにな。
コスパ良過ぎだな。
綺麗に剥ける感動の笑顔は最初だけだけど。
「俺、10本食えるかな」
「競争しようぜ」
生クリームとヨーグルトも用意した。
「よし、クレープ作るぞ」
孤児の女の子が小麦粉を溶いて、クレープを焼く。
バナナと生クリーム。
バナナとヨーグルト。
この2種類のクレープが完成。
「クレープだ。美味いぞ。食え」
「うわっ、ただの小麦粉なのに、美味過ぎ!」
「これは屋台に出せる味ね!」
「ヨーグルトの酸っぱいのとバナナの甘いの最高!」
「生クリームとバナナも最高!」
「チョコと合わせてみたい気がする……」
「他の果物と合わせるのも良さそうね」
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スマイル100円、頂きました。
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スマイル100円の嵐。
孤児院を卒業した人達に、屋台でスマイル100円を稼がせるのは良いかもな。
クレープは材料次第だけど、結構簡単だ。
他は焼きそばとか、シチュー、カレー、餃子かな。
餃子の皮は激安だからな。
焼きそばの麺は高い。
現地生産したいが、少し難しいな。
今日持って来たおにぎりの屋台も良いかもな。
海苔は高いので、焼きおにぎりが良いか。
葉っぱとかに包めば、容器は要らない。
毒がなくて、匂いの良い、大きい葉っぱは探せば、あるだろう。
夕飯はおにぎり三昧。
味噌汁も用意した。
「変な匂い」
味噌汁は不評だな。
みんな匂いを嗅いで手を出さない。
失敗したな。
飲み物として、麦茶を出すか。
これは安いから、商材としてストックしてある。
麦茶のパックを煮て、麦茶を作った。
「これは良い匂い!」
「どこかで嗅いだ匂い……」
「安心する匂い」
「麦のお茶なんだよ。大麦を炒って作ってる」
麦茶は現地生産できるけど、すぐに真似されそうだ。
おにぎりを出した。
「黒い。苦いのは苦手」
「美味しそうに見えない」
「タイセイの食べ物はみんな美味しいけど、これはちょっと」
「うん、そうだね」
「匂いは悪くないけど」
不評だな。
やはり屋台で出すなら、焼きおにぎりだな。
麦茶とセットで出そう。
ひとり手を伸ばして食べた。
「うめぇ! 塩がなんか美味い!」
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スマイル100円、頂きました。
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「ふーん、俺も食うかな。うん、美味しい」
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スマイル100円、頂きました。
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手が次々に出る。
「中は魚?」
「俺のは甘辛い肉。うまうま」
「ピンクの甘いの。なんか好き」
「焼いた何かの卵。でも美味しい」
「分かんないけど、美味過ぎ。白い何かと魚?」
「私のは辛い生の小さい卵。虫だったら嫌ぁ!」
「安心して、卵は魚のだから」
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スマイル100円、頂きました。
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スマイル100円の入りは悪い。
おにぎりはイマイチだったな。
ツナマヨは高評価。
マヨネーズ人気は高い。
やはり子供は甘味だな。
俺も子供の頃はそうだった。
甘い物が大好物、後は肉かな。
ジャンクフード系も好きだったな。
この世界の大人の感想はまた違うんだろうけど。
マヨネーズは現地生産したいな。
玉子が問題だから、日本から輸入しないと。
油と酢も日本からでないと味が落ちるんだろうな。
混ぜるのはチートアイテムを使えば簡単にできそうだな。
この世界でマヨネーズを作っても、俺に価格と品質で勝てる奴はいなさそうだ。
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