B-13 廃刊雑誌より、教祖の死亡記事

 月刊誌■■2019年5月号より。



 新興宗教の教祖、失血死、集団自決か?

 3月27日、新興宗教"天獄の使徒"の教祖及び幹部が首から血を流した状態で発見された。

 発見者は一般教徒の女性。


 女性の119番通報の後、教祖達は救急搬送され、病院で死亡が確認された。


 死因は首をナイフの様なもので斬られた事による失血死だと言う。


 現場は天獄の使徒の教義において重要な部屋だったようで儀式の為に現場は密室だったそうだ。

 状況から警察は集団自決と見て捜査を進めている。


 なお、天獄の使徒については教祖死亡の3日後、5月21日に正式に解散を宣言した。


 また、関係者の間では「天獄の使徒」は信者数が減りつつある末期の状態で過激化した末の行動なのではないかと予想されている。


 だが少し待ってほしい、普段から小誌を読んでくれている読者の皆様ならご存知だろうが。

 天獄の使徒は少々変わった宗教であり、特に「神罰」という概念が強く推されていた。


 信徒になる人物のほとんどは何らかの被害者であり、更に加害者が罰せられていない状態に有ったと言う。

 それを、教祖である物部荒天が「神通力」により罰するのだと。


 実際に、信者達の多くは彼の神通力を目にして入信を決めたと言われている。

 さて、その信者達は何か特別な条件を満たしているらしい。


 筆者は様々な情報から、その条件とは「学校」に関するのでは無いかと推測した。


 更に具体的に言えば「学校が嫌い」「学校にトラウマが有る」と言う事だろう。


 共通点を持たせる事は、宗教に関わらず様々な団体に見られる特徴だ。

 だがしかし、教祖の物部荒天は何故そのような特徴に決めたのだろうか?


 当編集部の調べによると、物部荒天は小中高と私立学校をエスカレーター式に登り、大学も某有名私立を順当に卒業。

 その後、就職先の会社でトラブルを起こし退職と言った経歴であった。


 彼がわざわざ「学校が嫌い」という特徴を見出すのはいささか不自然では無いだろうか?


 それこそ、我々編集部が「天獄の使徒」に目をつけた理由だ。

 天獄の使徒はいわゆるインチキカルトだが、その神通力だけは本物だったという噂が有る。


 そして、教祖の神通力は彼らが崇める主神で有る「オチムロ様」によってもたらされているというのだ。


 筆者の見解はこうだ。

 「オチムロ様」は元々■■■中学校に巣食う怪異だった。


 それを偶然発見した物部荒天が魅入られ、はたまた利用し教団を打ち立てトップになった。


 この推理が正しいかどうか。

 確かめるべく当雑誌は、教団跡地の調査を決定した。

 読者の皆さんには来月号を楽しみに待っていて欲しい。



 追記:来月号にあたる6月号も確認したが、天獄の使徒についての記事は確認できず。

 また、雑誌も廃刊済みの為詳しい調査は出来なかった。


 廃刊や未掲載が■■■中学校案件と関係しているかは不明。

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