第36話 ここからが本格的な修行!?(2)
「弱点突破ですか?」
聞き馴染みのない言葉が出てきたので思わず聞き返してしまった。
「名称は私が今考えただけですが・・・・要するにどんな敵でも特別な対処法なしに倒す術を持てるっていう能力です」
そ、それって俗に言うチート能力じゃ・・・?
その考えが横切った瞬間、僕の頬はだらしなく緩み頭の中で楽しい妄想が一気に
広がった。
「ユウくんすごいでちね!私の仕事を減らしてくれてありがとうございまちゅ!」
とリーリエ先輩
「ユウ、私は素晴らしい後輩を持てたことにとても感激しています」
とヨル先輩
「おめでとうございます。ユウくん」
とエターナル先輩
「ユウ、よくここまで成長したな。俺は上司として誇らしいぞ」
と係長
「えへ、えへへ」
僕の口から変な声が漏れる。
ヨルはそれを真顔で見ながら(ニヤけた顔をして何考えているのでしょう?)と心のなかで呟いた。そして釘を刺すようにゴホンと咳払いを一つしてから。
「確かに、どんな敵でも特別な対処法なく倒せることができるのはコスパが良いですし、とても強い能力だと思います。ですが、今の段階でユウは剣術・体術などの基礎的な部分が出来ていないので弱いという評価しかできません」
ヨル先輩のストーレートな言葉に僕の楽しい妄想はあっけなく霧散した。
事実、あのゴーストエルフを倒すのにどれだけの時間がかかったのか分からないが一歩間違えればこちらが倒されるかもしれない状況だったのだ。それにたったの一撃、しかもヘトヘトの人間が力を振り絞ったお世辞にも強いと言えないような一撃で倒すことが出来たのだ。もしかしたらこの星においてゴーストエルフは弱いモンスターなのかもしれない。
ヨル先輩の弱いという一言でがっくりと落ち込んでしまった僕を見ても、ヨル先輩は淡々と話し続けた。
「これからユウはどのように伸びるか分かりませんが、異世界転生かかりの一員としてある程度の強さは身に着けなければいけません。まずは剣の素振りを千回。その次に走り込み、あとは能力を使いこなすのに実践も勿論大切ですよね。それに・・・・」
ヨル先輩の止まらない修行内容に僕は空を仰ぐ。空は相変わらず黒かった。今更だけど、この世界に来てから今が何時か分からないな。どうでもいいようなことを考えていると
「ユウ、聞いているのですか」
ヨル先輩の注意する声が飛んできた。ああもう今日は、いやこれからは眠る時間が取れないくらい修行をみっちりやるんだなと僕は悟った。
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