第19話 部長という名のフクロウみたいな神獣 (1) *サブスト


此処から先はサブストーリーです!少しギャグみたいな感じになっています!


あと一週間でオルトライワン星に行くのか、そこには一体何があるんだろう?僕は初めて他の文明に触れることにワクワクしていた。反面、不安があった。あの時見た感じたと真っ黒い星だったんだよな・・・それにもう少しで滅ぶって・・ヨル先輩はああ言っていたけど、本当に大丈夫なのかな?暗い思考の海に漂っていたときに、いきなりヨル先輩が言った。


「後一週間もあるので私はそろそろ仕事に戻ります」


え!?仕事するの!?僕はしたくないけど!?


「そうでちね!仕事はまだまだたくさんありまちゅよ〜(ヨルちゃん達が行った後は特に溜まってしまう・・・・)」


リーリエ先輩の目がこれ以上にないくらい据わっていた。

こ、これが社畜だというのか!?ゆらりとリーリエ先輩がこちらを見た。


ま、まるで(ユウくんも勿論やりますよねぇ〜)と訴えているようだった。


クッ!このまま僕は屈してしまうのか!?いや屈しないぞ!僕には「殺されたのでやる気が出ないです」という最強の切り札がある!リーリエ先輩と同じように視線で僕は訴える。リーリエ先輩も負けじと据わった目からチベットスナキツネの目に移り変わった。グッ!これは強い!


僕達がそんな視線だけの茶番劇をしているとエターナル先輩から苦笑の声が漏れた。


「リーリエ。これから後輩が修行の旅に出るというのに、書類仕事というのはあまりにも・・・代わりにこの異世界転生係のこと詳しく教えるというのは?ヨル、貴方もですよ。この事務室以外の場所をあまり知らないでしょう?これはいい機会ですよ」


「いいんでちかね?エターナル?」


「はい、リーリエの世界のところはどうだったか知りませんが、ワタシのいた世界では後輩に会社のことを教えるというのは立派な先輩としての仕事でしたよ」


リーリエ先輩のチベットスナキツネの目からいつものキラキラとした瞳にもとに戻った。


「エターナルがそこまで言うなら仕方がありまちぇんね!ヨルちゃん、ユウくん!わたちが色々教えまちゅね!まずは部長からでちゅ!」


リーリエ先輩がトコトコと嬉しそうに部長のデスクに駆け寄る。ヨル先輩は戸惑っていたが付いてきたし、僕は勿論お仕事をしないと決まって嬉しかったので喜んでリーリエ先輩について行った。後ろからエターナル先輩が「書類仕事はワタシがやっておきますね」と聞こえた。やっぱり持つべき上司は仕事ができるロボットだなと勝手ながらに思った。


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「はい!ってことで部長でちゅ!」


「ギエ〜〜」


部長がリーリエ先輩の声に答えるように鳴いた。僕が対面したときより機嫌が良いだが油断してはならない。僕はごくっと唾を飲んだ。部長は涼しそうな目で僕を見る。あれは完全に自分が上だと認識している目だった。


「先輩、部長周辺に呪術は仕掛けられていますか?」


「大丈夫でち!もう外しておきまちた!」


リーリエはグッと親指を立てたがヨルは(ああ、あったんだ・・)と遠い目をした。

ユウは普通に頭に疑問を乗せていた。


「?部長の周辺に呪術?が仕掛けられることがあるんですか?」


「はい。ある先輩が部長のことが大好きなんです。好きすぎるあまり、離れている間は守れないから呪術を仕掛ける行動に出たわけなんですが・・・」


「敵に呪術を発動できるならわたち達も何も文句はないのでちゅが・・ポンコツというか大雑把というかそんな粗雑な性格のせいでたまにワタチたちに呪術が発動されるんでちゅよ」


リーリエ先輩は大げさにため息をついた。


「でも、今日はもうは取り除いているので大丈夫でち!さあ!ユウくん!この肉を部長にあげてくだちゃい!これからはユウくんがエサやりでちゅからね!」


そういってリーリエ先輩は肉を挟んだトングを僕に押し付ける。これ大丈夫か?と思いながらソワソワしている部長に肉を差し出すと大きな口を開け、僕の二の腕ごと食べた。



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