異世界転生「係」はブラックです!
緑川メイ
い、異世界転生係ぃぃぃ!!??
第1話 宇宙を見た
夏に似合わない土砂降りの雨の日。東京都、XX区に住んでいる今村 ユウは布団に潜りあることを悟る。
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「人生…詰んだ…」
高校三年生最後の夏休み、僕は絶望していた。クラスメイトたちはみんな進学先、あるいは就職先に向かって一生懸命に頑張っている。しかし僕は読み終わった異世界ファンタジーの漫画の世界に浸っている最中である。もちろん、勉強はおろか課題すら手を付けていなかった。
窓の外を見れば、僕の心を表すかのように雨がザアザアと降っている。さらに追い打ちをかけるように、おなかがグオオオと鳴…いや咆哮する。そろそろ空腹が我慢の限界に近い。
鉛を付けたように足は重たく感じた。それでもなんとか起き上がり、キッチンに向かう。冷蔵庫になにかすぐ食べれそうなものは入っていただろうか?
しかし冷蔵庫の扉を開けてみると中は見事なほど空っぽだった。マヨネーズとかの調味料は入っていたが流石にマヨネーズ単体で食べるのは躊躇われる。仕方がない、コンビニに行こう。
僕は玄関に行き、赤い傘を手に出かけた。
コンビニに行く道のりには長い階段がある。登る気力が中々湧かなくてため息をついてしまう。
(何も考えるな…)
僕はこの長い階段を意識の外に出そうと、ぼーっとしながら足を動かした。
ふと顔を上げると女の人が目の前にいた。下を向いて登っていたせいで見えなかったのだ。迷惑をかけてしまったなと思い、
「ごめんなさい」と女の人の横を通り過ぎようとした。
ドン!!
女の人が僕の肩を強く押す。
「え?」
思考がまとまらないまま僕は重力に従いながら、まるでスローモーションにかかったかのように落ちてゆく。『このままでは死ぬ』という事実が頭をよぎると、腹の底で怒りと困惑が渦巻く。
最期に女の人の薄ら嗤ったところが見え、僕の視界がブラックアウトされた。
「ーーーーー」
気がつくと、視界いっぱいに黒を背景にキラキラとした点々が見えた。ここって宇宙?直感的にそう思ったら、もうそれにしか見えなかった。360°すべてを見渡して見てもまばゆく輝き続ける星、思わず手で触れようと手を伸ばしてみても届かず、煌々と己を誇示するかのように存在していた。
(とても綺麗…)
僕は素直にそう思った。
ああこんなにも贅沢な走馬灯があっていいのだろうか。このひどい頭痛さえなければ完璧なのに。
そう思っている間も頭痛はひどくなっていく…
「いい加減、目を覚ましてください」
ゴンと重いものが僕の頭に叩きつけられた。
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