君とニュー・ウメチカランド!

大創 淳

Episode 000 灯りの予兆。


 ――語りは、疼きから始まり灯りへと変わる。



 それは誰かが生きるための心……


 この物語は、語りのない時代に灯った、命の願いの記録です。



 時は、西暦二一二五年。


 天変地異の影響により、地上の空はもう見えない。人々は地下都市での生活を余儀なくされた。ここニュー・ウメチカランドでは、風鈴の音が、語りの気配を運んでいた。


 十歳の少女・千佳ちかは、語りのノートを抱えていた。彼女の目に映る世界は、まだよくわからないけれど、何かが始まろうとしていた。



 風鈴の音が鳴ると、何故か胸の奥が痛くなる。


 でも、それは怖いものじゃない。誰かの願いが、灯りになって届いてくるような気がするから、語りは誰かの願いを乗せて、静かに、確かに灯り続けてゆく……



 語りは終わっていない。あの日の灯りが、今、君に届きますように。


 そう――君と一緒に。

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