童貞だからと妹に女の子を紹介された

池田 春

第1話デートすることになった

休日それは社会人から俺ら高校生まで、ワクワクする日だと言っても過言ではないだろう。

そこの貴方!高校生なんだから疲れるわけないだろうと申されるか。

実際、高校生は楽そうに見えて疲れるのである。

俺たち陰キャラにとっては尚更である。

陽キャラに目をつけられないように常に影を薄くしたり、授業で二人組になってという時は確定で先生と組まされ、ストレスを感じたり、こんな感じで陰キャラは常に周りに気を張ったりして疲れるのだ。

というわけで、今日は俺にとってボーナスタイムなので、ストレス発散にゲームをする。

俺は長時間、部屋に引き篭もり、ゲームをする為にポテチとコーラを準備して、いざ戦場へって感じでゲームをしようとして。

無遠慮に俺の部屋のドアが開け放たれ、金髪のツーサイドアップに無駄に露出度の高い服を着た、妹の菜々ななが入ってくる。

「お兄ちゃん、今用事あんだけだいい?」

「よくない、俺は今から長時間ゲームをするからな」

菜々の用事はどうせろくでもないことだから、パッと切り捨てて、ゲームをすることにする。

「あーも!いい話持ってきたんだから少しくらい聞いてくれたっていいじゃん!」

菜々がテレビの前に立つので、画面が見えず一旦ゲームを中断するしかない。

こうなると、菜々は強情なので一旦、話を聞いてやるしかない。

「話というのは何だ?」

「お!やっと興味を持ってくれたか」

菜々は嬉しそうに頷く。

「いや、この状況、話聞かないと先に進まないだろ」

「もー!そんなこというお兄ちゃには教えないぞ!」

今だに、テレビの前に立ちながら、悪戯っぽくいう菜々にゲームを中断された怒りと中々進まないストレスで思わず、菜々の頭をグリグリする。

「痛い!痛いお兄ちゃん!拳が頭にめり込んでるぅー」

「早く言え、俺も暇じゃないんだ」

「わかりまひた、言います」

俺がグリグリを止めると、菜々は涙目で頭を抑えている。

「童貞のお兄ちゃんに私が女の子を紹介します!」

菜々は胸を張りながら声を高々に宣言する。

「いやいや!勝手に童貞って決めつけんな!」

勝手に童貞って決めつけられたことに、思わず全力で否定する。

「じゃあ、非童貞なの?」

菜々はわかってて、ニヤニヤしながら聞いてくる。

「童貞だよ、悪いかよ」

「やっぱりー」

当たってて嬉しいのか、ニヤニヤしている。

「てか菜々の友達って全員ギャルだろ?」

俺は話を変えるように聞く。

陰キャラの俺とは正反対で菜々はギャルな上にクラスで一軍と言われるグループに属しているらしい。

「それがどうしたの?」

菜々は不思議そうな顔をして首を傾げる。

「いや、俺ギャル苦手だから無理だよ」

「あーそゆこと、けどお兄ちゃん聞いて驚くな、私が今回、紹介する女の子は清楚系の可愛い子だよ」

と菜々は自信満々に言うが、妹がギャル以外と弛んでいるのを見たことないので、半信半疑である。

「あーお兄ちゃん、私のこと疑ってるでしょ!私みたいなギャルに清楚な友達いるわけないって!」

疑っているがここで素直に言うと、菜々が拗ねてしまうから何となく誤魔化そう。

「あー確かに清楚な子なのかもな、けど今回はゲームしたいからパスで」

俺も彼女欲しいし、行きたいが前に菜々から女の子を紹介された時は、バリバリのギャルが来て、終始話が続かず、一時間で解散というトラウマがあるから、女の子に少し苦手意識があるので、行きたくないのである。

菜々は徐に俺のスマホを操作して、俺に手渡す。

「その子ともう今日デートするって約束を私が取り付けたからお兄ちゃんのライムにその子のこと友達登録したから断りたかったらお兄ちゃんから断ってね」

「マジで?」

「ちなみにデートの約束は一時間後だからほぼドタキャンなるけど、真面目なお兄ちゃんは断れるの?」

「くっ!」

俺は自分でも真面目だと自負しているので、ドタキャンは絶対有り得ない。

ドタキャンなんてその子に一番、迷惑掛かるしもしデートを楽しみにしててくれた場合、俺の罪悪感がすごいことになる。

「菜々、俺デート行ってくるわ」

「おー!それでこそ私のお兄ちゃん!」

他人事だと思っているのか、菜々は嬉しそうだ。

俺は急いでデートをするには、マシな服装に着替えて家を出る。

電車で街の方まで行き、デートの集合場所に指定された、噴水広場に急ぐ。

何とか、10分前に着いた俺はライムに登録されている、Amiに着きましたと一言、連絡を入れる。

Ami 私も今、着きました

すぐに返信がきた。

しょう 噴水広場のどの辺りですか?どんな服装をしてますか?

とりあえず、相手と集合する為の情報を書いておく。

Ami 噴水広場のベンチに腰掛けてます。服装は白いブラウスに黒のスカート履いてます。

しょう わかりました

俺はベンチ付近を見ていると、目の前から手を振りながら、黒髪の大和撫子風の美少女が近づいてくる。

「しょうまさんですよね?菜々ちゃんから話聞いてます!私は七宮 亜美って言います」

礼儀正しく、頭を下げる。

「あー僕は高野 照魔しょうまって言います。今日はよろしくお願いします」

「じゃあ、立ち話もなんですし、カフェでも行きません?」

「いいですね」

こうして、菜々から紹介された子とのデートが始まるのだった。






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