ラムネを持った警備員
やあ、管理人さん。お疲れさま。
おいおい。ラムネを持っているからってそんなあからさまに警戒しないでくれよ。これはごく普通の飲料だ。島外で作られているメーカーの。ほら、見たことあるだろう?
管理人さんは、かぐや姫の物語をどう思う。
はは、今度は虚を突かれたような様子だ。きみは、すぐに顔へ出るなあ。
かぐや姫は月からの使者が迎えに来たとき、地上へ残りたがっていた。しかし、結局は天人の本性をあらわして、何の未練もなく月へ帰る。
かぐや姫は人としての心と、月のものの性質のふたつを持っていたんだろう。地上で育まれたものも、生来から持っていたものも本物だ。いずれもかぐや姫だったんだ。
人も同じだ。記憶は多層的で、どこかがぽっかり抜け落ちたり、あるいは上書きされたり、本のページを遡るように戻ったら。いずれも見える地金は違う色になるだろう。同じ人、かたちであるのに、別人のように感じるはずだ。
管理人さんは、どの自分でいたいと思う? 例えば、この島へ来るより前か、それとも今の記憶を持った自分か。
もしもそれが、選べるとしたなら。どれを選ぶと思う。
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