訳知り顔の警備員

 お疲れさま、管理人さん。

 オワスレさまのところへお詣りに行ったんだって? お社までたどりつけたか。

 ……覚えてない?

 管理人さん、いつのまに冗談が上手くなったんだ。そういうのを真顔で通すのはこっちの得意だろうに。

 ほんとうに?

 覚えていない?

 なるほど。それなら、これ以上を聞くのは野暮だな。オワスレさまは、名前のとおり忘却を司る方だから。その方にまつわる記憶を論じるのは失礼ってもんだ。

 忘れてしまうことも、オワスレさまのご加護なのさ。

 しかし、ぼく達は簡単に忘れてしまったなんていうけれど。人間の記憶っていうものは、忘れたらどこへ行くのかねえ。

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