きざな警備員
管理人さん。
おーい、管理人さん。ずいぶん上の空みたいだ、何かあったか? 初恋の相手を思い出しているかのような、夢見心地の表情だったぞ。
……図星か? 違うって? ほほう。そうかい、そうかい。
まあ、僕なんかは各年代において、朋友たちの初恋を掻っ攫っていたくちだからな。告白は日常茶飯事、贈り物もたくさん貰ったもんだ。
……。管理人さん、きみはもう少し同僚の話に興味を持ったほうがいいぞー。真から関心を持たなくたっていいんだ。目線を向けて、頷き、表情を適宜変える。そういう、他者へ気を配っている仕草を自動でできるようになると、世渡りがずいぶん楽になるからね。真相はどうだっていい、誰もきみの心の中なんて覗けやしないんだからさ。
しかし、そうだな。いまはその不可能をおしてでも、きみが脳裏に思い描いている人が誰なのかを見透かしてみたい。
なぜかって? そりゃあ……ほら、既視感がないか? この展開に。例の後輩が、管理人さんの色恋話に食いつかないわけがないからなあ。カウントダウンでもしてみようか? 終わるより前に、駆け込んできそうだけどね。
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