第22話
エウクレが研究所内部を観測する。
「どうだ、居るか」
所長の声が先ほどより切迫している。
「居ました、第三知性体は避難シェルター内部です」
「おや、見つかったね。隠蔽工作も長く効かなかったらしい。さすがはエウクレ」
「あなたはもしかして…」
阿曇と木村は自分の予想が当たっていてほしくない。そう思った。
「名前を言ってなかったな。第三知性体のモンストラス・ムーンシャインだ。よろしく」
第三知性体は静かにそう言った。
第三知性体の名乗りと同時にシェルター内の人間は皆彼から離れようと走る。
「そんなに怖がられると辛いな。さて、確認も済んだし、俺も頼みごとを遂行しないとな」
阿曇と木村、二人も距離を取る。しかしモンストラスに空間的な距離は関係ない。
「逃げないでほしい。用事を済ませないといけないからな」
一瞬で二人の前に姿を現す。
「止めなさい、モンストラス・ムーンシャイン」
エウクレの制止にモンストラスは足を止める。他の者にはこの制止は聞こえていない。モンストラスだけがその場でエウクレの声を聞いていた。
「なるほど、同等の知性のみ通信できる通信網か、面白い。良く作ったな」
「そんなことはどうでもいい。悪いが、手を出したらモンストラス、あなたに攻撃を加える」
エウクレからの脅しだが、モンストラスは気にしない。
「エウクレ、お前は俺と同等の知性だが観測に重きを置いている。それに人類の持つ武器に多少技術が追加されてもさしたる脅威ではない」
「ええ、そうでしょう。しかし人類は進歩する。私も進歩します。いずれ脅威になるでしょう。それにこちらはあなたの先ほどの行為を攻撃として見做しても良いのですよ」
「先ほど?はて何のことだか」
「ごまかしますか、時間を止めたことについてです」
周囲の静けさ、あれはモンストラスの時間停止によるものだった。
「あれを攻撃とは拡大解釈だな。無理がある。それにもう動いている。今も似たようなものだが」
知性通信は物理的な時間に縛られない。ゆえに周りの動きが止まって見える。
「攻撃でなくとも意図の分からない干渉は充分人類にとっては反撃の口実になる。今後、人類の進歩と戦いますか?」
モンストラスは少し悩む。確かに人類と戦い続けるのは面倒くさい。しかし頼まれごとはやらねばならない。
「それは嫌だが、やらねばならないことがある。すまないが、話しはここまでだ」
一方的に通信を切断したモンストラスは阿曇を見る。
「さて来てもらおうか」
「ちょっと待てよ」
阿曇へと歩みを進めるモンストラスの前に木村が立ちはだかる。
「第三だろうが俺の親友に手、出すな」
「悪いが木村、今は君に用は無い」
と木村を無視し、阿曇の真横へ移動する。
「それじゃ少し話そうか」
モンストラスが空間を歪ませる。
「おい、待てって」
木村が振り返った時、阿曇とモンストラスは空間の歪みと共にシェルターを去っていた。
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