チート無双屋始めたんだが、予約120年待ちで大変なことになっている

そきおこ

第1話 120年待ち

『雷撃のキースが、チート無双で何でも解決。 予約はこちらに』


「ぽちっと。」


 雷撃のキースこと真下祐介は、パソコンに向かい明日から始める事務所の予約ページを作り終えた。

 すでに『ぽちっ』と押してしまったので、予約ページは世に公開されている。

 事務所開店だ!!事業者登録など一切していないのだが………。


「さて、どんくらい来るのかな~。」


 椅子の背もたれに寄りかかって伸びをする。


 ピロリン


「はやっ。もう予約来たのかよ。」


 態勢を戻してパソコンを操作しようとすると、


 ピロリン、ピロリン、ピロリン、ピロリン、ピロ、ピロ、ピロ、ピロ………………。


「え?マジかよ。」


 画面をのぞきこむと、猛烈な勢いでメールが送られている。


 ピロ、ピロ、ピロ、ピロ、ピロ、ピロ、ピロ、ピロ………………。


「へ、閉鎖~。」


 大急ぎで予約ページを閉鎖し、しばらくするとメールの着信がなくなった。


「さ、さすがは、この俺、雷撃のキース様だぜ。」


 メールの受信ボックスは、未読120と表示されている。祐介は、とりあえず1通目から開いてみた。


『雷撃のキース様。どうか我が国をお救いください。魔王軍による進行は未だ収まらず、我が国が滅びるのも時間の問題です。』


『魔王軍を討ち倒すため、どうかお力をお貸しください。』


 ………『魔王軍から………。』、『魔王軍………』、『………魔王軍………』………。


 魔王軍、どんだけ悪さしてんだよ。


「120件も予約来ちゃったけど、こんなに無理だよ。全部、魔王だし………。ってか、魔王は俺が先月倒したぞ。まったく。魔王討伐となると1年はかかるから、最後の国なんか120年待ちだぞ。」


 祐介は、パソコンに向かいカチャカチャと文章を作る。


 ++++++++++

 予約がいっぱい来てますので、順番に対応します。つきましては、以下にご回答ください。


 ①報酬

 ②どれくらい持ちこたえれるか

 ③あなたの国の種族、国民数、兵士の数

 ④遠方への移動手段

 ⑤魔法は使えるか

 ⑥戦うときの主な武器

 ⑦魔王軍の数

 ⑧スライムの特徴は『丸くて水色。雑食。

  核を破壊すれば倒せる』と同じか


 内容を確認し、連絡差し上げます。

 雷撃のキース

 ++++++++++


 これを全員に送った。

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