今日も不思議な冨識さん
妄想好きのラザレーさん
今日も不思議な冨識さん
ミーン ミーン
(あの先生めっちゃ雑談多いよなー)
(わかるわー)ガヤガヤ
「・・・」カキカキ
ガヤガヤ
ミーン ミーン
「・・・ウーン?」カキカキ
「ね。ここ、+なのに−になってるよ。」
「!!?、、、あ、冨識さん。」
「ほら、ここ。」
「あ、ほんとだ。ありがとう。」カキカキ
「昼休みに数学の勉強なんて偉いねぇ。
私は授業だけでお腹いィっぱい。あ、今日もお弁当?」
「あ、うん。今日は(冨識さーん。食堂いこー。)
「ん、はぁい。じゃあまたね。新井君。」
「あ、うん。じゃあ。」
、、、もう行ってしまった。
冨識さん。隣のクラスの、ちょっと不思議な人。普段はのほほ〜んとしてるけど、好きなものの前では目をキラキラさせてる。それに加えて、何だか不思議な魅力がある人だ。
ちなみに厨二病。
多分、俺は彼女のことが好きだ。
いや、もう少しだけ厳密に言うと、しばしば無意識のうちに注視してしまうことがある且つ対象に関する思考の際に小さからぬ感情の昂ぶりが伴うという2つを恋の要件とするならば、、、
恋をしている、ということになる。
何を言ってるんだろう。とは自分でも思う。変ついでに自分が彼女のどこに魅力を感じてるのか知りたくて、不思議なところを覚えておくことにしたんだけど、今日はもう行ってしまった。
「よし、できた。」
適当に丸つけをする。赤えんぴつをくるくると滑らせる感触が心地いい。ボールペンは便利だが、この感覚は譲れない。
こうしている間は自分と数字だけの世界だ。
彼女のことも、昼休みも半分が過ぎようというのに未だ手付かずの弁当も、今は遠い話。
丸つけも終わって、今ごろ冨識さんは食堂でどんな昼ご飯を食べているんだろうか。なんて考えつつ、いそいそと弁当を取り出す。
どうやら今日は唐揚げ弁当らしい。
ピコン
通知音がなった。冨識さんからだ。うちの高校の校則に感謝しつつ堂々と通知を開く。
冨識さんは今日も不思議だ。
驚くほどタイミング良く送られてきたのは、今日の冨識さんの昼ご飯。マヨネーズにラー油もかかって、とても美味しそうな唐揚げ丼。
冨識さんはいつも変な所でタイミングがいい。
どんな返事をしようか考えながら食べる弁当は、いつもより何だか美味しかった。
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