第3話 TS魔法


 光と昂輝は無事に試練を突破し、能力を獲得した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 「こう君はどんな能力を手に入れたの?」


「俺は……、超人って能力を手に入れた。親父と同じ能力だ。」


「そっか……。お父さんと同じ探索者になるの?」


「……まだ分からない。けど、せっかく親父がくれたこの能力を何かに生かしたいとは思ってる。」


「そっか……」


 何があったのかは分からないけど、僕は昂輝の気持ちを尊重したいと思う。


「それで、ひかるはどんな能力を手に入れたんだよ?」


「僕は、T……!」


 僕は寸でのところで口をつぐんだ。TS魔法なんて言ったら、僕がTS好きの変態だってバレちゃうじゃないか…!


「えっと……、よく分からなかったんだ!」


「は、そんなことがあるのかよ…。」


「あ! でも固有能力とか言ってた気が…。」


「…まじか。ひかる、企業とかからの引き抜きとかすごい事になるんじゃないか?」


「あはは……どうかなー。とりあえず探索者登録に行こっか!」


「だな。」


 今でこそ世界中に同じような能力者が溢れているが、固有能力持ちの探索者は数えるほどしか存在しない。その理由は、一つに並々ならぬ強い欲望や経験が必要であり、さらにその試練の中でも約100点満点中110点以上を取らなければ可能性が無いからだ。そしてそんな珍しい能力者が現れたとなると、ダンジョン関連の企業は喉から手が出るほど欲しがるのである。

 とはいえ昂輝の超人保有者も世界に数人しかおらず、珍しい能力だ。企業からのオファーがかかるだろう。


「なあひかる、気づいたんだけどさ、今俺の体めっちゃ軽い気がするわ。超人の身体強化バフを受けてるって感じがする!」


「ほんとに?何かすごいことやって見せてよ!」


「ああ、こんなもんかなっ!」


「えっ!すごい!」


 昂輝がしゃがみ込み、思いっきり大地を蹴った。その瞬間昂輝の姿が消え、気づくと電柱より高い場所まで飛び上がっている。超人の能力とはつまり、自らの身体能力を何倍にも引き上げる能力である。


「よしひかる、こっから探索者免許申請センターまで飛んでいこうぜ!」


「でも、こんな町中で能力を使って大丈夫なのかな……? 」


「まあ、上手く能力の練習がてら付き合ってくれよ。ほら、背中に乗れ!」


「わかった! あんまり無茶しないでね?」


 と、光が念を押した瞬間強力なGを感じ、一瞬で10m程移動したように感じた。

顔一面に風を受け、息をするのも大変なほど速度を出しているようだ。


「わぁぁぁぁぁ!早すぎるよぉ…!」


 ふと気づいたころには、テレビでよく見る申請センターの正面に着いていた。

 光は少し酔い気味に昂輝の背中から降り、申請センターの中へと歩を進めた。


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第三話ご覧いただきありがとうございます!


次回は6/15更新予定です!

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