第7話 夏の風物詩「西瓜」

 夏の食べ物といえば、多くの人が想像すのは、緑色の皮にルビーのような赤い果肉、そして黒い無数の種。そう西瓜だと思います。


 幼少期、西瓜を食べる時に面倒で種を飲み込むと、お腹の中で芽が出ちゃうよと言って叱られた事のある方、いるんじゃないでしょうか?

 そんなに簡単に芽が出るなら、それはやらない手は無いですよね。だって種を植えて発芽したら、また西瓜が食べられるわけですから。


 調べたところ、意外と難易度は低いという事が判明。

 まず食べた西瓜の種を水に浸ける。ここで浮くような種は種として未成熟なので除去。

 ちなみに、西瓜の種は乾煎りしてシーズニングパウダーで味付けすると、良い酒のつまみになります。


 いつものようにスーパーで買い物をした時に出たパックにキッチンペーパーを敷き湿らせ、その上に種を並べて置きます。

 数日でにょろにょろと芽と根が伸びました。

 今回で七品目の作物ですけど、この瞬間が一番楽しいですね。


 調べてみると、西瓜の苗は非常に弱いらしく、比較的強い南瓜の苗に接ぎ木して苗屋で販売されている事が多いらしいんです。つまり、ここから先が勝負所。


 少し小さめのポットに土を張って、まずはそこにお引越し。いくつか根の出てきた物を植え替えてみたのですが、多くはこの時点で脱落。

 ですが、二本ほどは元気に成長してくれました。


 少し大きな葉っぱが生えてきたところで、今度は大きなプランターにお引越し。

 この時点で市販の肥料を苗から遠い所にパラパラと撒いておきます。これをやらないと葉っぱの色が褪せて黄色っぽくなってしまいます。以降も、葉っぱの色が悪くなったら肥料をパラパラ撒いていきます。


 そして何と言っても大切なのは毎日の水やり。


 西瓜を元気に美味しく作るために必要な事、それは勿体ないと思いながらも蔓を切っていく事なのだそうです。

 まず、最初に伸びた蔓は十枚ほど葉ができた時点で先端をチョキン。すると、そこで成長が止まり、脇芽が生えてきて、それが元気に伸びて行きます。


 ただし、放っておくとこれもあちこちから脇芽が出て伸びて行く事になります。ですので、三本ほどに絞って残りは全てチョキン。

 西瓜は葉っぱが大きいのでグリーンカーテンにもなって一石二鳥。


 成長すると黄色い可愛い花を付けるようになります。何となくですけど、その花を見ていると、小学生時代に育てさせられたへちまを思い出し、非常に嫌な気分にさせられました。


 植物には一つの花に雄しべと雌しべがあるタイプと、雄花と雌花が咲くタイプ、木そのものが雄木と雌木に別れているものがあります。

 その中で西瓜は、というかウリ科は雄花と雌花が咲くタイプです。


 雄花と雌花の見分け方は極めて簡単。雌花には蕾の時から非常に小さな西瓜が付いています。

 今書いているのは昨年のお話なのですが、実は以前にも西瓜の栽培はやった事があるのです。その時は実は大失敗をしたんです。

 西瓜は同じ株から生える雄花と雌花でも受粉します。そう思って苗を一本しか育てなかったんですよね。そうしたら雌花が咲くタイミングで雄花が枯れていたり蕾だったりという事が多々あり、なかなか受粉できなかったという苦い経験がありました。ちなみに虫任せでも良いのですが、雄花を摘んで、手動受粉させた方が確実です。


 この時は浅く広いタイプのプランターを二つ併設して育てていました。

 そして思惑は見事に成功!

 前回の時は腐って黒くなって枯れる雌花が続出したのですが、一本の茎から二個、三個と雌花が咲いて実を付けました。


 ですが、絶対にここで欲張ってはいけません。

 一本の蔓の中で一番成長の良い実、それ以外は泣く泣くチョキンです。じゃないと西瓜の株は全ての果肉に栄養を行きわたらせようとして、結果的に全てが美味しくないという結果に陥ってしまいます。

 一つの株から蔓は三本しか生やしていないので、一株で多くて三玉。二株で六玉。これが最大になるようにチョキン、またチョキン。


 ここまでしても水のやりすぎで割れたり、成長が途中で止まる実が続々と。

 結局一株で一個という結果に。しかも買ってきた物に比べ大きさは半分以下。

 ですけど、味は極甘でしたよ!



 ここに来て初めての甘味! 

 次は何にチャレンジするか、次回をお楽しみに。

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