パート58: 自由への独立宣言

 僕の痛烈な批判に、会場は水を打ったように静まり返っていた。

 僕は、そんな彼らに向かって、言葉を続ける。


「ですが、そんな泥沼のような場所にも、希望はありました」


 僕は、卒業生席に座る、僕の愛しい仲間たちに視線を送った。


「リナ、セレスティア、フェンリル。壇上へ」


 僕に呼ばれ、三人は驚きながらも、壇上へと上がってくる。

 僕の隣に並び立った、僕の最高傑作たち。


「彼女たちこそ、この学園が見過ごしてきた、本物の輝きを持つ原石です。不遇に屈せず、己を磨き続けた、真の才能です。僕がこの学園で得た唯一の宝は、彼女たちという仲間に出会えたこと、ただそれだけです」


 僕の言葉に、三人は涙ぐみながらも、誇らしげに胸を張る。


 そして、僕は来賓席に座る国王陛下と貴族たちに向き直った。


「先日、皆様方から、我々の進路について、様々なお誘いをいただきました。そのお答えを、今、この場でさせていただきます」


 全ての人間が、固唾を飲んで僕の言葉を待っている。


「我々『チーム・アラン』は、本日をもって、どの勢力にも属さず、自由なクランとして、独立することを、ここに宣言します」


 その宣言は、これまでの常識を覆す、あまりにも衝撃的なものだった。

 王家も、貴族も、そして僕の実家であるエルフィールド家すらも、僕たちを縛ることはできない。

 僕たちは、僕たちの意志で、僕たちの道を歩む。


「我々の力を欲するならば、対等な立場で依頼していただきたい。我々は、誰の駒にもならない」


 国王や父が、驚愕と怒りに顔を歪ませるのを尻目に、僕はヒロインたちと共に、壇上を降りた。

 僕たちの、学園への、そして古い体制への、完璧な決別だった。

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